労働委員会

1954-07-07 参議院 全100発言

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会議録情報#0
昭和二十九年七月七日(水曜日)
   午前十一時五十八分開会
  —————————————
 出席者は左の通り。
   委員長     栗山 良夫君
   理事
           井上 清一君
           田村 文吉君
   委員
           阿具根 登君
           吉田 法晴君
           赤松 常子君
           田畑 金光君
           石川 清一君
           市川 房枝君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       磯部  巌君
   常任委員会専門
   員       高戸義太郎君
  説明員
   経済審議庁調整
   部長      松雄 金蔵君
   通商産業政務次
   官       古池 信三君
   労働政務次官  安井  謙君
   労働省労働基準
   局長      亀井  光君
   労働省職業安定
   局長      江下  孝君
   日本国有鉄道副
   総裁      天坊 裕彦君
   日本国有鉄道職
   員局長     井上 正忠君
  参考人
   国鉄労働組合書
   記長      横山 利秋君
  —————————————
  本日の会議に付した事件
○労働情勢一般に関する調査の件
 (石炭、造船、繊維、その他の不況
 産業を中心とした失業対策一般に関
 する件)
 (日本国有鉄道における労働問題に
 関する件)
 (日雇労務者の夏季手当に関する
 件)
○議員派遣要求に関する件
  —————————————
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栗山良夫#1
○委員長(栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。
 本日の会議に付しまする事件は、労働情勢一般に関する調査のうち、石炭、造船、繊維その他の不況産業を中心とした失業対策一般に関する件、日本国有鉄道における労働問題に関する件、日雇労務者の夏季手当に関する件、議員派遣要求に関する件でございます。
 各委員の御都合もおありと思いますので、本日委員会が閉じまする間においてお考え置き頂きたいのでございますが、それは議員派遣のことでございます。お手許に事務当局において一応出向先等について研究をいたしました結果、案を呈示してございます。この案につきまして御検討を頂きまして、後刻決定をいたしたいと存じます。ちよつと速記をやめて。
   午後零時二分速記中止
   —————・—————
   午後零時二十六分速記開始
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栗山良夫#2
○委員長(栗山良夫君) 速記を始めて。
 午後一時半まで休憩いたします。
   午後零時二十七分休憩
   —————・—————
   午後二時十四分開会
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栗山良夫#3
○委員長(栗山良夫君) 休憩前に続き会議を開きます。
 石炭、造船、繊維その他の不況産業を中心とじた失業対策一般に関する件を議題にいたします。先ず労働省当局から説明を伺いたいと存じます。
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安井謙#4
○説明員(安井謙君) 最近における雇用状況の全般について概括的に御説明申上げます。
 政府は前国会におきまして、失業情勢をほぼ保合と楽観しておつたのでありませんが、失業者の発生がまあ最近の状況ではやや増長傾向を示しておるようでございまして、二十九年度における失業情勢を見ますと、必ずしもこれを楽観し得るというような、手放しで楽観し得るというふうな状況にもなかろうかと存ずる次第でございます。
 で、御存じの通りに予算編成に当りましてもそういつた情勢を予測しまして、窮屈な国家財政にもかかわらず、失業保険におきましては二割増、それから失業対策事業費としましては人員においても五%、費用におきましては一割増といつたようなものを計上したことは御承知の通りでございます。本年度に入りましてからの傾向につきましては、雇用、失業の状況は必ずしも楽観を許さん状態にあるとも言えるのでありまして、これは併し二十九年度の緊縮予算の執行による影響というよりも、全体の金融引締め、或いはこれを契機としました企業部門の合理化というようなものによる影響の現われであろうかと存じておる次第であります。で、政府の緊縮財政政策の影響はむしろ今後に現われることであろうと思いますので、最近の状況といたしましては、必ずしもまだ昨年のピークであつた六十万人といつたようなものは、完全失業者の側から見ても現われていない次第でございます。失業情勢の推移には併し深甚な考慮を払つております。
 労働調査或いは職業安定所の窓口に現われました求人求職の状況を簡単に御説明申上げますと、完全失業者の数は今年の一月が三十九万人、二月が四十三万人、三月が五十九万人、四月が五十一万人、平均四十八万人といつたような状況を呈しておりまして、これは昨年の一月が四十六万、二月が五十一万、三月六十一万、四月が五十三万、平均五十二万人という点から見ますと、ややまだ低位にあると言い得ると思います。
 職業安定所の求人求職の状況を申上げますと、求職者のほうは一月が百十六万四千人、延にいたしまして……、二月が百十九万三千人、三月が百二十万八千人、四月が百十四万六千人、五月が百十一万七千人、平均百十六万五千人という求職者でございます。これも昨年の平均百六万三千人に比べればやや増えておる状況でございます。同時に求人数のほうから申上げましても、これは一月の五十四万一千人、二月の五十六万八千人、三月の五十四万二千人、四月の四十二万二千人、五月の三十三万二千人、平均四十八万一千人ということになつております。昨年の平均四十四万からはやはり同じく上廻つている次第でございます。こういつたような観点から、まあ雇用の状況については只今のところまだ保合というような状況にあろうかと存じます。
 失業保険の動向はやや増加を示しております。一月四十一万八千人、二月四十二万六千人、三月四十四万七千人、四月四十四万五千人、五月四十四万人、前年度に比しまして約十万弱の増加を見ておる次第でございます。平均にしまして、本年度が四十三万五千に対しまして、昨年度が三十五万一千というような形になつて現われております。
 そこで政府といたしましては、本年度の下半期は上半期より雇用情勢が下降傾向を迫ることを当初から予測しております。今後失業情勢がやや深刻化する面も出て来ると思うのでありますが、併しこれに対するまだ的確なる見通しというものは立つてない状況にございます。
 大体におきまして以上が最近の雇用面に現われました状況でございますが、御承知の通りに労働対策の問題はただ労働対策そのものとして見て行きましてもこれは片付かないのでございます。まあ政府といたしましては、もつと別に長期の自立経済計画或いは広い意味の国際収支の改善或いは国内の産業の合理的な振興、或いは又外国からの資金援助といつたような長期計画或いは応急の具体計画を今日早急樹立をいたしておるような次第でございます。そういつた面からにらみ合せまして、今後とも労働対策は樹立して行きたいと考えておる次第でございます。
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栗山良夫#5
○委員長(栗山良夫君) そのほかに資料として石炭鉱業、繊維産業、造船業等に対する資料が提出されておりますが、これの説明はございませんか
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田村文吉#6
○田村文吉君 必要に応じてやつたらどうでしよう。
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栗山良夫#7
○委員長(栗山良夫君) それでよろしうございますか……。只今通産省からは、大臣は先ほどお話申上げた通り出席できないとの通知でございまして、古池政務次官、川上鉱山局長、佐橋炭政課長、杉村繊政課長がお見えになつております。それから経済審議庁のほうは松尾調整部長も見えております。大蔵省当局はまだ連絡中でございます。
 以上御報告申上げておきます。
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阿具根登#8
○阿具根登君 昨日私質問しておつたのですが、次官の御説明を只今お聞きいたしましても、労働省のその政策が如何にも行き当りばつたりである。いわゆる先ほども言われたように保合だと思つておつたのが非常に殖えて来た。こういうことを言つておられるが、その当時各委員からもかくなることを相当深刻に追及されておる。それにもかかわらずいろいろな資料を示されて、そうして失業者はこれより殖えないのだということを盛んに言つておられたわけなんです。而も話の内容ではちつとも深刻な状況を言つておられずに、やはり非常に楽観的なことを御説明になつておると私は思うのです。それではそういう行き当りばつたりでなくて、はつきりした対策があるはずである。その問題を一つどういう対策があるのか、それをお聞きしたい。これは詳細に私はあとで質問いたしますが、成るべく質問せんでもいいような御説明を願います。
