中條勇次の発言 (治安及び地方制度委員会)

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○公述人(中條勇次君) 私は前辯士と同市の者でありますが、大體東京都における特別區の希望を申上げたいと思います。五月我々は改選以來區長といたしまして、又自治區といたしまして、特別區といたしまして二十三區連合いたしまして自治權擴充委員會というものを作りました。又今囘警察制度確立委員會というものを作つて、その委員長としてやつておりますがために、重複する點があるやも分りませんが、どうぞお聽き流しを願いたい思います。
 今囘警察制度改革法案は、地方自治權の原則に則りまして警察權の地方分散を企圖して基本的人權が確立され、從來の中央集權的國家警察の弊を一擲し、正に民主日本に相應する畫期的警察制度の出現を確立するものであります。原則的には自治行政に從う私共といたしまして欣快に堪えないのであります。
 然るにこの法案中、市及び五千人以上の人口を有する市街的町村には、自治體公安委員會竝びに自治體警察を設くることが規定されておるにも拘らず、獨り東京都のみにおいては、新憲法下の地方自治法により完全なる自治體として、その獨立性を認證される東京都特別區、これは地方自治法二百八十一條にありますが、の自主權と獨立性を全く無視して、本法案の根本的精神即ち地方分權を沒却したるがごとき結果を生じおるは誠に遺憾とするのであります。
 そもそも東京都特別區は、都市性において、文化性において、或いはその擔税力において、優に多縣を凌ぐ大都市的形態を持つております。人口の點におきましても、各區の現状は、小は十萬、大は四十萬に垂んとして、晝間人口のおいては百萬を突破する大區もあります。加えまして法的に完全自治體としての獨立性を備えたものであります。本法案の示す標準人口の數十倍の内容を持つ二十三區が自らの獨立せる一ケの公安委員會を持つこと能はず、山間の一町村にも劣る待遇を受くるこの制度は現實において大きなる誤謬と將來への問題を有するものであります。東京都二十三區特別區の新憲法に基く地方自治體の自主權を全く無視したるものであります。獨り東京都のみにおいてこの自主權を放棄することは、今囘の法案の立案精神と逆行するごときは甚しき中央集權的であり、私共誠に奇怪とするところであります。賢明なる参議院諸公の深甚なる御配慮を冀求する次第であります。
 尚本法案第五十一條乃至第五十三條によれば、東京都においては國家地方警察の公安委員會の委員の任命は都知事が行うとされております。かかる二重の權力を同一人に兼ねることは全國にその比を見ず、東京都知事は國家地方警察、自治體警察を把握したる獨裁的一大權力となるのであります。
 本法案の根本思想である權力分散の目的に全く相反する結果を生ずるものと論斷せざるを得ないのであります。ミイラ取りがミイラになるの諺そのままの結果を招來せんとしておるのであります。この點においても參議院諸公の賢明なる御修正を強く希望する所以であります。
 また一面曾ての東京府、市、議會が警視廳との關係におきまして特に幾多の反省すべき問題を知るものは、再びこの大きなボス的制度の復活出現に對してその前途に對して深甚なる憂慮を拂う者であります。この法案によりこの機會に改革されざれば、いつの日この禍根が絶たれるかを考え、特別區二十三區警察行政を都知事任命の三名の委員に掌握せしむるか、二十三區六十九名、即ち一區三名、六十九名の委員に分擔して運營せしめるか、いずれが四百萬特別區の幸福であり民主的たるかは私共の論斷を俟たずして明白なものがあると思います。權力分散の目途に合致する東京都特別區の正しき主張を御理解されて御檢討の上次のごとく御修正あらんことを二十三區を代表して切望する次第であります。
 即ち第四十條冒頭の「市」の下に括孤書きを以て(東京都の特別區を含む)との項目を挿入され、且つ第四節「特別區に關する特例」を全面的に削除し、仍つて以て都下二十三區それぞれの區に對し公安委員會の設置の途を拓かれまして、新憲法下眞に民主化されたる警察制度現出のため特段の御努力をお願いして置く次第であります。

発言情報

speech_id: 100114398X01819471126_029

発言者: 中條勇次

speaker_id: 31152

日付: 1947-11-26

院: 参議院

会議名: 治安及び地方制度委員会