平林太一の発言 (本会議)

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○平林太一君 無所属クラブを代表して質疑をいたすものであります。(「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)
 このたび検察庁法第十四条指揮権の発動をあえて吉田首相がいたしましたことは、我が国憲政史上、未曾有の国家的一大不祥事であります。静かに惟んみますれば、この行為は、吉田君はもはやこの正規の常識というものを失われたのである。(拍手)その乱行、その乱心極まれりというべきであります。先ず以て吉田君は、この議場において、正気であるか乱心しておるかということを表明せられたい。(拍手)
 検察庁法第十四条の法律の精神は、法務大臣のその部下たる検察官が、いやしくもその担当する事件の取調べに当り、不当、不正、不公平がなきよう指揮監督の権限を与えたのがこの第十四条でありますことは、法文昭々として極めて明らかであります。(拍手)にもかかわらず、却つてこのたびのこの発動をあえていたしたということは、部下検察官のこの公正なる決定、結論である。具体的に申せば佐藤榮作君逮捕許諾に関する手続を、即ち党利党略を以て阻止し、それを運用いたしたということであります。(拍手)この事実は、その渕源するところ、自由党総裁たる吉田君みずからが、自由党を初めとする我が国の保守政党の獅子身中の虫であるということであります。(拍手)かくのごとき行為が平然として行われることによつて、保守政党に対する信頼、期待というものは地を払うに至るということは、常識上極めて判断し得るところの事実であります。
 吉田君は自己一身の保身を第一とせられるが、君が今日まで保守政党の政党総裁として、総理大臣の栄職にとどまるを得たるこの五年有半の、この間のその裏付けとなり、うしろ楯となつておつた保守党を愛し、保守党の育成を望むことを第一とするか、一つこの場合、明確に御答弁を願いたい。さもありなんと思うことは、吉田君は、曾つて社会党を育成したいということを言われた。そこでですね、そこで今回の指揮権発動というものによつて、保守党を壊滅せしめて、吉田君は社会党を育成するために、かような行為をいたしたのであります。(拍手)こういうことをこれは断定せざるを得ない。いわゆるこの政治家というものに二言があつてはならない。社会党を育成すると言われたことは、今日といえどもお変りになつておらないと思う。併し社会党を育成するために、この際、あえて保守党を潰すのだ、潰すための手段として指揮権発動をした、こういうのでありますれば、これ又そのことを承わる必要があるのでありますが、この点一つ承わりたい。
 只今も、この天田君の質疑に対しまして、重要法案の審議議決を求めること極めて急である。故にこの指揮権発動をいたしたいという吉田君の御答弁であつた。然らばこの重要法案の審議協賛をいたすことが、国会の権限である議決をですね、慫慂せらるるということは、我が国会の自由意思である。(「その通りである」と呼ぶ者あり、拍手)然るにこれをなさんがために、この行為をいたしたということでは、公私極めて混肴をいたしておる。そこでこの重要法案と今日常識上判断のでき得るものは、防衛二法案、警察法案、MSA協定、秘密保護法、教育二法案である。吉田君の傘下にあるこれら関係の所管大臣、又この意思を以て、この指揮権発動に賛意を表されておることは明らかである。然らばこの際伺いたいと思いますことは、防衛二法案に対する保安庁長官木村君に対してでありまするが、今回のこの指揮権発動に対しまして木村保安庁長官が、その蔭の立役者であつたという説が一部に伝わつております。これは総理に、そういう悪智慧を付けたんだ、併しつけなければよい。つけたのか、つけないのか、木村君から承わりたい。そこでこの今申上げる通り、重要法案というものに対しまして、この際一括して、我々は慎重に考え直さなければならない。なぜかと申しますことは、かくのごとき暴挙、かくのごとき暴力に等しき指揮権発動というものをいたしてまでも、重要法案の議決を求めなければならないということになりますと、この重要法案というものが表に現われたる法文以外に、蔭に隠されたる秘密が潜在するのではないか。国家のため、誠に危険極まりなきことであります。それ故に今日は、改めて木村君にこの所管の防衛法案に対し、又警察法案に対しましては担当大臣たる国務大臣小坂君より、この警察法案に対して、さような事実はないということを詳細に承わりたい。同時に教育二法案に対しましては、大連文部大臣。大達君は、実にこの人を人と思わない驕慢粗暴の言動を以て、今日まで教育関係のこの委員会に臨んでおる。これは大達君という人となりが、戦争以来のことを見ればよくわかる。(拍手)非常に陰険なる政治家である。故に大達君に答弁を承わりたいと思います。
 再質問を残しまして、一応質疑とすることにいたしたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 101915254X03719540422_026

発言者: 平林太一

speaker_id: 5200

日付: 1954-04-22

院: 参議院

会議名: 本会議