菅家喜六の発言 (本会議)

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○菅家喜六君 ただいま議題となりました議員荒木萬壽夫君の逮捕について許諾を求めるの件について、議院運営委員会の審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本件は、議員荒木萬壽夫君の収賄被疑事件について、東京地方検察庁検事河井信太郎からの逮捕状請求に基く東京簡易裁判所判事向井周吉からの要求に従つて、去る十六日内閣から同君の逮捕につき本院の許諾を求められたものでありますが、その被疑事実は公報によりすでに御承知のことと存じますので、これを省略いたします。
 議院運営委員会は同じく去る十六日本件の付託を受け、翌十七日秘密会を開いて法務大臣及び井本刑事局長より本件の説明を聴取し、次いで去る二十二日及び本二十四日、同じく秘密会において法務当局に質疑を行つたのであります。
 その内容につきましては秘密会のことでもあり、また従来の同種事件について述べましたことと重複するところもありますので、詳細な報告を差控えたいと存じますが、特に委員会の了承を得て、以下その質疑応答のおもなるものを申し上げます。
 第一に、荒木君に対する逮捕状の請求は、さきに行われた關谷、岡田両君の場合と同じく、三盃、小山両名よりの収賄に関するものであり、かつ、任意出頭による荒木君の取調べの日時より判断するも、關谷、岡田両君に対する逮捕状請求と同時に決定せらるべきであつたにもかかわらず、一人遅れた理由は何であるかとの質問がありました。これに対し、法務当局は、荒木君に対する逮捕状の請求は、關谷、岡田両君と同時にすべきであつたかもしれぬが、確信を得るためにさらに重要な関係人の取調べを行う等慎重な検討を重ねたため遅れたのであり、その間に何らの作為をも加えてないとの答弁がありました。また、検察庁は、国会においては、通常、会期末には重要議案が山積し、多忙をきわめるということについていかなる認識を持つているか、会期もあと十数日のみを余す今日、国会における審議の最も重要な時期に、憲法により保障された議員の不逮捕の特権を侵してまで、ことに一党の国会対策委員長の重職にある議員を逮捕しなければならない理由は何かとの質疑に対しては、国会が会期末に多忙なことも、国会対策委員長の職責の重要なことも、法務当局としてはそれなりに承知しており、これらについて十分考慮を加えたが、全般の捜査の関係上急ぐ必要があり、証拠が隠滅されるのをおそれて荒木君の逮捕許諾を要求したとの答弁でありました。なお、委員長からは、法務当局に対し、本委員会における質疑、要望等の内容を検事総長に十分に伝えられるよう特に要請いたした次第であります。
 委員会は、事案の重大なる性質にかんがみ、その取扱いに慎重を期して参りましたが、本日の委員会において質疑を終了し、討論に入りましたところ、自由党より、第一に、会期をあと二週間を残す今日、会期終了を待たないで議員の逮捕の許諾を求めることは、憲法の精神より見ても穏当ではないではないか、第二に、会期末の国会は重要案件が山積し、ことに荒木君は改進党の国会対策委員長の重職にあり、国会の審議権を尊重するというならば、かかる際にこそ尊重されるべきこと、第三に、特に本月二十日過ぎには内閣不信任案が上程されることは以前より周知のことであつたにもかかわらず、去る十六日にこの許諾を求めて来たことは適当でないのみならず、今日内閣不信任案が上程される日に際して許諾を与えるべきでないとの三点の理由により、許諾を与えるべきでないとの意見が開陳せられました。次いで、両派社会党並びに小会派の委員より、私情としては忍びがたいが、疑獄事件をすみやかに解明して国会の信用を回復するために、(拍手)前三回の同種事件と同様、本件についてもやむなく許諾を与えるべしとの意見が開陳されました。なお改進党より、党議未決定のため、態度の表明は本会議において行う旨の発言がありました。
 かくして討論を終り、採決の結果、本件は多数をもつて許諾を与うべきでないと決しました次第でございます。(拍手)
 以上御報告申し上げます。

発言情報

speech_id: 101905254X04119540424_005

発言者: 菅家喜六

speaker_id: 31752

日付: 1954-04-24

院: 衆議院

会議名: 本会議