葛西嘉資の発言 (在外同胞引揚問題に関する特別委員会)

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○政府委員(葛西嘉資君) 中平委員の御質問になりました第一の点でありますが、國立病院並に療養所が有料になつたために、非常に入院しておる人たちが困つておる。病院によつていろいろちぐはぐになつておつたり、徹底を欠いておるという意味のお尋ねでありました。これは今年度の初めに有料ということに決まりましてからは今中平委員の御指摘のように当初のうちはそういうふうな状態のあつたことも私共は認めざるを得ないような状態であつたと思つております。ただ併しその後縣廳の方面、或いは病院の方面によくこの趣旨を言うて聞かしてやつてありますので、段々とよくなつて來ておることも事実だ、こういうふうに思つております。これは先程中平委員がお述べになりましたように、入院料を結局本人が出さないでやれるようにしたいということが御趣旨のようでありましたが、これはやはり金を持つておる人でありますれば全部只にするというわけにはいかんと思います。金のある人からは金を頂く。入つておる人で生活保護法にかかる者はこれは生活保護法にかけて行く、この点は十分やるようにということを通知してあります。
 それから金を拂える者と生活保護法にかかるものとの間に、御承知のようにまだ生活保護法にかからないが、併し金の支拂いがなかなかむずかしいというような者もあるわけでございます。こういう者につきましては、病院の入院規程がございまして、そうして病院長が認めるところによつて入院料を減免することができる。ひどい場合には全部只にして上げる。それから取れる者からは若干一部を取つてまけてやるというような措置ができることになつております。これは病院当局でやることであります。從つてそこの間に三つの階級があるわけでございます。有料になる、それから生活保護法に当然かかる階級、その眞中の階級、この三つの階級があるわけでありますが、取扱機関によつて、その眞中の階級と一般生活保護法の階級とは御承知のように取扱いが違つております。それらのところの事務の連絡がうまく行かないというと、お述べのように非常に混乱を來すというようなことが実際ございます。それで議会でもそういうふうなやかましい声がございましたが、大臣の御注意によつて医務局長と社会局長の連名の通牒を以ちまして、今のことをよく府縣の側にも言うて置きました。それから病院の側にもよく言うて置きました。そうして会合等にもそのことをよく傳えてあります。具体的に申しますれば、先々月の初めに開きました民生部長会議には、医務局長、私も出まして、そのことをよく言うて置きましたから、段々と地方には徹底して参つて來るだろうというふうに存じております。
 それから第二の御質問になりました点でございますが、これは実は私の所管でありませんのでお答え申すのもどうかと思うのでございますが、承知しておる点だけを申上げさして頂きたいと思うのであります。元傷痍軍人でありました者につきましては、傷痍の程度によりまして傷痍恩給というものが出ることになつておりまして、軍人の恩給が停止になりますまでは非常に沢山の恩給が相当低い傷痍の程度の者にまで出ておつたのであります。御承知のように軍人恩給停止の指令に基きまして、一般の恩給は全部停止になつたけれども、特に重い何等症以上の傷痍元軍人についてはやはり恩給を出していいということになつております。額は少くなりましたが出ておるわけであります。或る程度の傷痍者には出ておるわけであります。それは戰争のために傷痍になつた者でございます。又新らしい問題としましては、現在抑留されて、向うでいろいろ働かされておるような人が傷痍を受けたような場合に、今度の公務に基く給與金が出ないかというふうな点については、私の承知しておるところは、恩給局において今その点を鋭意関係方面と折衝しておるように承知いたしております。
 それから第三に、いろいろ生活保護法でやつて参るが、なかなか地方で生活保護法というものがうまく行つてない部分がある、何かこういう引揚げというような特殊なものについては、特別の援護方法をやる意思があるかというようなお尋ねでございましたが、御承知のように生活保護法は、そういうふうないろいろな原因によるものを全部無差別平等に取扱つて行くというのが法の精神でございまして、それは法律の第一條に明らかに書いてあります。それでありますから特に生活援護というものについて、この引揚者だけに特別の援護の制度を作るという意思はないわけであります。ただ無差別平等に保護するということと、それからその困つておる状態に應じて実情に即した保護をするということは別問題であります。生活保護法はその実際の状態に即した援護をやることはちつとも禁じておらないのであります。從いまして極くお氣の毒な引揚げをして來ておる人につきましては、御承知のように去年の冬越冬毛布など出したときにも、或る程度の費用というものは生活保護法の方から一部負担のものについては出した実例もございます。実情に即した援護をして参り、不徹底な点につきましてはこれは一つ是非徹底して一人も洩れないようにしたい、こういうふうに考えております。
 それから第四番目にお尋ねになりました未帰還者の援護のことでございます。特に慰問の方法等を講じ、親切な取扱いをすべきであるという点については、これは申すまでもなくそういうふうにしたいというつもりでございます。向うにおつて生死不明だというような人に対しまして、本当にあなたのところの未帰還者の方はどうしておいでになるということが実はなかなか徹底できないのであります。これは復員廳所管でありますけれども、そういうことになつております。併し残つておる家族の方面に対するいろいろな慰問方法等につきましては、この委員会でも復員廳或いは援護院当局からいろいろお話をしておりますように、向うの状態等分る限りそれを地方廳を通じましていろいろな機会にお示ししておることは中平委員御承知の通りでございます。ただ全部の未帰還者の方に個々に手紙等で示すというようなことはなかなか至難でございますけれども、できれば何かそういうふうにしてやつて参りたい。勿論未帰還の家族の援護ということは生活保護法でもできるだけのことをいたしますが、その他のことでもできるだけのことをすべきものだというふうに考えております。

発言情報

speech_id: 100114356X01019471016_005

発言者: 葛西嘉資

speaker_id: 25628

日付: 1947-10-16

院: 参議院

会議名: 在外同胞引揚問題に関する特別委員会