 それから求職の問題をここに資料として頂いておりますが、現在の失業状態は御承知のように石炭、鉄綱、駐留軍関係、そういう大きなところは殆んど整理をやつておる、合理化をやつておる。そうすればこれだけの求職はどこに求められておるか。どういうところで求職ができておるか。求職は殖えておると次官は喜んでおられる、楽観をしておられる。その求職はどこに行つておるのか、こういう点を私は考えて見た場合に、極めて大きな問題がここに残されておる、私はこう思うのです。それでこの求職のはけ口はどこに、百十一万からの人たちが主に入つておるのか、そういう点を一つ御説明願いたいと思います。
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安井謙#9
○説明員(安井謙君) 政府は初めからこの雇用問題につきまして手放しの楽観をいたしておる次第じやないのでございまして、その都度申上げております通り相当慎重な考慮はいたしております。併しそのために将来収拾すべからざる混乱に陥るようなことはないということを見通しを立てておる次第でございます。十分に考慮を払いつつ予算の編成その他についても配慮をして参つたつもりでございます。特にまあ石炭も造船部門のこの時期的な問題、或いは繊維産業方面におきましては相当合理化と申しますか、緊縮財政の影響が金融方面、金融逼迫の影響が現われておることは事実でございます。
 それから求職者の数につきましても、これはまあどういつた方面かといつたようなお尋ねでございますが、これは必ずしも大工業、大企業に対する求職或いは求人が殖えておるとは言い切れませんので、或いは中小企業或いは家内工業といつた方面は相当さばかれておるというふうに考えておる次第であります。
 なお一般のそれぞれの個々の部門の問題につきましては、関係各省からも参つておりますし、或いは又当局からもそれぞれの質問に対して御答弁申上げたいと思つております。
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栗山良夫#10
○委員長(栗山良夫君) ちよつと阿具根さん、今ですね、通産省と経済審議庁からおいで願つているのは、やはり産業政策といいますか、経済政策と申しますか、そちらのほうのやはり考え方を労働省の説明と併せて一応伺つたほうが、質疑をいたすのに便宜かと私考えますので、さようにいたしたいと思いますが、如何ですか。
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田村文吉#11
○田村文吉君 賛成ですが、それで今度の主要問題、大きな問題は、いわゆるデフレーシヨンというものが起つて来ておるので、経審にしましても通産省にしましても、この問題をどういうふうにして解決するのか、これは非常に大きな問題なんです。ひとりこれは労働省だけの問題ではなくて、一番最後にしわ寄せされて来た場合に労働省としてどうするのか、こういう問題をあとで私質問したいのですが、今日は幸い通産省の調整部長がお見えになつているそうですから、一つこの見通しを、決して御休裁でただ目先のことだけでなくて、どういうふうにしてこれは救済さるべきか、物価についてはどういうふうな見通しを持つているのか、そういう点について一つ所信を明らかにして行きたい、こう思うのです
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栗山良夫#12
○委員長(栗山良夫君) 只今田村委員から特に御発言がございましたが、今日の失業対策は総合的な観点から調査をしようということになつておりまして、通産省、経済審議庁並びに大蔵当局からもおいでを願う予定を立てておるわけてありまして、各所管大臣が御出席のないことは甚だ遺憾でありますけれども、一応それぞれの立場で一つ御説明を願いたいと思います。特にデフレ政策と、只今問題になつております失業問題との関連、これはもう明白なことでありますので、言うまでもなくデフレによつて失業者が激増し、且つ将来非常に激増する傾向にあるということは否定できないので、そういうことを前提にしてこの雇用問題をどういう工合に産業政策、経済政策の中で解決するかということについて御所信を承わりたいと思うわけであります。
 放置するのか、或いは何らかの形で救済措置をとるのか、吸収するのか、而もその方法につきましては、先ほど私どもが伺つているところによりますと、大蔵省当局のデフレ政策堅持という考え方と通産省当局のデフレ手直し、調整政策と一口に言いますと、この間に若干意見の食い違いが起きておるようであります。従つてこの点はどういう工合にせられようとしておられるのか。更に吉田首相は経済目立のための長期産業計画ということについて、所管省に命ぜられた中に私ども伺つておりますが、その長期産業計画というものの実態はどういうものであるか、特に自立経済計画から考えまして、そういうものは軍需中心で行かれるのか、民需中心で行かれるのか、その辺の見通し等を一つ御説明を願つて、只今田村委員が最後に結論的におつしやつた点についての考え方を述べて頂きたい、こういうふうに考えます。
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古池信三#13
○説明員(古池信三君) 只今委員長から包括的に御質疑がございましたのでありますが、昨年の秋以来政府がとつて参つておりまするデフレ経済政策というものは、そのよつて来たる原因等については今更ここに申上げる必要はないと存じますが、特に昨年度の我が国の国際収支の状況から見まするならば、非常に憂うべき現象を呈しておるようなわけてあります。従つてどうしても本当に日本の経済を建て直して行く、そして一日も早く経済の自立を確保いたしまして、国際収支のバランスをとつて、当然我が国として最も重大なる要請であるところの輸出の振興を図つて行く、その目的を到達する大きな手段としましては、この際好むと好まざるとにかかわらず、程度の問題はありましようが、デフレ政策をとらざるを得ない、そういうことになつて参つたものと私は承知しておるのであります。ただ現在のデフレ政策は、御承知のように金融面におきまして金融の引締めという手段を主としてとつておることも御案内の通りでございます。これによつていろいろの方面に影響も来たしておるのでありまするが、併し大局から考えてみまするならば、どうしてもこの際こういう政治的な一つの手術と申しますか、手当はやはり否定できないことである、かように考えております。ただこの将来について必ずしも私は非常に大きな楽観をするわけではございませんけれども、只今までの現実の問題としましては、我が国の物価も昨年に比べまして若干下廻るような傾向になつておりますし、又輸出の面もこれによつて若干ながら上向いておるように承知しておるのであります。丁度今日その苦しいところに入つたという段階であろうと思つております。
 只今委員長が指摘されましたように、大蔵省と通産省との間に意見の齟齬がありはせんかというお尋ねでありますが、これは表面に出まする責任者の言葉の表現の中には、多少の齟齬あるやに受取れるような点が新聞紙上等においても仮に見受けられるといたしましても、私は政府として当然、これは一体になつて一つの政策を統一的に進むべきものでございますから、そこに食い違いがあつてはなりませんし、又現にあるべきもの噂はないと考えております。大蔵大臣が、或いは大蔵省がこのデフレの経済政策を飽くまで推進すべきである、こう考えておられることも事実でありましようし、又私どものほうにおいて、進める過程において、具体的の場合に相応して、若しそこに不釣合の問題が起るというような場合には、これに適当なる措置を講じて行くということは、これはもう申すまでもなく必要なことでございまするので、そういう意味において通産大臣も談話をされたものと私は承知しております。全く大蔵大臣と異つたような、デフレ政策を大幅に緩和するというような意向はないものと私は考えておるのであります。併しいずれにしましても、デフレ政策というものは、我我としましてはそんなにいつまでも長くやるべきものではなく、適当な時期が参りまするならば、そこにそのときの事情に即応いたしまして、又適切なる経済政策をとつて行くということは、これはもう当然考うべきものであろうと思います。
 然らばその時期がいつ頃来るかという問題でありますが、これは生きた経済問題でございまするので、ここに私がいつ頃ということを明確に予測することは困難と思いますが、政府も、又民間の業界の方々、労働者の方々、皆この趣旨を汲んで頂きまして、一致協力して助けて頂きますならば、成るべくデフレによる影響もでき得る限り最小限度に食いとめまして、そして更に拡大生産を図り、輸出を振興して、堅実なる国際収支の均衡をとり得る状態が速かに来ることを念願いたしておるような次第でございます。
 お答えに足りないところがあるかも知れませんが一応先ほどの包括的な御質問に対して私からお答えを申上げた次第でございます。
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栗山良夫#14
○委員長(栗山良夫君) 次に松尾調整部長から願います。
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松雄金蔵#15
