吉岡俊夫の発言 (電気委員会)
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○説明員(吉岡俊夫君) 私安定本部の動力局の電力課長であります。局長にちよつと差支えありますので、私が代りますから惡しからず……。今年の冬の電力の見通しでありますが、いろいろの原因で尚十分でないという見込がつくのであります。これに對してはいろいろな方策を立てておりますが、一つは設備の能力の點から、次は電力量を殖やすための發電用炭の配當の問題、そういのような供給力を殖やす面もいろいろ考えておるわけでありますが、その方面が豫定しておりますものもそう十分なものでありませんので、結局は需要電力の調整をやらなければ、この冬は乘り切つて行けないという見通しが立つのであります。尚電力の需給の状況は、從來は冬の渇水期、或は夏の渇水期というような水力發電が減退した場合に不足を生じ、春の豐水期とか、秋の出水時等には電力が餘つておるというのが從來の状態でありました。それが最近、特に本年度に入つてから電力需要が非常に増加いたしまして、戰時中の最高能力、これは一日平均約一億キロワツト時でありましたが、それを幾分凌駕する程増加して參りました。從つて最豐水期におきましても電力が十分でないというような状態に立ち至つたのであります。そこで今後は一年間を通じて、電力を合理的に調整して行きたいと考えまして、今囘安定本部の訓令を以ちまして、去る十三日に關係方面に電力需給調整要領というものを交付したわけであります。この目的はいろいろありますが、まず最近電力需要が非常に増加しておるのは、一つは各消費者において電力を無駄使いしておる面があるだろう。それでこれを合理的に電力の配分をすることによつてこの無駄使いを矯正して行こうというのが一つの狙いであります。それから次は、去年までは電力制限をやります場合に、或る特定の時期における消費實績を基にして、それの何割制限というような工合に消費規正をやつて來たわけでありますが、これで行きますと、電力を無駄使いした者が結局實績を多く持つていて、渇水時期に得をするという關係で、さつき申しましたような電力の合理的使用が行われないばかりでなく、必ずしも重要でない産業が、實績が多いがために渇水期に餘計に電氣を使うというような不合理なことになります。從つて今後は産業の重要度に應じ、而も産業の生産計畫に應じたように電力を配當したいというのが第二の狙いであります。それから次は、これは國民の生活上必要な電力についてでありますが、從來やはりこれも實績主義で電力規正を行なつて來た關係上、國民によつて電力の使い方に相違がある。詰り電力を普段ふんだんに使つていた人が渇水期にも使える、そのような工合で、各國民の間に不公正な取扱いがあつたわけであります。それで今後はこれを公平に、公正に國民の間に配分したいというのがその又一つの狙いであります。こういうような狙いの下に今度の調整要領はできておるわけでありますが、その内容を簡單に申上げますと、電力の需要をまず四つの分に大きく分けます。一つは産業用の大口電力でありまして、電氣事業者がら電力を五百キロワツト以上貰つておる工場、事業場がこれに入るわけであります。次は産業用の小口電力でありまして、産業用の電力の中、今の大口電力以外のものであります。第三は業務用の電力、ビルデイングとか官廳とか商店というような方面に使われておる電力であります。それから第四が住宅用の電力、このように四種類に分けております。その中産業用の大口電力につきましては、考え方は大體指定生産資材の割當手續と似ておるのでありまして、各需要家から毎四半期ごとに割當の申請書を主務官廳に出して頂きまして、主務官廳がそれを集計査定して、安定本部に需要部門別に電力の割當申請をする。そうして安定本部におきましては、各主務官廳から來ました需要要請と一方供給量、即ち電力の供給し得る量を相定いたしまして、それによつて各需要部門ごとの配當を行なつて、主務官廳にそれを通知いたします。そうすると主務官廳はにれを各工場、事業場別に假割當いたしまして、これを各地方商工局の電力部に通知いたします。それで電力部で配電會社の配電能力その他を考えて、最後の需要家に對する割當證明書を出すということになります。今申しましたように、大體は指定生産資材の割當規定とよく似ておるのでありますが、少し違う點は、最後に電力の主管官廳、つまり各商工局の電力部が間に入りまして、それが割當の切符を切るという點が違うわけであります。これは電力の特性といたしまして、各主務官廳においてはなかなか電力の實態を掴むことがむづかしいという點があります。從つて當分の間は電力部が幾分世話をしなければなるまいという點と、それから電氣を或る會社に割當しましても、配電能力の關係上そこへ電氣が行かないような場合があると困りますので、そういうことを調整するために電力部が間に入つておるわけであります。その點が他のものと少し違う點であります。
