林敬三の発言 (治安及び地方制度委員会)
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○政府委員(林敬三君) 私どもも地方の財政というものは甘いものだとは決して考えておりません。これは實に苦しい、大部分……殆ど全部非常に苦しいと思つております。併し先程も私がそれについて申上げましたのは、この限度まで引上げますと、大抵はこの限度まで上げて來るだろうとは、かように考えますが、併しそれは上げねばならんというものではなくて、何らかの工夫のつくところでは、これは上げなくても構わないということで、これだけは絶對に取らなければならないと政府で命令する性格のものではないと思います。そこで戰爭について特に犧牲を受けて、そうして非常に苦しい生活をしておる人に對してまで絶對に取らなければならないという性格のものではない、かようなことを申上げたのであります。地方財政が苦しいということについては、私も、もうあなたに決して劣らない、むしろ私も、これは官吏でありますけれども、その方の責任者でございまして、重々存じております。又私最近までは自治團體の責任者をいたしておりまして、そのときの苦しい思いも十分存じております。この點においては決してさような甘いものとは考えておりません。それから上げましたならば、大部分の町村では、早速そこまで取らざるを得ないということになると私は思つておりまして、その間、私の申上げることが、或いは足りなくて、そういう印象をお與えしたとすれば一つ御訂正を願いたいと思うのであります。何といたしましても、實はこれについては住民税の性格論については仰しやる通りでありまして、これはいわゆる負擔分任の精神を現わすために作つたというのが、この趣旨だと思うのであります。餘りにこれが金額が多くなるということは、この税の本質を段々に逸脱して行くことになると思うのでありまして、これは極力戒めて行かなければなならないと思いますが、止むを得ずこの程度のところを、先程大臣から申上げましたように、どうしてもいたし方ない、かかる枠を擴げる措置をとらざるを得ないということになるわけでございます。やはり各人も勿論苦しいときでありますから、税は低きに越したことはないと存じます。いろいろ私どもの方も、内心苦慮いたしまして、これについていろいろ研究を重ねたのであります。幾分なりとも心を休めるといいますか、點を一つ申上げますならば、これでも休まるわけでもありませんが、これを月割にして見たのでございます、今度の増加額を。そうするとこれは大體一世帶、世帶主が納税者でございますが、一世帶當り月に入圓ほど出して頂く計算になります。大部分は昔から見ますと、物價が六十五倍とかいうようなことを言われておる今日でございまして、それ故に税を出すことも苦しいでございましようが、貨幣の單價が下つて來ておりますし、まあまあこの程度のところは、いいことではないけれども止むを得ないというところで、目をつぶつて頂けないかという氣持でございます。
それから最後に御意見がありました税というものは、國家依存の形でいいとは毛頭考えておりません。これは現存の府縣の區劃とか、財産のいろいろな偏在しておる状態とか、そういうことからなかなか困難のことはあると思いますけれども、中央依存を徹底的に、この際許される限度において、最大限度中央依存を廢して、地方自主の地方財政を持つて行かなければならないと思います。財政委員會ができましたのも、それをやるのが根本だと存じておりますし、次の國會には財政委員會の研究の結果がそこに提案されて、皆さんの御審議を受けることに相成ると存じてります。