○説明員(松雄金蔵君) 只今通産政務次官からお話のございましたそれに若干数字を入れまして、補足的な説明をいたすことに相成ると思いますが、先ほど通産政務次官からお話がありましたように、今の、いわゆる引締め政策と言われておりますものは、国際収支のバランスをとることがやはり終局の目標であろうと思います。この点はいわゆる引締め政策によつて輸出が伸びて、輸入が成るべく自然の姿で縮小するというような形でバランスするのが理想的であるわけです。そういう意味で輸出を伸ばすためには、国内の物価はでき得るだけ国際価格に近いところに安定をすることが望ましいわけでありまするし、又輸入が自然の形で成るべく縮小するということを望みますためには、原材料その他の輸入が輸出の方面に使われることは別でございますが、国内の消費の面にそれが多く使われるということが抑制されればいい。こういう理窟になるわけであります。こういう点から見て参りますると、国際収支の面は御承知のように、最近の情勢では輸出は大体一億ドル、毎月一億ドルを超えるような状況になつて参りまして、輸入のほうはそれに対してかなりの程度落ちて参つております。従いまして国際収支の月々のバランスは、本年の一、二、三月に比べまして、かなり本年度に入りまして落ちて参りまして、御承知のように四月には国際収支の赤字は九百万ドル程度に圧縮されたのであります。二十九年の一月には八千七百万ドル、二月には五千万ドルという支払超過でございましたものが、四月に九百万ドル、五月にはやや殖えましたけれども千七百万ドル、六月には僅かではございますが、若干の黒字に転じております。こういう国際収支の数字を見て参りまして、これが本当の意味の輸出の実力による伸びであるのか、或いは御承知のようなポンド協定、日英協定の結果の現われでありますとか、或いはその他の、本当の日本の輸出の実力による原因以外の伸びが或る程度現われて来ておるのかというような点は、かなり判断としてはむずかしいと思うのでありますが、先ず先ず輸出の点は若干伸びる力を加えて来たものだというふうに一応想定していいのではないかと思います。
 併し輸入の点も、従来の輸入の実績に比べましては、例えば二十九年の一月が二億二千八百万ドルという大幅な輸入でございましたけれども、最近は大体一億七、八千万ドルくらいのところまで落ちて参つております。この原因は、直接には御承知の輸入金融の引締めが響いて来たのでありましようし、又国内の生産状況その他も反映しておると思いますが、又一面にはポンド・ユーザンスの利用というような点も入つて来ておるだろうと思います。従いまして最近の輸入状況を以て将来を直ちに楽観することは必ずしも許されないのではないかと思いますけれども、全体としては先ほど申しましたように国際収支のバランスは徐々に最近の傾向としては当面よくなりつつあるということは、この点が引締め政策の終局の目標ということになりますれば、こういう輸出入のベースが将来ともだんだんと強化されて行きますならば、現在とられております政策はその点ではだんだんと成功を収めておるというふうに言えるのではないかと思います。併しこの点は将来の判断はなかなかむずかしいと思われますし、特に特需の最近の減少傾向はかなり大幅になつておることは御承知の通りであります。本年度、二十九年度の国際収支の見通しといたしましては、年度間一億ドル以内の赤字にとどめることを一応の目安にいたしておりますけれども、このうちには御承知のように約七千万ドルほどの二十八年度、昨年度の緊急食糧輸入のズレが入つて来ておりますから、二十九年度だけを裸にして考えてみますれば、二十九年鹿の赤字予定というものはそれほど大きな赤字ではないはずであります。併しそう言いますと、二十九年度だけの彩では大体均衡に近いような状態になるかと申しますと、併しこれもやはり特需に対して七億ドル以上の期待を含んでのバランスでございますから、ここで特需が減少して参りますと、この赤字の幅はそれだけ増加する危険があるわけであります。特需の減少を埋めるだけ輸出の伸張がもつともつと伸びますれば、そのバランスはとれるわけでございますが、現状ではそれらの点の見通しはかなりむずかしいようであります。
 最近の物価の状況は先ほど政務次官からお話がございましたように、生産財の卸売物価については昨年の二月のピークに比べますと約六%程度落ちております。年度間におきまして時点差で約一割くらいの物価の低落を一応期待と申しますか、予想しておるということから申しますと、現在すでに六%程度の物価の低落はかなり目標に近い数字のようにも一応思われるかも知れませんけれども、これも本当の意味のロストの低下その他による物価の下落で、こういう下落の傾向で安定するかどうかという点は、これもかなり判断の問題がむずかしいのでありましようし、又小売物価なり消費者物価の点は、御承知のように現在頭打ち或いはやや低落の程度でございまして、これが循環的に物価の低落を導いて行くほど現在の状況では期待できないような状態でございます。
 国際物価との比較を申しますと、この程度で日本の国内物価が国際物価に追付いたというような水準に達したということは勿論現状では言いにくいのでございます。併しこの程度で輸出の伸びが次第に地固めをして参りますならば、これは一つの目安としては成功に近いところに行くのではないかと思いますが、先ほど申しましたような輸出の見通しにつきましては、かなり判断のむずかしい点があろうと思うのであります。
 生産の点は、生産そのものが落ちて、或いは雇用そのものが落ちるということがこの政策の目標でないことは申すまでもないのでありますけれども、先ほど申しましたように、輸出が伸びて輸入がセーブされるという意味では或る程度鉱工業生産指数の低落も止むを得ないというようなことを目指さなければならないと思います。併し二十八年度と二十九年度の比較をいたしてみますと、私どもの一応の想定では年度間平均では鉱工業生産指数はほほ同じ水準であるということを一応想定いたしております。最近の鉱工業生産指数の実勢は大体一六四乃至五くらいのところに現在来ております。昨年度の年度間平均の鉱工業生産指数は最近の新らしい指数で大体一六二くらいになるはずであります。そういたしますと、現在の生産の実勢が下半期でどういうふうな姿をとるかということで、本年度の鉱工業生産指数の動静がわかることになるのでありますが、現在の見通しではやはり下半期においてかなり生産のダウンが起るのではないか、現在大体頭打ち或いはやや低下の傾向を見せておることは御承知の通りであります。全体といたしまして当初に申上げましたように、生産の低下或いは物価の低下、雇用の低下ということそれ自体が決して政策の目標ではないのでありますけれども、貿易の収支バランスの点で現在の傾向が本当の実力であるという判断の付くような日本の経済実勢を期待して、その辺が一つの何と申しますか、政策の狙いであろう、こういうふうに考えておるような次第でございます。
 一応私の説明を終ります、
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田村文吉#16
○田村文吉君 質問を始めてよろしうございますか。
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栗山良夫#17
○委員長(栗山良夫君) どうぞ。
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田村文吉#18
○田村文吉君 今行われておりますデフレーシヨンの問題でありますが、これは国の一番大きな消費者である国家がその財政を緊縮することによつてデフレーシヨンの一助となすということは、私どもは極めて穏健な尤もな考えと思うのですが、たまたま金融の異常な引締めをやられたために今日の経済界の極端な恐慌に近いような不況状態を起したわけなのでありますが、私はこういうことをなさる前には必ず成る対策というものをお立てになつて、そうしてお進みになるべきじやないかと思うのであります。
 例えば今御説明になりました輸出の対策であります。これは物価が平均して二割或いは三割国際物価に比べて国内物価が高いというならば、それに対応して輸出のできるような方法が一方に見付けておかれないで、ただ金融が引締められたということでは非常に困難を来たす、こういうふうになるのじ中ないか。又現在各業界におきまして、実は今御説明でわかつたのでありまするが、鉱工業の生産指数が昨年は約一六二であつたものが今年は一六四であります。大体大した変りはないが、下期に来て若干の減少があつて、年間に行つたら或いは昨年と同様くらいに行くのじやないか、こういうようなことで、私は非常に詳細な松尾調整部長さんの御説明を了承したのでありますが、この数字が示しておるごとく、今日のような非常に金を締められて来た場合には、鉱工業生産指数の一六四とか一六二とかいうものが多過ぎる。実はかような場合には当然一五〇か一五五くらいまでは引下げられて然るべきものである。ところがそれを阻んでいるものは何かというと、独占禁止法というような法律が今でも残つておりまして、そうして業界は或る程度まで二重設備をしまして、そうして生産が過剰になつて来た。こういうことは或る程度まで調整をして行かなければならんのでありますが、これを妨げているものは独占禁止法なんです。こういう非常に厄介なものがありますために、品物が余つても、値が下つて来れば生産費を切下げるために、いやいやながら生産を増加して競争力に堪えるようなことを中らざるを得ない、こういうところに日本の産業の大きな欠陥が出て来ているわけなんです。で申すまでもなく日本の経済というものは非常に底の浅い経済でありまして、ちよつと景気がよいとすぐ増資をいたします。するとすぐ品物が余る、すぐオーバー・プロダクシヨンで物の値が下つて来る。こういうようなことで非常に危険な状況にあるところへ持つて来て、レギユレーテイング・バルブになつておりました独占禁止法の操作で、余つた場合は或る程度までこれにカルテルの力によつてコントロールして行く、そうして下げるときに一つの落下傘の役目をして行く。無論独禁法が全然ない場合でもアウト・サイダーというものがございまするから、決しで物価というものはそう独占価格というものにはなり得ないのでありまするが、それをしも今日は禁止している。これを許可を得ようとするには半年も一年もかかる。こういうようなことでは今日の状況には間に合わない。こういうような問題が一つ大きな障害になつている。
 又税の問題にいたしましても、実際今日の中小企業者だけでない。あらゆる産業をやつている人でも、或いは又資本の蓄積をやつている人でも、今日は税というものが非常に高い。これは比較して申上げるまでもないのでありますが、戦争前に比べると物価が三百六十倍とすれば、所得税とか法人税とかいうものは約二千倍近いものになつている。こういうような非常に高い税金を今日は払わされている。
