青柳一郎の発言 (本会議)
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○青柳一郎君 ただいま議題となりました船員保険法の一部を改正する法律案及び厚生年金保険及び船員保険交渉法案について、審査の経過並びに結果の大要を御報告いたします。
船員保険法は、昭和十四年四月に制定以来、現在なお十五万人に及ぶ船員労働者の生活の安定と福祉の向上をはかるための唯一の総合的な社会保険制度として実施運営されて参つたのでありますが、この間、社会経済情勢の変動に応じ、二十数次にわたる改正が行われ、特に終戦後の困難に対処するためには種々の措置が講ぜられたのであります。これらの措置のうちには、臨時的応急的なものとして、将来経済の安定した際に再検討すべきものとして、そのまま今日に及んでいる点が多いのであります。
〔議長退席、副議長着席〕
わが国の国民経済もようやく安定して参りました今日、保険給付の内容を改善、合理化するとともに、保険財政の基礎を将来の見通しのもとに確立し、できるだけ本制度の内容の充実と合理化をはかろうとするのが、政府の本法案提出の理由であります。
本法案の主なる点は、第一は、毎月の収入によつて定められる標準報酬につきましては、他の社会保険との調整をはかり、現行の二十一等級を十九等級に改めるとともに、標準報酬の計算の基礎となる報酬月額の算定方法を合理化しようとするものであります。
第二は保険給付に関して、従来船舶内にある期間には支給されていなかつた療養の給付を一定の場合には支給することとし、さらに分娩に関し、新たに分娩費、出産手当金及び育児手当金を創設し、また失業保険部門においては、失業保険法に準じて制度の合理化をはかつたことであります。
第三は、老齢年金については、現行の二万四千円の頭打ちをはずすとともに、その額は、厚生年金保険法の改正と歩調を合せて、定額に報酬比例額を加えたものとし、さらに被保険者によつて扶養されていた者に加給金を支給して生活の実態に沿い得るものとし、また職務外の事由により支給する障害年金及び障害手当金並びに寡婦年金、鰥夫年金及び遺児年金の額の計算の基礎となる標準報酬月額については、現行の最終標準報酬月額をとることを改めて、平均標準報酬月額によることとしたのであります。
第四は、脱退手当金の制度を合理化いたしたことであります。
第五は、船舶所有者及び被保険者の負担を勘案しつつ、財政の均衡を将来にわたつて保ち得るようにするために、保険料率を調整するとともに、少くとも五年ごとに再計算することとし、その結果、保険料率は当分の間失業保険の適用を受ける者については千分の百六十一、失業保険の適用を受けない者については千分の百四十五にいたしたこと等であります。
本法案は、三月三十一日付託、本月七日厚生大臣より提案理由の説明を聴取した後、数回にわたる審査が行われたのでありますが、その詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。
二十三日質疑を終了した後、各派共同提案になる修正案が提出せられ、自由党の青柳より趣旨の説明を聴取したのであります。
本修正案の要旨は、一、老齢年金額中、定額部分一万八千円を二万四千円に引上げること、二、遺族年金、寡婦年金、遺児年金に関する受給要件たる子または孫の年齢を十六才より十八才に引上げること、三、加給金の対象となる子の年齢を十六才より十八才に引上げること、四、従前の遺族年金瀕の最低を一万一千四百円から一万四千四百円に引上げること等であります。
次いで、修正案と修正部分を除く他の原案を一話して、討論を省略し、まず修正案について採決いたしましたところ、全会一致可決すべきものと決し、修正部分を除く他の原案につき採決いたしましたところ、これまた全会一致可決すべきものと議決いたしました。よつて本法案は修正可決すべきものと議決した次第であります。
次に、厚生年金保険及び船員保険交渉法案について申し上げます。
厚生年金保険と船員保険の両制度における老齢年金及び遺族年金は、その給付の基準は原則として同一でありますので、各方面の要望に応じ、この機会に両保険における被保険岩期間を通算して老齢年金または遺族年金を支給できるようにし、両保険の被保険者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与せしめようとするのが、政府の本法案提出の理由であります。
本法案のおもな点を申し上げますれば、第一に、両保険における被保険者期間の通算は、一、老齢年金を支給する場合、二、老齢年金の受給資格期間をすでに満たしている者が死亡したことにより遺族年金を支給する場合、三、いずれかの保険において任意継続被保険者となるために必要な被保険者期間を計算する場合の、三つの場合にこれを行うことにいたしております。
第二に、両保険の被保険者期間を通算した場合における保険給付は、原則として最後に被保険者であつた保険においてこれを行うことにいたしております。
第三に、老齢年金の受給資格を得るために必要な被保険者期間は、厚生年金保険法においては原則として二十年、船員保険法においては原則として十五年ということになつておりますので、両保険の被保険者期間を合算する場合には必要な調整を行うことにしております。
第四に、一の保険における老齢年金の受給権を有する者が他の保険の被保険者となつた場合、または一の保険における障害年金の受給権を有する者が同時に他の保険における老齢年金の受給権を有する場合、あるいは同時に両保険における遺族年金の受給権を有するに至つた場合等につき、それぞれ必要な調整を行うことにいたしております。
第五に、両保険の被保険者期間を通算して行う保険給付に要する費用については、政令の定めるところにより、厚生保険特別会計と船員保険特別会計とにおいて按分して負担することにいたしたことであります。
本法案は、四月八日本委員会に付託、同日厚生大臣より提案理由の説明を聴取した後、数回にわたる審査が行われたのでありますが、その詳細については会議録により御承知願います。
かくて二十三日質疑を終了した後、各派共同提案による修正案が提出せられ、自由党の青柳より趣旨の説明を聴取したのであります。本修正案の要旨は、基本年金額中、定額部分一万八千円を二万四千円に引上げたことであります。
次いで、修正案と修正部分を除く他の原案を一括して、討論を省略し、まず修正案について採決いたしましたところ、全会一致可決すべきものと決し、修正部分を除く他の原案について採決いたしましたところ、これまた全会一致可決すべきものと議決いたしました。よつて本法案は修正可決すべきものと議決した次第であります。
以上御報告申し上げます。(拍手)