吉田法晴の発言 (労働委員会)

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○吉田法晴君 その点はこれは完全失業者の増大は大して予想しておらなかつたが、多少見込み違いがあつた。そこでまあ対策を立てるに併しそうドラスティツクな様相は呈しない、こういう極めて楽観的なあれでありますが、併し中小企業或いは石炭、鉄鋼、その他相当この治安問題に近付きつつあるという様相が出て来た。私これはもう否定できないと思います。それに対して多少の対策と言えば、帰休制度にしても公共事業の吸収にしましても弥縫的な対策でしかないと思うのであります。昨日両方併せて十五、六万の吸収が可能であろうと言われましたが、帰休制度のごときは殆んど今まで申出がない。恐らく公共事業の吸収にしましても、緊急失業対策法の欠陥から十五、六万の吸収なんというのは到底これは不可能だろう、細かいことはともかくといたしまして、恐らく所期されるような効果は出て来ないじやないか。
 そこでまあ問題は根本方針に帰つて参るのでありますが、新経済政策と銘を打つてこれから立てようとする政策、このことについては多少触れられましたけれども、伺つておりますといろいろの疑問が出て来るのですが、基本的な、例えばこの自衛隊その他の増強、私どもの言います再軍備は、恐らく来年も二万前後殖やされるのではなかろうか、こういう話も伺つております。そういう軍事費は殖やしながら他、の財政投融資、或いは国民生活に関係のあります部分については縮小して行く、こういう政策は変えないで、例えば自由経済か計画経済かという根本議論は、公式的にはいたしませんけれども、多少その輸出入なり或いは重油削減の点等についても政府の言い分では、大方針の下における部分的な行政的指導と申しますか、こういう言い方をされるだろうと思うのでありますが、行政的な措置による多少の統制的な面も出で来るのであります。まあいわば自由主義的な基本方針の中における行政的統制方式といいますか、こういう形なのか、多少、そういう理解をするのでありますが、デフレ政策はやめない、ただ出て来た極端な矛盾に対して多少の手直しをする、これが新経済政策かと思うのであります。その点がどういうことでございますか……。
 それから例えば、それに伴つて財政規模は来年度も一兆円を維持するということを言われておりますが、その新経済政策に伴つてそれを来年度予算の編成まで待つのか、或いはデフレ政策修正の要望が極めて強く、曽つての愛知通通産大臣の手直し論と申しますか、これが非常な反響を呼んだほど待望されている。従つて新経済政策を立てるときには臨時国会でも開いて、二十九年度中に多少の予算或いは財政政策についても変更をされるのかどうか、これは時期にも関連します。伺つておりますと、例えば貿易の点は今までのコストを引下げる或いは運賃を引下げる、そのために賃金を引下げ、これによつて輸出を、増大するということでありますが、コストを引下げるという点で何が一番大きな問題か、方法か、財政投融資をやるという一つの方法もありましよう。ところが財政投融資はむしろ二十九年度より減らされた、これも来年度或いは今後とも殖やされるのかどうか、若し減らされるとするならば、その方面からするコストの引下げといいますか、機械化による生産性の向上は困難になる。そうすると生産の規模が問題になる。一炭鉱のことでありますが、一万五、六千トン出れば大体とんとんに引合う。これは炭価三千円にならないくらいの石炭でありますが、引合う。ところが実際には五、六千トンくらいしか出ていない。一万五、六千トン出る炭鉱に五、六千トンくらいしか出なければ引合わないことは間違いない。ところがそれが石炭なら石炭産業全部について今のようなことが言える実情じやないか、或いは造船についてもそうであろう。
 そこで今の田村さんの生産規模の縮小か拡大かという問題でありますが、生産規模を縮小しながら、これは財政投融資をしないでコストを引下げると言つたつて不可能である。そうすると今のように賃金だけを引下げる或いは人員だけを引下げる、若し財政投融資もしない、生産拡大もしないということになれば、労働者にしわ寄せされる。失業者はどんどん出る、或いは労働条件を強化するという今までの方針に大童になろう。それを合理主義という名で呼ぼうと或いは冷酷な独占資本的な方策と呼ぼうと同じことだ。必然的にそうなつて参ると思うのであります。そこで生産規模を拡大する、日本の経済規模を拡大するということになりますと、貿易の規模ということになつて参ると思うのであります。それには今のコストの引下げ等もございます。ございますが、経済規模の拡大を図りながら貿易の拡大を図るということになれば、大きなこれは外交方針にも関連をいたしますけれども、最近自由党でも言われておりますけれども、中共貿易或いは東西貿易も含んだ貿易の拡大、これはポンド地域も含んで貿易の拡大に思い切つた措置を講じなければならない。この点についてはイギリス或いはアメリカさえも或いは中国その他についても立遅れようとしている、これが実際じやないか。その点非常に憂慮を払うわけでありますが、これらの点について根本的な貿易政策に関連して転換の御方針がありますのかどうか、これらの点を一つお尋ねいたしたいと思います。

発言情報

speech_id: 101915289X00419540806_014

発言者: 吉田法晴

speaker_id: 22988

日付: 1954-08-06

院: 参議院

会議名: 労働委員会