 又これは労働関係の法律でありまするが、同僚諸君の中には或いは反対のことをお考えになる方もあるかも知れませんが、今日のような日本の経済の再建の場合に、一方においては五千円、六千円の金がもらえるかもらえないかといつて非常に悲惨な生活をしなければならない人があるかと思うと、一方には二万円、三万円という所得があつて、而もなお労働争議を起して賃金の増額を要求している。こういうようなことで労働法に乗じまして、そのために非常に国内の状況は不公平だ。こういうようにまだ数え立てるといろいろございますが、そういうものに手を書けないで、ただ一面金融の引締めだけで似て直せばいいというようなことをおやりになつていらつしやつたところに私は非常な間違いが起つて来ているし、これがなかなか困難な問題であるのではないかと思うのでありまするが、成るほど今のお話のように物価は一時中りました。ひどいものになりまするというと四割も五割も下つたものもございまするが、まだなかなか末端の小売価格まではその影響は大きく来ておりません。下りましたが、この下落について、今のお話では年間一割というお話があつたのであります。これは私は十九国会の初めに伺いましたところでは、大体年間に五分か六分の値下げをするということを考えておられたようでありますが、今一割という数字を伺つて、或いはそういうことをお考えになつていらつしやつたのかということを初めて知つたわけであります。いずれにいたしましても、物によりましては三割も四割も下つたものもありまするが、さつき御説明があつたように生産費が実際に切詰められてそうなつたのではないのでありまして、もう金融の関係上止むを得ず投売りをせざるを得ないというのが今日のいわゆる物価が下つたとい形になつているのであります。これで以て日本の経済に物価の低落というものが果して望み得るかどうか、こういうような点になりますると非常に疑いなきを得ない。いわんや今の輸出の状況がたとえ僅かでも六月は黒字になつたとおつしやるのですが、これは特需関係を見込んでの上であります。それにいたしましても若干の黒字が出るようになつたと言えば幾らか明るいような気がいたさんではありませんが、これも決して国内に高く売つて国外に安く売つたといういわゆるダンピングではないのでありますが、如何せん投売りをせざるを得ないような状況で海外に輸出をする。こういうようなことのために非常に輸出が思つたよりは出た。こういうことなのだろうと私は思つておりまするので、そういうような問題が未だに解決されないで参りまするということは、ただ徒らに金融を引締めて行けば、まだまだもつと深刻な状況が出て、今まではいわゆる商社の問題だけで済んだ、或いは石炭であるとか或いは造船業とか、繊維産業とかいうような特殊のもので済んだのが、今日は日本のあらゆる産業がここへ来て脅威を受けて、半恐慌状態のようになるのじやないかということを非常に心配する。
 その結果はどうなるかというと、今でさえ失業者の方々が多くて困つていられる際に、なおより以上の失業者を出さなければならない。こういうことになりますので、非常に私はその点について憂慮に堪えませんので、今日は両大臣にお見え頂いてよくその辺のところの御真意を質したいと考えたのでありますが、無論そういう点についての十分の御配慮はあることとは考えております。又今日御出席にならんでもそれぞれ次官の皆様方から私の微意のあるところをお伝え願えると考えるのでございますが、そこで私は当面さしかかつた問題として、この間新聞に、吉田総理は計画経済ということは仰せにならないが、或る程度まで経済の計画性を持たせるということについて再検討をすべきではないかというようなお話があつたかのように聞いておるのでありますが、そういう点について経審のほうでは何か新機軸としてお考えになるべき時期が来ているのじやないか、又それについても総理からそういう旨に従つて問題をお進めになつておるかどうか、その問題が一つ。
 もう一つはこれは松尾調整部長さんに伺いたいのですが、今の自由党内閣としては外資の導入について非常に熱心である、私どもは外資の導入必ずしも悪いと言わないけれども、日本のいわゆる本当の自立経済という点から考えると、必ずしも外資の導入によつて日本の自立経済を立てるというようなことは余りに安易な考え方ではないか、むしろこれがためにインフレーシヨンを巻起すような虞れが却つてありはせんか、そういうような点を実は心配しておるのでありますが、これは吉田総理が非常に熱心にお考えになつておるので、経審の部長さんとしてこういうものに対しての御見解を御発表になることが或いは困難であるか知りませんが、その点について私は疑いを持つておりまするので、そういう点について若しお考え等が明らかにして頂ければ結構だと思うのであります。
 最後にさつき申上げました労働関係の問題でありますが、私はどう考えても、一方で三万円も四万円も所得がある人があり、一方には四千円、五千円でやつて行かなければならない悲惨な人があるというこの有様を考えて実に国の憂いはここにあるということを潔く感じまするが故に、実は昨日来の近江絹糸の問題等につきましても、余りこういう問題に強く……、ただただ過去の惰性で労働運動々々々々で進められて行くということについて著しい不満を感じておることを申上げたのはその意味なのであります。今日本の立ち、日本民族の立つている足もとは非常に危い、いわゆる砂の上に立つているような危険な状況下にあるのであるまするので、私は失業問題が最も大きな問題としてそのよつて来たるゆえんをはつきりと承わつてみたい、こう考えておつたわけであります。通産政務次官及び松尾調整部長から御見解をお聞かせ頂ければ結構だと思います。
 なお更に私はこの機会に物価を上げないという問題として、電気料金の値上問題について、大体新聞では値上をされないように決定したかのように聞いておるのでありまするが、この問題につきまして附加えて政務次官から御答弁を願えれば仕合せだと思います。
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古池信三#19
○説明員(古池信三君) 只今田村委員から非常に蘊蓄の多い御高説を拝聴いたしまして、非常に私どもとして有難く傾聴いたした次第であります。御指摘のごとく、現在の日本は国内的に見まして極めて経済の底が浅く、特に資本の蓄積等は極めて微々たるものである。のみならず対外関係のいわゆる経済交流の面から見ましても、戦前に比べますと非常に不自由な状況になつておるのでありまして、経済界における一つの事件、問題が直ちに広汎なる影響を国内に捲起して来るというような次第でありまして、この点は非常に我我も心配をいたしておる次第であります。先ほど独禁法の問題にお触れになりましたが、これも独禁法を全面的に改正をするということは実際問題としてなかなか困難性が多いだろうと思うのでありますが、昨年皆様の御賛同を得まして、若干これを緩和したことは御案内の通りであります。又その地中小企業安定法でありますとか或いは輸出入取引法等の改正によりまして、独禁法の例外的緩和の規定を入れたことも、只今田村委員のお話になりました御趣旨に若干ずつ近付きつつあるものとお考え願いたいと思うのであります。
 それからデフレによる失業問題につきましては、これは一経済の問題、産業政策にとどまらず、国内の大きな問題の一つでございまするので、勿論政府部内、関係各省が挙つてこの問題につきましては統一的に協力した態勢をとつてその解決に努むべきものであろうと私は考えております。
 最後の電気料金の問題についてお話がございましたが、電気事業を直接監督いたしておりまする当省といたしましては、本年一月に電気料金改訂の申請が会社から出ましたので、この申請書に基いて詳細なる検討を現在まで加えて来たのであります。その内容につきましては、全国平均いたしまして一割四分四厘程度の値上となる申請案が出されたのでありますが、何とかしてこういう時勢でもありまするので、この値上を避けるように努めたいと考えて、その内容の中で他の方法で、例えば税の軽減でありますとか、金利の軽減であるとか、そういうような点においてでき得るだけの処置を講じて、而もなお値上を要するようなものがあるかどうかという点にまで研究を進めてみたのであります。その結果事務的に考えまするならば、若干電気事業の収入の増加を図つて行かないと、折角現在やりかけております電源開発の将来に極めて憂うべき状態を引き起すであろうということが予想され、種々これに伴いまして悪い影響も起つて来るような虞れがあるように考えられるのであります。併しながら一面又現政府がとつておりまするこのデフレ経済政策の面から見ますると、政府の認可にかかる料金を引上げるということは実質的はもとより、心理的な影響も決して軽視できないのでございますので、この辺の点を如何にすべきかというので非常に大臣その他関係者が頭を悩ましているのが現状でございます。昨日の閣議の席におきましてもこの問題を通産大臣から提案をいたして協議があつたように聞いておるのであります。勿論閣議の内容の詳細に亘りましては我我はこれを承知いたしませんが、大体新聞に掲載されたようなことは事実であろうと信ぜられるのでありまして、この電気事業の、特に日本として今後基幹産業として、又国民経済上の必須事業といたしましても、これをここでつぶすようなことは、これは大いに考えなければならん問題だ。併し一面電気料金の値上ということが又国民経済上大きな影響をもたらすとすれば、そこに何らかの、電気料金の値上によらずして、而も電源開発その他事業の運営を筋道を通して進めて行けるような方法はないか。端的に申せば、更に税の軽減であるとか或いは財政資金の金融面における援助であるとか、そういう方法によつてカバーできないかどうかということを更に検討しようということに現在なつておるように承知しております。従つてまだ最終的に料金の値上申請は認可しないという確定的な段階にまでは至つておりませんけれども、只今申上げましたような意味合いにおきまして、十分慎重なる検討を加えて行こうという段階に現在あるものと私は承知しておりますので、そのままを申上げたような次第であります。
