葛西嘉資の発言 (厚生委員会社会事業振興に関する小委員会)

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○政府委員(葛西嘉資君) 姫井さんからのお尋ねの、全國を図にしてやるというお話でありますが、姫井さん御存じのように、社会施設は大体大雜把に申しまして六千ぐらいあろう。保育所などを加えますと、五千数百という……。縣ぐらいな單位でやつても余程大きなことになりまするのでございます。それから御承知のように大掴みにと申し上げましたのは、例の社会事業のいろいろな統計を戰時中止めておりまして、正確な資料が実は手許にございません。ただ併し先程申し上げました昨年から今年にかけてやりました緊急援護乃至生活保護法の施設というのが約二千ばかりできたということを申し上げましたが、この方の施設は、縣別に、而も経営者別に分つております。これだけ新らしく新設、拡張、改良等をいたしました。約二千、二千と言いましても新らしく二度目の配当いたしました方もまだ整つておらんと思います。御承知のようにまだ縣廳で二度目に配当いたしました二億七百万円ばかりの金の部分につきましては、漸くに先月までに各縣と相談をいたしまして、これでやつてよろしいという指令を出した程度であります。第二次の二億七百万円余のものについてはまだ出ておりません。その前の五億余りのものについては資料がございますから、ちよつと克明のものにもなりますがございますから、これは差上げでもよろしい。その程度でよろしうございますか。或いは又私共の方ではそういうものを全部これは今申し上げたように作つておかなければなりませんし、成るべくそんなふうな大変結構な、特に人口の比率等の関係から種類別の配置というようなことを考えますと、比常に大事なことになろうかと思います。或いは又公設私設の問題あたりから考えましても、そこらの釣合がどうなるかということは、非常に大事なことだと思いますので、取敢ず只今のところではその資料でお許しを願いたいと思います。
 それから第二にお尋ねになりました点は、大変大事な問題であり、この点総理大臣も厚生委員会においでになつて、民主主義と社会政策乃至は社会事業というような点からお話がございましたのであります。今度の災害のごときものも、実は援護会の力に應じておりますような社会事業に対しましては、面倒を見る人間を社会事業の人達が面倒を見ておつたというような感謝を以て迎えられる好い機会ではないか。根本的には只今姫井委員の仰せられましたように、大変大事な問題であるのでございますが、なかなか方法がむずかしい問題でありまして、本委員会あたりで專門の方々から御協議を頂きまして、私共も努力いたしますが、いろいろ御相談をしてやつて貰いたい。今どうするというようなことは若干の予算ぐらいを以て出來る問題ではございません。勿論これは廣くやはり各方面の協力を得て、而も適切な施策を次々となつていく以外には方法がないと思います。取敢ずのところでは十月の半ば頃には出るかと思いますが、同胞援護というような意味の映画を作成いたしまして、大映でございます。それが東京に上映される。今回の運動週間に上映される予定になつております。そういうような映画あたりが一番手つ取り早く臭みがないので、段々そういう氣持を養つていくのではないか。非常に大衆性がありますので、こういうものを利用したいと今やつております。尚一つ本委員会におかれましてもいろいろお教えを頂きまして、私共も努力いたしますが、一緒になつて是非一つやつて頂かなければならないというように思つております。
 第三にお尋ねになりました社会事業從事者は、労働基準法の適用を受けるかどうかということでありますが、これは労働基準法の適用は御承知のように労働省の所管でございます。基準法ができますときに労働省、当時はまだ厚生省でございましたが、関係局とも相談をしておつたのであります。労働基準法の正面から言つて、社会事業從事者をどの條文に入れるかという点については実はいろいろ協議もしましたが、なかなか書き方がむづかしうございまして、労働基準法第八條にいろいろ業種を列挙しておりますが、なかなかむずかしかつたのであります。私共といたしましても、労働基準局の立場といたしましても、從事しております者の労働條件を改善していくという点については、社会事業從事者だからこれから除かれるということはあり得べからざることであり、とにかく縁の下の力持になつておつて、今まで非常に薄い待遇でやつてきておられたのでありますから、これは是非やらなければならないというような立場から、一應できるだけ社会事業從事者もこれに包含させるというふうな建前でやつております。これが各條文によりまして救助事業というようなことでありますれば、医療という文字とか、或いは看護という文字があつたかと思います。そういうようなことは或いは労働基準法の施行規則の中にも「法第八條第一号乃至第十五号の事業の該当しない法人又は團体の事業又は事務所」というように包括的に入れております。そんなことで大部分の社会事業に從事しておる者は労働基準法の適用を受ける。受けさせたい。受ける方がよい。受けさすべきだ、と両省の間では話合ができております。ただ今申しましたように、施行規則第一條の第三号にありますように、「法人又は團体の事業」というふうにしますと、個人なんかのやつているもので、而も包括的に入らないいろいろな業種に入るものはよろしうございますが、どれにも入らないものが又出てくるのではないかということも考えられるのであります。一々具体的にこういう事業をやつている社業事業、こういう事業をやつている社会事業と当めていきますことは理論的には考えられますが、そういうことになりますと、これは入らないということになるのでございます。併し大部分の者はなんとかしまして労働基準法の適用を受けていくということが、この從事者の労働條件を改善していくことからも適当ではないかというようなことで、両省の間では話合をしております。そうなりますと今姫井委員が御指摘になりましたように非常に費用が嵩むという問題が起きて参ります。