安井謙の発言 (労働委員会)
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○説明員(安井謙君) 最近における雇用状況の全般について概括的に御説明申上げます。
政府は前国会におきまして、失業情勢をほぼ保合と楽観しておつたのでありませんが、失業者の発生がまあ最近の状況ではやや増長傾向を示しておるようでございまして、二十九年度における失業情勢を見ますと、必ずしもこれを楽観し得るというような、手放しで楽観し得るというふうな状況にもなかろうかと存ずる次第でございます。
で、御存じの通りに予算編成に当りましてもそういつた情勢を予測しまして、窮屈な国家財政にもかかわらず、失業保険におきましては二割増、それから失業対策事業費としましては人員においても五%、費用におきましては一割増といつたようなものを計上したことは御承知の通りでございます。本年度に入りましてからの傾向につきましては、雇用、失業の状況は必ずしも楽観を許さん状態にあるとも言えるのでありまして、これは併し二十九年度の緊縮予算の執行による影響というよりも、全体の金融引締め、或いはこれを契機としました企業部門の合理化というようなものによる影響の現われであろうかと存じておる次第であります。で、政府の緊縮財政政策の影響はむしろ今後に現われることであろうと思いますので、最近の状況といたしましては、必ずしもまだ昨年のピークであつた六十万人といつたようなものは、完全失業者の側から見ても現われていない次第でございます。失業情勢の推移には併し深甚な考慮を払つております。
労働調査或いは職業安定所の窓口に現われました求人求職の状況を簡単に御説明申上げますと、完全失業者の数は今年の一月が三十九万人、二月が四十三万人、三月が五十九万人、四月が五十一万人、平均四十八万人といつたような状況を呈しておりまして、これは昨年の一月が四十六万、二月が五十一万、三月六十一万、四月が五十三万、平均五十二万人という点から見ますと、ややまだ低位にあると言い得ると思います。
職業安定所の求人求職の状況を申上げますと、求職者のほうは一月が百十六万四千人、延にいたしまして……、二月が百十九万三千人、三月が百二十万八千人、四月が百十四万六千人、五月が百十一万七千人、平均百十六万五千人という求職者でございます。これも昨年の平均百六万三千人に比べればやや増えておる状況でございます。同時に求人数のほうから申上げましても、これは一月の五十四万一千人、二月の五十六万八千人、三月の五十四万二千人、四月の四十二万二千人、五月の三十三万二千人、平均四十八万一千人ということになつております。昨年の平均四十四万からはやはり同じく上廻つている次第でございます。こういつたような観点から、まあ雇用の状況については只今のところまだ保合というような状況にあろうかと存じます。
失業保険の動向はやや増加を示しております。一月四十一万八千人、二月四十二万六千人、三月四十四万七千人、四月四十四万五千人、五月四十四万人、前年度に比しまして約十万弱の増加を見ておる次第でございます。平均にしまして、本年度が四十三万五千に対しまして、昨年度が三十五万一千というような形になつて現われております。
そこで政府といたしましては、本年度の下半期は上半期より雇用情勢が下降傾向を迫ることを当初から予測しております。今後失業情勢がやや深刻化する面も出て来ると思うのでありますが、併しこれに対するまだ的確なる見通しというものは立つてない状況にございます。
大体におきまして以上が最近の雇用面に現われました状況でございますが、御承知の通りに労働対策の問題はただ労働対策そのものとして見て行きましてもこれは片付かないのでございます。まあ政府といたしましては、もつと別に長期の自立経済計画或いは広い意味の国際収支の改善或いは国内の産業の合理的な振興、或いは又外国からの資金援助といつたような長期計画或いは応急の具体計画を今日早急樹立をいたしておるような次第でございます。そういつた面からにらみ合せまして、今後とも労働対策は樹立して行きたいと考えておる次第でございます。