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松雄金蔵#20
○説明員(松雄金蔵君) 只今田村先生のお話で、経済自立計画というようなものについて何か経済審議庁としてやつておるかという御質問であると思います。その点は、総理からの指示がどうこうという点は私も余り正確な表現で、正確なことを必ずしもお聞きいたしておりませんが、いずれにいたしましても経済審議庁といたしましては、従来こういう問題に絶えず触れて参つております。最近の状況につきましてもこういう問題を担当しておるわけであります。
 昨年いわゆる俗に、俗称岡野構想というようなものの議論を内部的にやつたこともございます。又最近の状況におきまして、必ずしも計画というようなものであるかどうか、これは現在の経済組織なり経済状況でそういう言葉を使うことが必ずしも穏当ではないと思いますけれども、かなり政策面を織込んだような見通しと申しますか、そういうものは当然私ども内部で、現在では一応フリー・トーキングの段階でございますが、やつておるわけでございます。併しその内容はまだここで具体的に申上げるような段階には至つておりませんけれども、まあ一応問題だというようなことを簡単に申上げますれば、要するに国際収支のバランスということが一応経済自立ということの目標であるということにいたしますと、どういう形で経済自立が、国際収支のバランスがとれるかということが要するに議論の焦点になるというふうに御了承願つたらよろしいのではないかと思います。これは勿論申上げるまでもないことでございますが、要するに日本の最近に言われておりますように、輸出二十億ドル目標というようなことが一般に論議せられておると思います。最近の状況はいろいろ申上げましたけれども、二十九年度の一応の輸出目標といいますか、見通しといたしましては、当初十三億七千五百万ドルという輸出目標、見通しを持つておつたのでございますが、外貨予算の編成のときにはこれから約一億ドルくらい内輪に、かために見て外貨予算の編成が現在行われております。最近の実勢から申しますと、多分この中間、或いは若干上廻るくらいのところで本年度の輸出が達成せられるのではないかと思いますが、仮に国際収支のバランスをとろうといたしますと、輸出が年度二十億ドルというようなことが一応の目標にならなければ現在の経済規模或いは何年かあとの経済規模から申しまして、国際収支のバランスはむずかしいわけであります。その差がここに数億ドル、或いはそれ以上あるわけでございますから、その差をどういう方法でどういう政策で埋めるようなことに想定するかという点が、自立計画といいますか、自立の見通しの一番の難点であるわけであります。この点をただエイドなり、或いは特需なり、そういうものに期待して、いわゆる下駄ばきの自立構想というのでは、本当の自立構想にならないわけでありますけれども、併し、さればといつていきなりそういう理想的な自立構想に辿りつけるかという点が現状ではなかなか判断なり想定のむずかしい点であろうかと思います。特に申上げるまでもないことかと思いますが、現在そういう形の問題からフリー・トーキングしておるというような段階でございますので、これは申上げるまでもなく、当初申上げましたように特に計画というような形で論議しておるわけではないかということを御了承願いたいと思います。
 それから第三の外資導入についてのお話がございましたが、これは私から申上げるような立場でもございませんが、恐らく田村先生のお言葉の意味は、現在の状況で外資を導入をして、それで一応まあ当面それでやれるということだけではいかんのではないかという点が先ずお考えの中におありになるのだろうと思います。確かに外資導入といいましても、或いは借款といいましても、これは只でもらうものではありませんし、終局的には、当面は外資なり或いは借款で国際収支のバランスにできるだけ寄与するにいたしましても、究局的には日本の経済の、国際収支のバランスをして、いずれはこれを返す、或いは払えるというようなことが基本的な根本的な考え方にならなければならないことは申すまでもないのであります。又一応外資なり借款で日本が或る程度の外貨を取得をいたしまして、従いましてそれだけの輸入力を殖やし、又それに見合うだけの物資が入つて来ると、その金を、これに見合う金を使つても、物と金が見合つている限りはいわゆるインフレ効果にはならないではないかということに対して、併し、その円資金を使う使い方が、いわゆる迂回的な生産面に投じられれば投じられるほどそこに若干インフレ的な働きをするのではないかという点も恐らく田村先生の御意見の中に含んでおつたのではないかと思います。これらの点は、私どももそういう点について問題があることは、私どもも議論の中にはあるのでございますけれども、現在論議せられております外資導入とか或いは借款というような現実の問題としてそういうことに触れるほどの重大な問題であるかどうか、この辺は私どもまだ十分な判断がつかないようなわけであります。
 なおもう一つ付加えて補足説明を申上げさせて頂きたいと思いますことは、先ほど物価の見通しにつきまして、先に政府は年度で本年五%の物価のダウンを予想しておつたと言つておつたけれども、今私が御説明をいたしました中に一割と言つたというようなお話がございましたが、これは数字の点でございますので、一応補足的に御説明をさして頂きたいと思います。
 それは要するに物価の比較をいたしますときに、二十八年度間平均と二十九年度間平均をとつてみますと一応五%程度のダウンがある。私どもの見通しは、勿論物価の見通しはむずかしいわけでありますから、正確なことにはならないのでございますけれども、一応卸売物価指数について年度間平均同士の比較で、卸売物価指数六・五%、小売指数三・六%くらい落ちるのではないか。従つて年度間平均では五%くらいの低下を予想した。併し二十八年度末、つまり二十九年の三月と三十年の三月、二十九年度末の時点の差で比較したしますと、やはり時点差では一割程度の物価の低落を期待していいのではないかというようなふうに一応の予想を持つておるわけであります。いわゆる五%乃至一割とまあよく言われますのはそういう意味であると御了承願いたいと思います。
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栗山良夫#21
○委員長(栗山良夫君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
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栗山良夫#22
○委員長(栗山良夫君) 速記を始めて下さい。
 失業問題に対する案件を一時中断いたしまして、日本国有鉄道における労働問題に関する件を議題に供します。時間がありませんので問題の要点を衝いてお話を頂きたいと存じます。
 先ず最初に国鉄の当局側に、続きまして参考人といたしまして、国鉄の労組側から発言を頂きたいと思います。
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井上正忠#23
○説明員(井上正忠君) 今回の問題につきまして概略を御説明申上げたいと思います。
 問題は国鉄の組合が先般五月の中旬の上ノ山の大会で委員長、副委員長、書記長その他の役員の選出の大会があつたのでありますが、その選出が、昨年の暮の仲裁裁定をめぐる紛争で、公労法の十七条、十八条によりまして馘首されました人たちがこの三役並びにその他の重要な役員に選挙されたわけであります。でそれに伴つて我々としまして、国鉄の労働組合が公労法上の保護を受けない組合であるということを一応考えまして、その後の団体交渉その他につきまして拒否をしておるという争いであります。
 御承知のように昨年の十二月仲裁裁定の裁定に伴いまして、昨年十二月の上旬から下旬にかけまして数回に亘つて国民の皆様方に非常に御迷惑をかけた、国鉄の始つて以来非常に大きな争議事件があつたわけであります。この件に関しましてはこの委員会でも先般我々御説明申上げたところであるのでありますが、それによりまして、今年の一月の二十三日でありますが、そのときの国労の本部の委員長の柴谷君、副委員長の土門君、書記長の横山君、それから企画部長の岩井君、なお地方におきまして東京、広島、大阪、新潟、非常に闘争の激しかつた、結果におきまして争議の結果が非常に大きく出ましたところの責任の方々を公労法の十七条、十八条によりまして解雇の申渡しをしたわけであります。合計十八名であります。そのうち中央の関係が四名、地方の関係が十四名であります。
 それで実は私たちとしましては、昨年同様なケースがありまして、そのときにやはり中央の本部の三役が公労法の十七条、十八条によりまして罷免されたのでありますが、そのときには組合の中で委員長の臨時代理が置かれまして、なおこの三役は組合の内外とも表面に立たれないで、結局臨時代理が前後の始末をしたという昨年はいきさつを持つております。で、その点につきまして、我々としましては、この組合を代表する三役以下の役員が十七条、十八条で処分されましたので、恐らく明年と同じような処置をとられるものと、こういうふうに期待いたしておつたのであります。なお昨年の例もございますので、丁度年度末の手当の折でもございましたし、そういうことで団体交渉は一応三役がない状態のままに、我々としましては年度末手当の問題を団体交渉を続けて参つたわけであります。
 ところが組合のほうにおいてはその直後に鎌倉で中央大会をおやりになり、同時に四月には鳥取でやはり中央委員会をやられたわけであります。その時分においては恐らく私たちは想像いたしまするに、昨年と同じような処置をとる、或いはもう五月に大会が開かれるので、五月の大会には恐らく昨年と同じように三役を新らしく替えて来られるものと、こういうふうに期待いたしておつたのであります。同時にその前後におきまして、一年間の組合並びに当局の交渉委員会並びに交渉委員の指名手続が労働省で行われるわけであります。これは二月に労働省が選定することになつておりますが、遅れまして、三月に労働省が二十九年度の両者の交渉委員を指名するということになつておるわけであります。恐らく労働省も私はそういうお気持であつたと思うのでありますが、当面の労働問題を放置するわけに行きませんので、一応交渉委員会の選定を組合側のほうからもお求めになり、我々も交渉委員会の選定に当局の意見を出したわけであります。