それからあとの産業用小口電力及び業務用電力、住宅用電力につきましては、或る一定の基準を設けまして、その基準によつて公平に公正に各需要家に配分するのであります。尚從つて從來のような實績主義じやなしに、例えば住宅用の電力につきましては、ほぼ各需要家共その人數とか、或いは世帶數といふものを考えて決めた適当な公正な基準で配當することにしております。ただ少し趣の違う點は、住宅の電熱用の電力であります。この配當は、昨年はやはり實績主義によつて配當をいたしましたが、その場合に他の燃料、即ち薪炭とかガスとか豆炭というようなものとは全然關連なく配當いたしました。從つて電力を使える家庭は、それだけ餘分に使えたわけであります。今年はこれを改めまして、家庭用の燃料綜合對策というものを立てまして、電力、ガス、薪炭、煉豆炭、こういうようなものを綜合して公平に各家庭の燃料を確保しようということになつております。その場合電力の供給方針といたしましては、元來電力は、熱として使うことは、最もエネルギー的に考えて得ではないのであります。特に渇水期火力發電をして貴重な石炭を燃やしてまでそれを熱として使うことは、エネルギー的に言いまして非常に損であります。それで渇水期の家庭用の電熱用電力は極力これを減らす、他の燃料で補えない場合に、その足らん分だけを最小限度に供給するという方針によつて配當する。併し豐水期、水のありますときには、最近の薪炭状況の非常に苦しいときでありますので、それを幾分でも緩和するという意味で幾分増配する、こういうような方針をとつております。
それから第二は薪炭は特に大都會において苦しいのであります。薪炭の生産地においては比較的入手し易いのでありますが、六大都市その他の薪炭消費地におきましては、輸送の面その他からいたしまして、薪炭の配給が非常に困難である。そういうことを考えまして、電熱の配當を行うのは、原則として薪炭を消費する府縣の都市に限るということにしております。但し薪炭生産地でありましても、市制施行地で必要とする場合には、或程度の配當をしたいと思つております。併し九州は電力事情が非常に惡いので、今年は全然認めないことにしております。
次は殊に都市に限つて配當するわけでありますが、その中でも定額で使う家庭は非常に無制限に使われる虞れがありますので、一應認めないことにしまして、從量、メーターで使う家庭に電熱の使用を認めるということにしております。ガスが二十四時間出る區域、詰り進駐軍へのガス供給區域で、それに從つてガスの出て來る地域におきましては、電熱の配當をしない、こういうように考えております。以上申しましたような方針で今年の冬の電力配當をやりますが、ただその電力は他の物資と違いまして、水力發電というものは非常に變り易いもので供給いたします關係上、その供給力を的確に使うことが非常にむづかしいのであります。それで配當をいたします場合には、一應過去五ヶ年乃至十年間の可能發電力を見まして、普通ならばこのくらい出るだろうという豫想を立ててやりますが、或る場合には渇水をする場合もありますし、又或る場合には水が出る場合もあります。從つてそういうように豫想よりも供給力が下つたり、上つたりした場合には、何らか特別の手を打たなければならんわけであります。他の物資であれば豫想よりも供給力が不足すれば、それは空切符になる。餘ればストツクになつて來るわけでありますが、從つてあるときは次の時期に調整ができますが、電力が足りなければ、サイクルが下がる、又電壓が下る。餘れば水を捨てるのでありまして、そういう變化に應じて時々刻々手を打たなければなりません。從つて電力の調整方針としましては、そういう場合に或る一定の方針で電力の割當を減らしたり、或いは特配したりすることができるように考えております。この方針を現在商工省及び各省に連絡してありますので、現在商工省においてこの具體的の方針を立案中であります。從つて細かいことはその方面で聽いて頂きたいと思います。