岡元義人の発言 (在外同胞引揚問題に関する特別委員会)
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○岡元義人君 唯一の途は千円以外には何ものもなかつたのであります。どうしても生き抜こうとするならば、この生業資金の、いわゆる庶民金庫の貸付金によつて更生するという以外に途はなかつたのであります。併しこの更生資金となつておりますところの庶民金庫の金がどういう工合に地方において利用されて行つたかということをば、総括的に申上げますと分りにくくなりますので一地方の、鹿兒島縣下の最近の実情をば取上げまして御参考に供したいと思うのであります。この度鹿兒島縣下で二千六百十八万円の庶民金庫の割当を頂いたのでありますが、只今申込の受付金額の総額は三千四百万になつております。その中二千六百十八万円の金が何らの予告もなく一次、二次、三次に切られまして、第一回の金額が六百八万円割当られて來たのであります。併しこの割当られた金は縣廳といたしましては一應これを取上げて庶民金庫に送つて、再び縣の方へ帰つて來る。この間におきまして相当日数を要しております。この金の運轉につきましては直接更生補導をやつております更生連盟と縣廳、それから金融機関の信用組合と無盡会社というものが一体となりましてこの割当をやつておるのでありますが、実際の申込金額は三千数百万になつて、來た金は六百八万円、こういうことになりますと、今まで計画書類として出ております事業体も殆んど全部が縮小され、そうして或るものはすでに事業に著手しておりながら事業をば中止しなければならんというような結果になつておるのであります。私が特に厚生大臣に本日申上げたいのは、先日大臣がいらつしやいましたとき、霧島の牧薗村、あの附近が私の郷里でございます。丁度私は選挙の最中で大臣に是非見て頂きたい、聞いて頂きたいことが沢山あつたのでありましたが、その機会を得なかつたのであります。とにかく來るようになつておりました生業資金、庶民金庫の金が來なかつたがために、農業会その他あらゆる金融機関から引揚者はこれを振当てにいたしまして金を借りておつたのであります。そうして歳の瀬を越す間際になりましてもこの金が到着しなかつたために、あらゆる悲劇が各所に起つたのであります。甚しきに至りましては第三國人の金を借りておりましてその金が返せないために自分の主人を人質に取られて、そうして大晦日をば迎えねばならなかつた引揚者が沢山いたのであります。そのときほど私はこの庶民金庫の貸出しの不円滑さにおいて全く情けないと思つたことはなかつたのであります。尚只今の実情を申上げますと、あの大臣がいらつしやいました、一見平和そのもののような村でございますが、すでに相当の自殺者を出しております。次から次に自殺者が出て行く状況にあるのであります。少くともこの庶民金庫の放出に対しましては思い切りよく、折角出して頂く金でございますから死んだ金にしないように、生きた金として当局も考えて頂きたい、そうして本当の事業ができるようにして、引揚者の更生を図つて頂きたいということを考えたのであります。とにかく一千万に余る引揚者たちの問題でございます。成るほど厚生大臣もお忙しいと思います。併しながら日本人口の大半を占めるところのこの引揚者の問題は、絶対に等閑にされるという趣旨のものではないことは分り切つております。併しながらこの第一國会が始まりまして、一体この特別委員会でいろいろ同僚委員がなんとかして解決を付けなければならんという問題が山積しておるにも拘わらず、何ら具体的な、本当にこの第一國会として引揚者の問題が解決付いておるという問題は誠に少いのであります。本日はすでに第一國会も、あとそう長くありませんし、是非とも大臣の本当の人間性によりまして、この問題をば明確に、この委員会が本当に明るくなるような明確な回答をば、心から希望する次第であります。