 で、当時三月には機関車組合、御承知のように国鉄には一般の国労組合と機関車組合と二つございますが、本年は機関車組合に単位をとる問題で相当いろいろないきさつがあつたのでありますが、従来は組合は二つありながら単位は一つしがなかつたのであります。それを今年の三月には単位が二つできたというようないきさつもありまして、今年の四月からは機関車組合は名実共に組合であると同時に単位を持つたわけであります。そういういきさつもあつたわけであります。諸般の状況でいろいろな問題を私たちは三役なきままで一応処理して行く、それが五月の大会で改善されるべきと期待して参つたわけでございます。そういう期待を持ちまして我々四月中は見て参つたのでありますが、大会の五月の十五日の直前になりまして、もう少しはつきり申しますと四月の末から五月の初めにかけまして、どうもこの馘首されました三役の居坐りの気配が我々に感じられるようになつたわけであります。例えて申しますと、委員長を替えたらあと副委員長と書記長は替えなくてもいいかというようないろいろな個人的な話まで出て参りました。でこれは我我が想像いたしておりました三月、四月の状態とは、組合の中で私は相当いろいろな点で情勢が変化して参つたものと、こういうふうに考えております。
 上ノ山の大会が五月の十五日から四、五日あつたわけであります。この大会に三役がそのまま再選されるようであつてはこれは容易ならんことではないか。特に大きな企業、日本の国の最大の組合でもありますし、その点で両者の間に法律上の疑義があつてもならないというような我々善意の気持もございましたので、新聞で御承知のように副総裁が上ノ山の大会に出掛けます前に、当時の柴谷前委員長と、それから土門前副委員長とこの二人を呼びまして、この点についての一応組合のお気持を尋ねられたのがいわゆる新聞に天坊声明として現われておる事件でございます。我々もこの大会は非常に注目して見て参りまして、特に四日目か五日目にきまりました人事関係については非常に注目しておつたのでありますが、遺憾にして大会では公労法上かく首された三役をそのまま殆んど対抗馬といいますか、笑い対立候補の状態も強く出ずに、前委員長の柴谷君が新しい委員長になり、土門君が副委員長になり、横山君が書記になり、なお罷免されました岩井君が企画部長になつて、いわゆる再選の形で出て参つたわけであります。
 そこでいろいろ私たち内部で新しく、あえてこの処置をとられました国鉄の労働組合に対して、我々どういう労使関係を保つべきかということについては部内で非常にいろいろ議論したわけであります。同時に労働省その他の方面にも我々の意見なり気持なりをただ連絡して参つたのでありますが、どう考えましても公労法の第四条第三項では、組合の職員でない者が組合の役員或いは組合員になることも禁止されておりますし、公労法自身が労働組合法の例外な規定でありますし、なお私たちはこの第四条の規定というものは強行法規として解すべきじやないかということもございます。
 又翻つていろいろな労働政策から見ましても、この大きな国鉄の組織とそれから三十数万の国鉄の労働組合との間にルールを外していろいろな労使関係を築いていいか、ルールを無視して円満な交渉が行われるかというような点についていろいろそれぞれの見地に立脚いたしまして議論いたしたのでありますが、円満な労使関係をこの形では続けるわけにいかんという結論になりまして、五月二十七日に副総裁以下我々が新らしくでき上りました労働会館に出向きまして、国鉄の労働組合の新らしい役員の方々に対して組合が違法な状態になつた以上は、我々としてはこれから正規な労使関係を続けて行くわけに参らないのだ。又団体交渉その他の日常の問題についても交渉には応ぜられないのだという申入れをいたしますと同時に、直ちに総裁の名前を以ちまして全職員に、事態はこうなつた、一つ善良な良識を持つて国鉄の輸送に御協力願いたいということを全従業員に伝えたのであります。爾来組合では昨年から今年にかけましての馘首者、昨年の三名と今年の十八名と二十一名の馘首の撤回、それから今度の問題の団体交渉を開け、それから六月に入りましてすぐ問題になりました夏季手当の一カ月分を支給しろ、この三つの問題で六月の上旬から闘争を開始いたしまして、上旬、中旬、下旬と第一次闘争、第二次闘争、第三次闘争、この闘争を計画されたわけてあります。これは皆様御承知の通りであります。
 で、特に当面夏季手当の問題につきまして全官公或いは電通、専売等の各単産の闘争が漸く熾烈になつて参りました。私たちとしては、先ほど申しましたように機関車組合の関係がございますので、機労とは団交いたしておりましたが、国労とは遺憾ながら団交もできない。国労としては早く合法的な姿に戻つてくれ、いつでも団交に応ずるがという言い方をしながら上旬を見送つたのでありますが、そこへ仲裁委員会のほうで、これは国労のほうから不当労働行為で六月の上旬に仲裁委に申請をされましたが、それに基いて仲裁委では、取りあえず夏季手当の問題について国労と当局話合つてみたらどうか但しこの夏季手当の問題については団体交渉でない話合いをしてみたらどうだ、それからこの話合いにはいわゆる渦中の一二役を入れないで話合いをしろと、こういう仲裁勧告が出たわけであります。これが六月の十二日と記憶いたしております。
 で、当事者の回答を翌十三日の日曜日に求められまして、私たちは全面受諾の回答を日曜日でありましたが、いたしたのでありますが、組合は、十三日の回答が一日遅れまして十四日に回答をいたした。その回答の内容は、話合いはいたしましようと、こういう回答でありまして、調停の条件になつておりました渦中の人物を除くという問題につきましてはあえて触れられなかつたというふうに私たちは見ておるのであります。
 で、そういうことで当面夏季手当は、公務員につきましては六月の十五日の支給でありますが、十四日に組合が回答されまして、十四、十五、十六と三日間、この仲裁の勧告案の字句の解釈で両者の関係がもみまして、結局話合いに至らず、漸く十七日になりまして、お互いが小委員会を設けて話合いをしようということになりまして、十七、十八、十九と三回の話合いをいたしたのであります。我々のほうとしましては〇・七五の支給案を出し、組合は一カ月分の支給を要求せられ、だんだん話の途中に〇・七五プラス・アルフアーというところまで組合は譲歩世られて来たのでありますが、我々としましては遺憾ながら本年のいろいろな状況から見まして〇・七五の線を守るわけにいかんということで、三回の話合いを持ちましたが、十九日に不幸にして話合いが決裂になりまして、二十一日以降夏季手当〇・七五を我々の当局側の責任において支給をした結果に相成つたわけであります。
 その後第三次闘争が六月の二十四、五、六とございまして、若干の予想外の障害もあつたのでありましたが、まあ大した障害なしに済みましたのでありますが、一方国労としましては仲裁委に出しておられまして、仲裁委の話合いがそういうふうに不調に終つたということで、今度は東京地方裁判所に団体交渉を行えという仮処分申請を出された模様であります。その結果、裁判所が我々を先月から今月にかけて両三回同時に呼ばれまして、いろいろな和解案を出しておられるというのが現状でありまして、未だにその和解案につきまして当局側の主張と組合側の主張とが調わず、本日四時から第四回目の和解のために我々参るということになつております。
 これが大体の今までの経過と御説明であります。
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栗山良夫#24
○委員長(栗山良夫君) それでは横山書記長にお願いいたします。
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横山利秋#25
○参考人(横山利秋君) 書記長の横山でございます。非常にお忙しいところ時間をお割き下さいましたことに対して、国鉄労働者を代表いたしまして厚くお礼を申上げます。
 只今当局側から御説明になりました事実関係につきましては、そんなに違つたことはございませんから、成るべく時間を短縮する意味におきまして、事実関係に伴う見解の相違を主として申上げたいと思います。
 今回の問題の根本原因は、何といつても四回に亘る私どもの賃金裁定が一回も完全に実行されなかつたというところに根本の起因をなしておりますし、第二番目には昨年と本年とに亘り合計二十一名という大量の幹部の解雇措置ということが国鉄労働者に与えた非常な憤激の的になつているのが根本の理由でございます。かてて加えて定員法以来御存じのように国鉄は約十万人ぐらいの人員の整理が行われておりますし、その労働強化と他に比較してやはり賃金が低い、こういう点が欝積しておつたわけであります。
 直接の原因といたしましては、昨年本参議院におきましても運輸委員会において本年はとにかく裁定の完全実施をするべきだというふうな決議をなされました。我々としても仏の顔も三度と申しますけれども、今年こそは必ずや裁定が実施できるであろうと思つておつたわけでありますが、御存じのようにそれが七月以降となりまして、かてて加えて年末手当は他の現業公社に比較いたしまして国鉄が一番少い。こういうふうな実情に結果としてなつたわけであります。そういう悪い結果である上に加うるに十八名という解雇通知であります。この十八名というのはその量においても又質においても到底国鉄労働者としては認めるわけには参りません。一月以降その撤回のためにいろいろ努力をいたしました。併し努力をする一方、私どもとしては国鉄労働者の日常の労働条件を守るために当局側と団体交渉を続けて参つたわけであります。その交渉は只今職員局長がおつしやるように尋常普通に続けられました。三役がいないままにとおつしやるのですけれども、これは柴谷さんが委員長であり且つ交渉委員長として調印もいたしましたし、その調印した協約は実行されて参りまして、何ら日常変るところがなかつたわけであります。ところが五月の中旬に全国大会を開くということになりました途端に、只今御説明のように三役は留任してはいかん、こういう勧告がございました。
