松井道夫の発言 (労働委員会)
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○松井道夫君 只今二十條が出ましたので、豫て疑問と思つておる點をお尋ねしておきたいと思います。この規定は爭議行爲に對する不介入という建前でできておりますので、一見無理もないように思えるのでありますが、更に深く考えて參りますと、爭議行爲の發生している部門或いはその發生する虞れがある部門には、求職者を紹介しないということは、いささか觸らぬ神に崇りなしといつた氣分でございまして、これが正常的の勞務者の紹介を、特に爭議行爲があるからしないということは、この業務の運行というものを阻害いたしまして、却つて爭議行爲に對する干渉の形になる場合があると存ずるのであります。將來この爭議行爲の形態が、どういう工合になつて參りまするか、これは豫斷を許さないことでありますが、或いは同盟罷業というようなこともありましようし、或いは勞働組合側で業務の擔當をやつて行くといつた形で行く場合も想像できるのでございまするが、いずれにいたしましても、特に智的の勞働者のその職業があるといつた場合に、急にそれを紹介しないといつたような例を考えて見ますれば、却つてこれがそういうことに對する干渉というふうにも考えられる場合があると存ずるのであります。中立的立場を維持するといいますことは、これはいろいろに理解されることでございましようけれども、特別の利益を與え、特別の不利益を與える、さようなことをしないという意味合に解釋すればそれでいいのではないかと存ずるのでありまして、特に業務の運行を阻害するような場合でも、よく求職者を紹介しないというのは、これは行き過ぎではないか。先程申しました、觸らぬ神に崇りなしといつたような、臆病な態度ではないかと私はそういうようにも考えるのであります。でありまするから、要するにここで職業安定所は、勞資のいずれの立場にも立つものではない。爭議行爲がある場合には、それに對して特別の不利益、特別の利益を與えるようなことがあつてはならないといつたふうの彈力的の規定の方が却つて宜しいのではないかというように存ぜられるのであります。その點についての御意見を煩わしたいと思います。