藤井宗治の発言 (通商産業委員会)

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○参考人(藤井宗治君) 只今の藤田さんの御意見、私も至極同感でございまして、我が国の技術、すべての面についての技術の独立ということは心から念願してやまない次第でございまするが、遺憾ながらこれは率直に私の目に映つているところの日本の技術は、世界筋一流でないことはどうも認めなければならないのじやないかと思うのであります。殊に発電機とか或いは送電線とか変圧器、そういうようなものにつきましては、世界の一流の諸国に伍して遜色のないものができておるように考えられまするが、土木技術におきましては、技術者としては設計その他については相当な人がおるのでありまして、大してそう外国に劣るとも思いませんけれども、遺憾ながら日本の技術というものは跛行的でありまして、或るものには優れたものがあるが、或るものには劣つたものがある、特に最近のように重土木機械を使うとなりますと、第一重土木機械の国産化ができておりません。佐久間をやる場合におきましても、あの佐久間のあんなむずかしい所が短期ににできましたのは全く重土木機械の駆使によつてなし遂げられたのであつて、あの重土木機械の駆使ということがなかつたならば、私は今、なおあの佐久間ダムはあの形においては実現できなかつたのじやないかと思うのであります。而してその重土木機械でございまするけれども、これは遺憾ながら日本にない、又それの操縦についても日本で十分に行われていないのでありまして、そういうために重土木機械の輸入、そうしてそれの操縦等につきまして今日までの段階におきましては外国の技術を取入れるということは残念ではございまするけれども、止むを得なかつたのではないかと思うのであります。私は実は就任以来電源開発会社を持つておりますので、土木機械の量も相当なものでございます、これを何とかして国産化したいと私のところに群類が来るたびに私は外国品を輸入するときには必ず文句をつけて、何とかしてそれを防ぎたいと思つておるのでありますが、残念ながら日本にはまだできない。そういうために泣く泣く私はこれにサインをしておるというのが実情でありまして、一日も早くこの土木機械の独立を図らなければならないと、こう思いまして、製造業者のかたがたがおいでになりますると、端的にあなた方のところで一つよくお考え願つてただ日本のような需要の底の浅いところは乱立しては困る、或いはダンプ・カーならどの会社とどの会社、トラクターならどの会社とどの会社というふうに話合いをして一会社で独占をするという発達がないから、三社くらいで話をつけていいものをお作り願いたいということをお願いしてある。実は先般も或る席上でそういう私の所懐を端的に申上げましたことが反響を呼びまして、作目の土木機械、建設機械の機械化運動というなんか大きな催しものがありまして、私も引張り出されてそこで挨拶をさせられたのでありますが、そういう機運に導いておるのでありますが、これは皆様方の御協力を得てどうしても早く、一日も早く国産化の図れるような態勢にしなければならないと思うのであります。それから又技術指導でございまするが、これは私どももこの佐久間なんかの経験から申しますると、ホアマンですら日本では完全なものができない。そこで今アトキンソン会社のかたが技術指導に来ておりますが、私どもが就任すると真先にやつて来て、この機械の運転の仕方は悪い、殊に保守の仕方が悪い、日本人はすべてカンでやろうとする、機械は絶対カンではいけない、一定の時間、一定のコースに従つて注入するなら注入するようにしなければならない。まだ機械がもつておつても時間が来たときにはやらなければならない。あそこで御覧下さいますればわかりますが、一つの機械でも部分々々色分けをして赤い色はこれは一日に何回おきに注す、何時間おきに注す、緑色は何回おきに注すというようなことを区別してある。それを一々カードに記入するようになつておる。日本人はカードに記入しはしない。その会社の者は、アトキンソン会社のパーカー氏が数回私のところへ来てやかましく言つて、最近これは直つて来ております。そういうふうな極く卑近なことですら日本では訓練されておらない。初期においては己を空しうして外国の技術を取入れたほうが私はいい。併しいつまでもそういうことをしてはいられませんが、一日も早くこういうものは独立させなければならない。実はそういう見地から私のほうは実は縁遠いようにお考えになるかも知れませんが、先般機械の専門家を数名採用いたしました。来年卒業する人からも数名採用いたすのであります。これは使用者の立場から機械を一つ検討する、そうして国産品でありますればその欠点、長所そういうものをメーカ一にみんなデータを送つてやりましてメーカーの技術の改善を図る。又一面に技術の知識を持つた人間が機械を操作する人間の養成をこれからする。機械の知識を持つた者が養成をしなければ本当は駄目なのでありまして、そういう意味で私は熱を入れているのでありまして、これは必ずや遠くないうちにここ一、二年のうちに必ずこういう操縦者の独立ができるようになると思うのであります。これにつきましても、一つ皆様方の御援助が願いたいと、こう考えておるのであります。
 それから火力の技術のお話がございました。火力発電につきましても、戦時中十数年の間の空白があるのでありまして、私ども曾つて十年も前に電気事業をやつていたときには、石炭の消費量が最も性能のいい発電所でも一キロワットアワーについて〇・七キロぐらいというような状態であつたのでありまして、現在はそれが〇・五ぐらいなものになつておる。これは非常な技術の進歩で、これは材質もありましよう、非常な進歩であるのでありますが、国産では遺憾ながらできないのであります。今の火力発電所では御承知でしようけれども、昔は火力発電所というのは補給を原則としておつたのでありますが、ところが今の火力発電所はそういうようにできない非常な高性能になつたものですから、或るときに随意に運転したりやめたりすることができない。一度運転に入ると連続的に運転するほうがすべての能率上いい、機械の保守からいつてもいいというようなぐらいに非常に高度に発達して来ておるのでありまするが、これも残念ながらまだ日本でできないのであります。こういう水準に達するようにどうしても推進して行かなければならない。それで今度東南アジア等に日本の技術進出の話がございまするけれども、幾ら土木の技術者が優秀な人がおつて東南アジアに行きましてあすこの仕事をとりましても、土木技術者だけでは駄目だ。各国の競争場裡におきましてやはり機械化して行かなければならない。日本で請負を取つて日本が仕事を取つたからといつて機械の注文をアメリカヘやり、ドイツヘやり、英国にやつておつたのでは一遍に日本の技術の信用を失う、これは私は現状ではないかと思うのでありますから、こういうことは私は素直に考えて一日も早く日本の劣勢を補つてこの新らしい調和のとれた技術の高い水準で外国へ出て行くというようにして行かなければならないと、こう考えて私自身は微力ではありまするが、折角そういう方向に進んで行きたいと思つて努力しておる最中であります。

発言情報

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発言者: 藤井宗治

speaker_id: 32735

日付: 1954-11-12

院: 参議院

会議名: 通商産業委員会