鈴木義男の発言 (労働委員会)

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○國務大臣(鈴木義男君) 誠に適切なる御質問でありまして、実は労働基準法を実施いたしますると、この基準法第八條の中には、刑務所の職員の仕事ということは謳つてありませんけれども、その内容実質は同一の仕事をやつておる人が非常に多いのでありますから、当然適用されることに相成るのでありまして、今までは或いは十三時間勤務、十四時間勤務、晝夜勤続とかいうようなことで、甚だ過労な労務に從事しておる職員が多かつたのであります。この基準法の趣旨をそのままに実施いたして行きまするためには、実はこの委員会等に御理解を頂きまするために準備をいたした数字があるのでありますが、今日ちよつと私持つて參りませんでしたから、御質問がそこであるということを知らなかつたために、次の機会に提出をいたしたいと存じまするが、極く大まかに申しまして、今の倍数の職員を必要とする。こういうことに相成るのであります。その数字につきましては、どういうわけでそうなるかということは、追つてそういう書面を提出するということに御了承願つて置きます。從つて是非明年度から、今年度でもできるだけはそうお願いいたしたいのであります。増員について是非御協賛を願いたいと存ずるのであります。
 それから第二の労働組合法第十一條違反の事件について裁判所がこれの取扱いに甚だ緩慢ではないかというお言葉でありまして、これは恐縮に存ずるものでありますが、確かに多少この判事が労働法規に精通しておらない、或いは労働組合運動というようなものの大質について十分なる理解がないために、多少遅延するというような傾向は率直に申上げて認めなければならないかと存じておるのであります。これは遺憾なことでありまするから、特に司法省におきましては、訓令を出してそういうことのないように、敏活に取扱うようにということを申してはおるのであります。若し甚だしく遅延をいたしておりまするような実例がありまするならば、御指摘頂きますならば、適宜の処置をとりたいと存じておるのであります。但し檢察の方はそういたしまするが、裁判所の方は又最高裁判所に善処方をお願いする他ないのでありますから、その点も御了承を願いたいのであります。要するに專門のこの労働法規に通じ、労働運動の精神を理解する判檢事というものを多数得ますることは、新憲法の精神を施行いたしまする上に大切なことであると思うのであります。御承知の通り終戰後俄かに労働運動というものも勃興をいたし、又労働が財産に対して非常に尊貴なる地位を占めるものであるという自覚が急速に持ち上つたという関係上やや今日の裁判所なり檢察廳が、その点について時勢遅れではないかというような御批判を頂くのであります。遺憾ながら若干これを否定するわけに行かない部面もあるように存ずるのであります。で実は特別の講習会等を開き、いろいろな方法によつて既存の裁判官、檢事諸君がこの労働問題に十分の理解を持つように努力はいたすつもりでおりまするが、進んではお言葉のように労働問題に主として勉強をして取扱うところの檢事、判事を多数に全國に配置いたしたい。これは是非近い將來に実施いたしたい、こう存じておるのであります。特別の裁判所を設けるというわけには参らんと思うのでありますが、そういう主任判事、主任檢事というものを至るところに配置いたしまして、そうして理解あり、且つ敏速なる処理をいたすというようにいたしたいと存ずるのであります。尚この十一條違反に対する罰則等が軽きに過ぎはせんかというお尋ねでありますが、これは禁錮六ケ月と罰金五百円という選択刑に相成つておるのでありますから、この問題に理解ある判事が適当なる量刑を用いまするならば、必ずしも軽きに失するとは考えないのでありますが、漸次この十一條違反を敢えてする企業家がありますやに承りますから、情状によりましては、当然体刑を以て臨むべきであると存ずるのであります。今日の貨幣價値において五百円というようなことは仰せの通り誠に軽きに過ぎる、罰金刑だけを重くするということでありまするならば、私共は必ずしも異存はないのであります。併し運用よろしきを得まするならば、これでもやつて行けるのではないかと存ずる次第であります。

発言情報

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発言者: 鈴木義男

speaker_id: 9090

日付: 1947-10-14

院: 参議院

会議名: 労働委員会