 お考えになつてもわかりますように労働組合のその性格なり或いは人事について使用者側が容啄をするということはこれは不当労働行為として戒められているところであります。それをあえておやりになつたわけでありまして、私どもはまあ法律的立場ということは一応さておいても、組合の問題は組合がきめるべきである、こういう観点でその申入れをお断りをいたしたわけであります。
 全国大会は、又その過程に開かれました中央委員会は満場一致、一人の反対もなく、解雇の通告を受け、これに対して反対の闘いをしている柴谷さん初め四人の者の再選を認めたわけであります。
 本日私は時間もございませんので、法律的な問題の解釈を余りいたすことはどうかと思いますが、素朴に言つて一番労働者として大事なことは給料を値上げしてもらうことと首を切られたくない、これが労働運動の一番基礎の問題だと思うのであります。その基礎の問題で闘つた組合役員、私もその該当者でありまするから、いささかこういうことを申上げることほどうかと思いますけれども、併しその先頭に立つて闘つた人が首を切られた、解雇の通告を受けた、だからすぐにお前は戦列から出ろ、こういうことでは労働者として一体何を目標にしてどういう信念で闘うのか、当局と交渉するのか、何かと言えば、一生懸命にやつた、首切られた、それは戦列から直ぐ外さなければいかんということでは、労働者が労働組合に信頼をし、そうして当局と交渉をするということに非常な障害を受けるわけであります。従いまして国鉄の三十六万の労働者がこの解雇を不当と認める限りにおいて、又労働組合の本来の気持において三役の再選をするということは、素朴であり、且つ又労働運動の一番基礎的な問題として御理解をお願いしたいと思うのであります。
 併しこれに対して当局側は五月二十七日に団体交渉をしないという通告をし、六月一日には総裁が全職員に対して訓示を発表し、六月四日には組合活動の自由の制限をする四つのことを通告をして参りました。それは組合費の一括徴収をしない。そういう協定があつたけれどももうしないのだ。或いは又組合運動に組休制度というものがありますが、それもやめるのだ、それから専従者の給料の予納制度がありますが、それもやめるのだ、こういうふうに組合活動の自由を制限する措置をして来られましたので、我々としては六月一日に仲裁申請をいたしました。申請は、この団体交渉を拒否すること、これが不当労働行為だというのであります。言うまでもなく団体交渉は我々の解釈するところを以てするならば憲法に基くところでありまして、仮に百歩を譲つても法外組合だから団体交渉権がない、こういう点は私どもとしては考えられないところでありまして、今日まで労働法の学者もそういうことはないと解釈をしておられると聞いているわけであります。併しこの間団体交渉しない、それから話合いすらしない、とにかく当局側としてはまあ何と申しますか、組合活動の制限をして、組合に対して俗な言葉で申しますと喧嘩を売るという恰好になつて参りましたので、勢いそれに対する防禦の措置をとらなければなりませんので、仲裁委員会に夏季手当についての緊急な斡旋をお願いしたのもこの趣旨であります。七月の昇給についても又緊急な斡旋をお願いしたのもその趣旨であります。
 今回の問題の特色は先ほど申しましたように、とにかく労働紛争というものについては何ぼお互いが実力行使をしたり喧嘩をしておつてもどつかでやはり窓口を開いて交渉に応ずる、最後の話合い、妥結に応ずるという形があつて紛争は解決するものと常識上考えられるところでありますが、今回ばかりはとにかく先手を打つて当局側が組合活動の自由を制限するいろいろの措置をとられる。それに対して我々がまあ防禦的な形において闘いを余儀なくされる、こういうところに根本の問題があると考えられるのであります。私どもは仮処分にも申請をいたしまして、只今お話がありましたように二つの案が提示されました。
 我々としては、新聞で御存じかと思いますが、第二案というもの、これについては非常に痛いところがあるのでありますが、今日根本的な解決をすることが必要であつても、これだけ境目が大きいのではこれは望めない。従つて先ず第一に暫定的な解決をすることが至当であろうと考えまして、痛いところがあるのでありますが、第二案を了承いたしたのであります。併し当局側は先般のときでは第一案、我々としては到底問題にならない第一案すらも条件を付けなければいやだ、まあ基本的には第一案でも問題だというふうな観点をとつておられるので、裁判長の非常な御熱意にもかかわらず、和解という問題は困難な情勢になつて来ているのであります。
 この際労働省のお方もお見えになりますので、一言これに対する又余分な紛争が殖えて参りましたことに触れざるを得ないのでありますが、七月二日に労働基準法の三十六条の締結の事業場の通達が出ました。今まで超過勤務につきましては鉄道管理局で交渉し結んでおつたわけでありますが、この紛争の最中に労働省がその協定の締結権を現場に下す。つまり当初のお話では管区だけに下すという措置をなされようとしたわけであります。そこで我々は労働省とお話合いをいたしまして、ここにいらつしやる安井さんもいろいろお考えの末、慎重にそれじや一つ考慮しようというお約束を願い、大臣にもそういうお約束を願つて七月一日は延期するというお話であつたわけであります。ところが延期はたつた一日でありまして、七月二日に機関区とほか六つ、合わせて七つの事業場が三十六条協定、超過勤務の協定の指定現場にされました。その結果どういうことが起るかと申しますと、改めて超過勤務の協定を各事業場ごとにし直さなければならんことになつて参りますし、それは今まで一所でやつておつた紛争を全国各地に及ぼすものでありますし、組合費の問題にいたしましても、或いはいろいろな問題にいたしましても、この紛争の過程に非常に、折角とにかく紛争を成るべく少くしたいと思つておりますのが、拡大をする結果になつたわけでありまして、組合としてもそれによつて組合運動が低下するのを避けるためにやはり対抗手段をとらざるを得ん、こういう状況になつて参りました。
 その三十六条の協定と関連をいたします問題に超過勤務の問題がございます。この十日乃至十四日頃から新聞に発表をされておりますように夏の臨時列車が出ることになつております。国民大衆の要望によつて又国鉄の経営上にもよつて臨時列車を夏に出すということは必要なことだと私ども思うのであります。従つて私どももいろいろな紛争はともあれ、その臨時列車を動かすために超過勤務をすることは必然的なことでありますから、その超過勤務に応じ得る態勢にするためには基準法三十六条の協定をしようではないか、こういうふうに申入れましたところ、これを一蹴し、とにかく国鉄労働組合とは協定をしない。こうして鉄道学校の生徒やいろいろな人を使つてこの臨時列車を動かす。極めて私は危険なものと思わざるを得ませんし、これは是非とも思い直しをされるべきところではないかと思うのであります。
 結論として、過程に申上げましたように、好んで私どもはこの紛争を続けようといたしておるわけじやありません。いわば今回は俗に言う売られた喧嘩でありまして、組合の団結を守るための、組合の組織を守るための止むを得ない恰好での闘いになつておるところを十分一つ御記憶を願いたいと思いますし、第二番目には、いつもの紛争と違つて交渉しようにもしようがない。話合いをしようにもしようがない。とにかく一方的に双方が実力行使を対抗上する。その源は当局の措置に対する止むを得ざる手段としての我々の闘争指令、こういうふうになつておることも御理解を願いたいと思うのであります。我々としてはこの際どういうふうに話をつけるにいたしましても、とにかく話合わなくてはなりません。団体交渉してこそ、そこで話合つてこそ解決のめども見えて来ようかと思うのであります。団体交渉の再開こそが今日一番大事なことであると思います。団体交渉はしない、調停委員会はまだ今委員がきまりませんので調停機能を発揮いたしません。仲裁も仮処分も今日すぐ出るとは思われない状況で極めて残念なことであります。従つて労働者が自分たちの利益と団結を守るためには、こういう機能が全部停止をされますれば、必然的に力で、団結で、行動で自分たちの地位なり生活を守り、団結を守るということになるのは止むを得ざるところでありまして、この点につきまして是非諸先生方の御理解ある態度を以ちまして、団体交渉の一刻も早く再開されるようにお願いをいたしたいと思うわけであります。
 簡単でございますが……。
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栗山良夫#26
○委員長(栗山良夫君) 時間が大変迫つておりますので、十分に御質疑を申上げる時間がございません。御退席になる時間が迫つております。それで一点だけ天坊副総裁がお見えになつておりますからお尋ねをしたい。今労組側のこの問題に対するいわゆる経過の報告でなくて、今後のあり方について所信が述べられております。国鉄当局のほうからは経過の報告だけであつたと思います。従つて天坊副総裁といたしまして、これだけ大きな問題になつております事件について、このままで行けば平行線でいつまでも事態の解決ができないと思うのでありますが、何らか解決をするためのお考えというものをお持ちになつておるかどうか。若しお持ちになつておるといたしますならば、それについてお差支えのない程度で一つお話を願いたい、こう考えます。
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天坊裕彦#27