これは御承知の通りに社会事業の方面でも非常に心配して頂いている問題でありますが、この点につきましては、私共といたしましての対策というか、或いは講じて頂きたいというふうに考えておりますのは、第一は社会事業の中で御承知の通り公共團体がやつているものと、生活保護法でやつておりますもの乃至は今度制定されます兒童福祉法でやつておるようなものについての、それらの福祉施設乃至は保護施設に要する人件費なり、或いはお世話をする費用などは当然施設事務費というものの中に包含されるものと思う。先般御承知のように八月一日から施設事務費が……今りますものだけ申しますと、即ち保育事業、或いは養老その他の事業というようなものについては、それぞれ一日一人八円乃至六円というふうに施設事務費を増額いたしました。それからその外の施設のものについても府縣廳で個々の施設についていろいろ調べて頂きまして、この施設はこのくらいにするということが決まつたならば、知事においてこちらの方へ申請して頂いて承認を得て決めて頂けば、所要の額を出すように方針を決めております。実は私共はできるだけ細かいことを中央で決めてやつて、地方では事務的に混雜をいたしますから、地方でやる範囲を成るべく少くして、地方で便宜なようにしたいというわけで、成るべく沢山の業種を挙げてやつておつたのであります。ところが御承知のように社会事業は非常にいろいろな種類がございましていろいろやり方がございますので、言葉は大変いやな言葉でございますが、ぴんからきりまでありまして、これの基準的な施設事務費というものを定め得なかつたわけであります。一應は定めたりいたしましたが、結局財務当局といろいろ折衝いたし、ますと、まだ確定的に國が決めるには速いというようないろいろ意見が出まして、それも一應御尤だということで、あのように三段階に八円、六円、一円三十五銭ですか、ということにして、あとの方は知事に任して貰う。或程度の資料が集まりますれば、中央で細かいことをやつて、地方でやる範囲を少くしてやることが実情に即するということでその面に努力しております。
 ところが今度労働基準法を適用するということになりますと、それでは足りないという問題が必ず起きて來ます。これは私共も承知しておる。それですぐそれを改正すべきでありますけれども、いろいろな点でそこまで手が延びておりません。それで地方廳の方にはこういうふうにお願いをしております。あのお示しをしました八円なり、六円なりという金額は一應の基礎、基準であります。從つて実際にやるということが分り、それが明らかになれば、所要の金額だけは知事と厚生大臣との御相談によつて一應の金額を幾ら出さなければならんということを決める御相談をして頂けば、是非そういうふうにやらなければならない。やる肚であります。そういうことでありますので、繰り返して申し上げますように、私共の方でも現在の地方の状態から申しますれば、成るべく中央において或一應の基準を細かく具体的に決めてやる方が実情に即するので、できるだけ早くやりたいと思つております。これは一つ姫井委員のような社会事業面に盡力して頂いた方あたりから、或いは日本社会事業協会とも御相談願い、貴重な資料を頂きまして、それによつてやつていくという考えでおります。
 結論を申しますと、やはり保護施設乃至は兒童福祉施設というような施設事務費については、そんなふうな方法でこの問題が解決できるのではないかというふうに考えております。
 第二にそういう法律の根拠に基かない社会事業施設がございます。こういうようなものはどうするかという問題がある。これは先程姫井委員が御指摘のように、補助金は出さなければならんと思つております。私共の狙いは、是非強力にコミュニチィ・チェストの運動を展開いたしまして、この方面から相当の資金が得られて、入つている收容者の援護の問題もそこで解決して頂きまして、從事者の待遇も労働基準法の要求するところまで改善していきたいと思つております。幸い姫井委員御承知のように、コミュニチィ・チェストの問題も今度の水害であの運動ができない縣も出てきたようでありますが、それまでの状態は、大体私共聞いておりますところでは、佐賀縣におきましても御承知のように千万円の募金で千二万円集まつたというようなことでありまして、大阪、名古屋等もすでに委員会ができまして、大阪、名古屋それぞれ五千万円くらいを目標にしてやつておりまして、非常な意氣込でございます。この点については御承知のように進駐軍当局から非常に援助をして頂いておりまして、これは今のところでは相当の成績が收められるのじやないか、そういうことになりまするというと、今のような施設の、これらに該当しないものについても、これらから若干の援助をすることによつてやつて行けるのじやないかと、又そうしたいものだというふうに思つております。要するにこの私設の社会事業は、やはりああいう連合軍の寄附金を出してはいけないということになりますと、この方法より外ないのじやないかと、今そう思つておりまして、これを強力にやつて行く、強力にやつて行くという意味は、ただ無茶にこの金額を多く競つて、そして取れるだけは取るというふうな考え方でございませんで、現実に本当に良い社会事業施設の不足額は幾らである、これだけは是非集めたいという、無理がなく、自然に集まりまして、毎年々々そういうふうに集めて行つて、アメリカの州等でやつておりますように、本当に私設社会事業共同募金によつて安んじて本当に事業に力を入れて行けるというようなふうにするようにしたいものだというふうに努力中でございます。非常に進駐軍方面でも援助して頂いておりますので、これは相当の成績が期待できるのじやないかと思つております。まあ大体そんなふうにいたしますれば、労働基準法を適用して、そうして補助を十分にして上げるべきものじやないかというふうなことで、今までのようなふうに適用して、費用の方は施設事務費で賄えるまではその方で賄なうし、ないものはコミュニチィ・チェストによつて或程度賄つて行くというような方針で、これを実行するためには努力しなければならんので、この点は十分努力をいたしたいというふうに考慮中でございます。

発言情報

speech_id: 100114249X00219470927_016

発言者: 葛西嘉資

speaker_id: 25628

日付: 1947-09-27

院: 参議院

会議名: 厚生委員会社会事業振興に関する小委員会