三井新次郎の発言 (電気委員会)

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○説明員(三井新次郎君) 私電力局の三井でございます。簡單に今度の颱風による電氣設備の水害について御報告申上げます。十五日の臺風の先觸れの雨によりまして、關東地區において相當の被害がありましたことは、新聞に相當詳しく出ておりますので、極く要點だけを申上げます。最初に電力方面に被害の生じましたのはその日の午後五時十分でございますが、鐵道省の信濃川送電線の鐵塔が倒壊いたしまして、そのために信濃川方面から送うておりました電力が全部停電いたしまして、それと前後いたしまして、日發の上越線、これも信濃川の方から參つておるのでありますが、その系統に付いております佐久發電所がやはり利根川の洪水のために侵水いたしまして發電所の附属建物の一部が倒壊いたしました。それ等の關係で相當の電力が一時になくなつたために全系統が壊れまして東京都を中心とした廣い區域に亙つて全停電が起つたのでありますが、それに對しまして直ぐに復舊の手を講じまして、大體東京に對して電力の供給が徐々に開始されましたのはその日の午後五時十分から後十五分、二十分というふうに段々區切つて送電をいたして行きまして、七時半頃から漸次囘復いたしまして、八時半頃には進駐軍關係その他水道、電鐵等に對する送電の手筈が完了いたしました。十六日の朝には緊急でない需要を除きまして約六十萬キロワツトの送電を開始いたしたのであります。その後水力發電所、送電線等に對しまして緊急の復舊工事が行われまして、鐵道省の送電線は十六日の夕方、明る日の夕方、一囘線だけが假工事で復舊いたしました。送電が開始して一囘線は十七日に更に假復舊ができました。現在二囘線とも假施設によつて送電がされております。又佐久發電所の水害に伴いまして、上越線が全停電をいたしたのでありますが、これは佐久支線、佐久の發電所に出ております支線を切り離しまして、十六日の朝假復舊で上越線が送電を開始いたしましたので、東京方面に對します送電幹線といたしましては、現在送電に支障がない状況でございます。今日の午前中の状況で申しますと、これを水害直後の事情と比較して申上げますと、日發、關東配電その他におきまして約七十萬キロ以上の水力發電所が停電又は出力の制限をいたしたのでございますが、現在本日の午前の状況におきましては、合計それが半減いたしまして、約三十二萬キロワツト位のものが停電若しくは出力を制限いたしております。この中には水害前から停電をいたしておるものも多少入つておるのでありますが、この三十二萬キロの電力は、關東地區に對する現在の水力發電可能力に比べましておよそ四分の一程度に相當すると思います。
 水力發電所及び送電線につきましては以上の通りでありまして、變電所については日發關係については殆んど被害はありません。關東配電で埼玉縣の方の變電所が濁流に包圍されていると考えられるのでありますが、詳細不明でございます。それから東北地域におきましては、現在までのところ判明いたしておりますところでは、被害は比較的僅少の見込みでありまして、全停電又は出力制限をいたしております水力發電所は、五ヶ所で約二萬キロワツト程度のものでございます。配電線に對しましては、水害地域の状況がまだ判明いたしませんので、目下調査中でございますが、相當甚大な被害があると考えられますので、それ等の復舊につきましては相當の資材その他を必要とするものと考えております。尚先程申しました佐久發電所の被害は、發電所中でも最も猛烈なものなのでございまして、これの復舊には相當の時間を掛けなければならないと思います。今のところその復舊の見込はちよつと立て兼ねておるような状況でございます。佐久發電所は六萬六千キロワツトの發電所でございます。利根川筋におきましては最下流の發電所でございます。
 今申しましたのは害の方でございますが、水力の増加に對する影響を極く簡單に申上げますというと、この九月に入りまして八日、九日頃が水力の最低でございましたのでありますが、關東、關西方面を合計で申上げますというと、自然流量の發電所で申上げますが、即ち調整しない……貯水池を持つておらん發電所の自然流量のままで發電したならば、どれだけ出るかという數字で申上げますが、八日、九日頃は關東、關西を合せまして、百三十五萬から百三十八萬キロワツト程度の發電をいたしておつたのであります。これに對してこの十日から僅かばかり雨が降つておつたのでありますが、この十五日の雨によりまして、推定でございますが、百三十五萬乃至八萬キロワツトであつたものが約二百九十萬キロワツトの自然流量を持つたのでございます。倍以上になつたのであります。併し先程申しましたように、關東方面におきましては、その半分に相當するものが發電不能の状態に陷つたような次第であります。十六日はそういうわけで、自然流量が非常にあるに拘わらず、關東方面の供給は相當混亂をいたしております。關西方面は殆んど被害を受けておらんので、相當豐富に電力の供給がされておのたのであります。現在十八日の状況では、この二百九十萬キロワツト程度に上つたものが、約二百四十萬キロワツトをちよつと割つた程度であります。それにいたしましてもこの八日、九日頃の最低であつたものに比べましては、自然流量としては約百萬キロワツト増加しておるのであります。この中には勿論先程申しました、水害のために發電不能になつておるものが出るものとしての勘定でありますが、先程申しましたように關東地區におきましては、約三十萬キロワツト餘りのものが停電又は制限中のものを含んでおります。八日、九日頃の最低の、最渇水の時には、火力は關東、關西を合せまして、約十六萬キロワツトを發電いたしておつたのであります。現在は石炭を節約するために、電壓保持のために必要なる最小限度、即ち二萬キロワツトを發電しておるわけであります。尚貯水池につきましても、冬季對策といたしまして、水を搾つて貯水に努めておるような状況でございます。猪苗代の貯水池に對しましては、この最渇水の時には、相當猪苗代の貯水池を使いましたために、あすこの本湖の、猪苗代本湖の方でございますが、水位が〇・九メーターぐらい近くまで下つておつたのでありますが、現在は一・五メーターにまで囘復をいたしております。尚これを相當節約すると同時に、まだ流れ込みが多少あると思われますので、大體猪苗代貯水につきましては、非常に心配しておりましたけれども、ほぼ計畫程度のものが、即ち渇水を迎えるための準備としては、ほぼ必要なものが溜まるのじやないかというふうに考えておる次第であります。
 大體水害については以上であります。

発言情報

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発言者: 三井新次郎

speaker_id: 20983

日付: 1947-09-18

院: 参議院

会議名: 電気委員会