○説明員(天坊裕彦君) 時間もございませんので簡単でございますが、只今委員長がおつしやいました点に関しまして若干私の考えておりますところを申上げたいと思います。
 只今横山君からお話がございました中で、非常に端的に、法律問題は別個として、労働者としては素朴な観点から賃上げの問題と首切りの問題が一番重要なことだという言い方をされたので、私はそのおつしやり方についてその通りだろうと思うのもあります。特に首切りという問題は重要な問題でありまして、そのためにいろいろ法律的なルールがありますか否かにかかわらず、一つの首を切られてはいけないという制限があるわけでありまして、おのずからそこに限界というようなものもあり得るわけなんであります。これは私は一番素朴な考え方であろうと思うわけでありまして、従いましていろいろな理由にかかわらず首を切られた人が切られない人と同じだという恰好になつては、私は一番もとの問題で、労働運動と言いますか、労使間の関係というものは、それが切つても切らなくても同じだという恰好であつては根本的な問題になるのではないかというふうに考えるわけであります。従つてその首切つたこと自体に対する問題は、先ほどお話は出ませんでしたが、組合側としてもこれは無効であるという意味で、それは法律問題として法廷で闘わされておるのでありまして、そうした法廷の手続によつてその問題は解決を見なければなりませんし、見らるべきものであろうというふうに考えております。
 従いまして私ども、法律問題いろいろございますが、先ず第一にその首を切られたという、公労法によつて首を切つたと、そういう罷免をされた人がなつてはいけないというふうに書いてある問題についてはつきりさせなければ、今後の労使関係はうまく行かないという、その基本の問題を第一に捉ええおるのでありまして、決して、私ども団体交渉を拒否するということは二の次でありまして、そのもとの筋をはつきりさせなければいけないというふうに考えておるわけであります。而もその公労法に禁じられておることをあえて強引に上ノ山の大会でおきめになつたということは、そもそも労働組合というものが職員の給与、福祉、そういう問題を先ず第一義として闘つて行くべき性格のものが、ただ解雇された人間に対する闘争のための闘争、気持は私はいろいろわからんでは勿論ないのでありますけれども、その闘争のための闘争を第一義としたというような姿が一番やはりこのもとでありまして、その点を一つ、組合の執行部を選出したもとの職員全体が良識を以てこれを考え直してもらいたいというのが私どもの根本的な立場なのであります。現実に各地におきましていろいろと反省の声もあるわけでありまして、私どもといたしまして、そうした問題が、これは先ほど横山君が当局から仕掛けた、売られた喧嘩だというふうに言われたのでありますが、その闘争のための闘争の態勢を強化されたという点が、私どもから言えば喧嘩を売られたという恰好になつておるのでありまして、それに対しての私どもは何らかの対抗策と言いますか、何らかの措置ができないのであります。そうした恰好のままで、而もそれに対して責任者というものがない、認められないという立場をとります以上は、話合いをいたしましても、団体交渉をいたしましても、それによつて守らるべき相互の責任をどういうふうに考えて行くか、そういうことが全然きまらないままにただ意見の交換をするということは、徒らに次の刺激を大きくするだけではないかというふうに考えておるわけであります。
 幸いに仲裁委員会でも問題をお取上げになりまして、何らかの打開点を発見される御努力があつたのでありますが、その仲裁のほうの御努力の途中で裁判所の問題が出たと、裁判所もいろいろ御審理になつておりまして、私どももできるだけ誠意を以て裁判所の和解の案に副いたいというふうに努力をいたしておるわけてあります。裁判所の以後の成行がどうなりますか、或いは又それに引続いて仲裁のほうもまだお答えが出ておりませんので何らかのお答えが出して頂けるものと考えております。
 当面の臨時列車の問題でございますが、先ほどお話がございましたが、これは各局で、地方の管理局で計画いたしますものと、本庁の私どもが各局間に跨がつて長距離に動きます列車と両方あつて、相当大幅にこの夏季に対する汽車を動かしたり、増発したりというふうに考えておりますが、大体本庁で取上げて計画いたしております分については無理に超勤をお願いしなくてもできる見通しも立つております。各局においてもそれぞれできる範囲においてやつて参りたいということにいたしておりますので、そう大きな支障もないと考えております。特に最近はデフレの影響と申しますか、貨物輸送が非常に激減いたしておりますので、そういう列車が大分休んでおります。そうした点も考えますと、まあまあそう御無理を願わなくてもできるのじやないか。而も緊急に処理すべき、話合いをすべき大急ぎの問題というものもさほど今ないように考えております。その間に何らかの措置をとつて頂けるものと考えておるような次第であります。
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吉田法晴#28
○吉田法晴君 時間がありませんからゆつくり聞いている暇がないので、一遍に聞いてしまいますけれども、主として当局側にお尋ねいたしますが、お尋ねをいたします中心は、解雇問題から発しました今度の一連の措置について一方的に法の解釈をし、それから自分の持つておる考えを飽くまで貫かねばおかんというのではなくて、もう少し反省をして団体交渉を始めたらどうか、こういう点に尽きるのでありますが、当委員会は解雇問題についても労使双方の意見も聞きました。それから労働法学者を呼んで聞いたこともあるわけなんであります。その模様等は恐らくお聞き及びてあろうと思うのでありますが、公労法の一方的な解釈によつて、まあ国有鉄道法にもよつたわけでありますが、解雇することについては、その全部の妥当性を認めるわけにはいかん。或いは恩給をもやらんというような点についてはこれはとんでもないことだ、まあ要約いたしますとこういう問題でございました。こういう意見でございました。で、その後役員について、これはまあ法の解釈も関連はいたしておりますけれども、先ほど横山書記長も言われたように、組合の人事に介入をせられようとした形になつておつたことはこれはまあ否定することができないと思います。それから協約の問題も、すでに結ばれておりました協約の一部、それも例えば組合費の徴収、或いは専従職員といつたような、当局の都合の悪いと言いますか、当局にとつては都合のいいというか知りませんが、一部分だけ効力を認めないでほかはやつておる、こういうような態度も、これは第三者から見ておつて妥当であるとは考えられませんし、或いは根本には組合というものをどういうものとして考えるか、或いは組合の代表意思はどういうものを通じて表示せられるか云々ということに関連すると思いますが、その理論は抜きにいたします。いたしますが、とにかく一方的な解釈で来られたということだけは問題がないじやないか。
 それから或いは協約、交渉の単位にいたしましても、組合と交渉をし、そうして協約をして行くというならば、従来の実績というものはこれはそれで差支えなかつたのでありますが、それを急に現場に下そうと、それで、これはこの問題が起りましても、門司の鉄道局等においては、元の鉄道局と協約が結ばれたというような事態も聞いておりますが、それについても再開をしない。或いは夏季増進を目前に控えて交渉を再開しようじやないかと言つても今のような御理論で、これは私どもから言わせれば、これは公社側のルールではございましようけれども、一方的な見解だけで再開しない。その結果は相当無理が生ずるように聞いております。内容の点まではここであれしませんが要しまするにいろいろ解雇問題についても、或いは組合の代表権その他についても問題がある。そういう問題がある際に、自分のルールだけを押通そうとして、そうして当面の交渉にも協約にも応じない。こういう点は、これは何としても第三者から見ておりまして納得の行かん点だが、地裁の和解勧告案もあるし、これはいろいろ双方にとつて言い分がございましよう、ございましようが、組合にいたしましても、一部の点については譲歩しても交渉を早く始めたい、こういうのだから、この点はこれは当局としても或る程度に議論をおいて交渉に入られることが妥当ではないかと考えられるのですが、これらの点について重点的でいいのでありますが、再考の御意思はないのか。今承わつておりますと、依然として役員の代表権云々ということで交渉にも入らんということでありますが、重ねて一つ御答弁をお願いしたいと思います。
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天坊裕彦#29
○説明員(天坊裕彦君) いろいろ私どもの労使関係の問題につきまして御配慮を頂きました点は感謝申上げます。私どもも決して現在の状態がこのまま長く続いていいとは考えておりません。何とか一日も早く解決いたしたいという、そういう気持になつておるわけであります。ただ何といたしましても、先ほど申上げましたように、一つの大きな筋と申しますか、ルールをはつきりさせるということが私ども第一だと考えておりますので、その問題に対して、若し先ほどのように組合の執行部というようなものが首を切られてもその通りだというような言い方をされて、これに対して私どもとしてはそれに対抗する措置がないのであります。そのルールを何とかはつきりさして頂きたいということが根本であります。仲裁その他外側にもいろいろ関係の機関がございますので、若し緊急な、どうしても話合いをすべきような問題がございましたら、仲裁、調停或いは労働省筆の御配慮もございますので、お話合い等はいたす方法は私はないことはないというふうに考えております。いま暫らく私どもいろいろ考えもいたしますが、現場の良識その他によつて根本的に一つの大きな筋がはつきりするということにしたいというように考えております。
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