安藤覺の発言 (農林委員会)

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○安藤(覺)委員 関連して……。私先ほど来各委員の質問並びにこれに対する厚生当局の御答弁をここで承つておつたのでありますが、私人間かおとなしいせいか、あるいは今までのこの農林委員会の審議のあり方が非常におだやかでスムーズであつたのになれたためか、きようはこのままで引下るのは何か心に大きな影をさしておるような気持がいたすのであります。そこで私最後に時間を少しばかりいただいて、阿曽村さんにお尋ねしておきたいのであります。
 御承知のごとく、日本の現状は食糧不足、ことに米の不足を大いに訴えておりまして、このために食糧増産ということ並びに食生活の改善ということにつきましては、ほとんど国をあげて努力しておるような次第でございます。特に食生活の改善ということになりますれば、粉食奨励ということが当然出て来るわけでありまして、パン食をいたしますためには牛乳というものかこれに付随して来ることは、絶対にと言つていい要件になつて参ると思います。私百姓をいたしておりますが、パンを一斤食べてみそ汁二はい飲んで畑へ出ますと、畑では三さくとはできません。二さく目にはどうしても足を切つてしまいます。これはどうしてもパンと牛乳を伴わなければならない。そうすれば腹ごたえがあるわけであります。かほどに牛乳というものは大切なものでありまして、そうしてここに非常な酪農振興という運動が展開されて国もこれに莫大な予算を出しておるわけであります。その結果といたしまして、近時牛乳の供給度がようやく高まつて参りました。これは厚生省のあなたの方のお立場から考えてみられましても、単に子供ばかりでなしに、一般のおとなにいたしましても、できるだけ保健衛生上牛乳というものの消費が行われることは好まれるところだろうと思うのであります。しかるにたまたま今日になりまして、すでに御承知のごとく乳価が大暴落をいたしまして、このためにせつかく盛り上つて来たところの酪農の意気が再ぴ消沈してしまつて、牛乳の供給量というものが減つて行くことは火を見るよりも明らかであります。このことはひいて食生活の転換というものを不可能に至らしめますし、いつまでも日本のこの足らない足らないといわれる米にかじりついておるという姿にもなつて来るわけであります。そこにおきまして、先ほど来伺つておりますと、低温であろうと高熱処理であろうと、いずれにいたしましても腐敗しないものにはならないのだ、どつちでもやはり腐敗するのです。たまたま御主張を承つておりますと、低温処理をした場合は、その細胞を破壊しないということによつて栄養価が高いのだ、こういうことで厚生省は強く低温処理に執着を持つておられるようであります。しかし今の段階においては、低温であろうと、高温であろうと、その処理いかんにかかわらず腐敗したものでなければいい、とにかく牛乳を少しでも多く国民に消費させる方向をたどる、このことが食生活改善とともに、ようやく困窮の底へ落ちようとしている農村地帯へ大きな経済基礎を与え、そうしてともどもによき結果を見るということになると思うのであります。もしこれが高温処理ということになりますれば、ほかにもいろいろ障害はありましようけれども、高温処理でなお妨げないということであれば、需要はぐんとふえて来ましようし、供給はますます高まつて来るだろうと思うのであります。かような考え方から行きますと、今厚生省においてかたくつかまつておられる低温処理でなければならぬというお考え方は——あなた方の理想から行きますればそうでありたいでありましようけれども、日本の現状はそれ以下にあるのだから、その以下の者を引上げるためには皆様方の理想、皆様方の文化性というものをもうちよつと低めて、国民大衆の線に沿うところまであなた方がおりて来なければならない。指導者があまり先に行つてしまうと、大衆は指導者がどこへ行つたかわからないのでついて行きにくい。だからもう一歩あなた方が下へおりられてそうして高温、低温二本建けつこう。しこうして先ほど川俣君も言つておられましたが、高温の場合においてはこういう欠陥があります、低温の場合においてはこういう長所があります、従いまして国民の皆様、長い間御消費なさる場合に、わずかな量でも子供に対してより栄養価を与えることができますからという、啓蒙を熱心になさることはけつこうでありますが、その基礎においては二本建でよろしいということにお考えを置いていただいて、先ほどもたいへん急げ急げという委員からの要求でございましたが、皆様方の毎日のお仕事がかなり過剰になつてお疲れになつておられるときでもありましようけれども、さらに今まことに重大な危機に来ておるのでありますからして、一層お疲れのからだにむち打たれて、すみやかなる機会にこの結論へ到達していただくように願いたい。大臣も参議院で申しておられたし、また政務次官も農林政務次官とも相談の上、そういうふうになければならないと言つております。それがたまたま課長さんのお耳に入らず、御存じなかつたということでありますが、そういうことでありますならば、あなたが、上司の意見に従うとおつしやるのは公務員として当然のことであります。私はよくそのお気持を察します。忠実なる公務員であられることはけつこうであります。どうかすみやかに大臣、政務次官の御意見を徴せられまして、ようやく盛り上つて来た酪農が再び没落のふちへ沈もうとするこの状況に際し、あなた方の最後の望みであられるところの、国民のことごとくが毎日牛乳三升ずつも飲むという状態に日本を持つて行くように、ひとつあなた方の文化性を一歩低めてください。指導性を低めてください。そしておやりになつていただく方がいいんじやないか。先ほど来私もたいへん聞きづらい雑音に耳にいたしまして、まことに御胸中お察しいたします。しかし熱するところこういう雑音も出て来たことと存じますが、あまりにも皆様方の指導性が高いところにおられますから、えてしてわれわれ同僚もあなた方の指導性というものの理解に苦しみ、そういう雑音になつたことだろうと存じます。どうかこの点は大きな立場から大らかにお考えくださつて、しかもすみやかに御処理願いたい。もしお願いだけでは質問の体をなさぬからいけないとおつしやれば、また委員長のお許しをいただいて何事なりともお答えいただくにしても、お答えいただかなくてもけつこうであります。きようの委員会を私ここで聞いておりまして、心に何かが残るので、このことを一言申したわけであります。

発言情報

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発言者: 安藤覺

speaker_id: 28997

日付: 1954-11-13

院: 衆議院

会議名: 農林委員会