吉川久衛の発言 (本会議)

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○吉川久衛君 ただいま議題となりました内閣提出、昭和二十九年の台風及び冷害の被害農林業者に対する資金の融通に関する特別措置法案、並びに川俣清音君外十四名提出、昭和二十九年における台風及び冷害により被害を受けた土地改良区の起債及び借入金の特例に関する法律案につきまして、農林委員会における審議の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。
 便宜上、まず昭和二十九年における台風及び冷害により被害を受けた土地改良区の起債及び借入金の特例に関する法律案につきまして御報告申し上げます。
 土地改良区は、土地改良法に基きまして、農地の改良、造成等の事業を行つていることは御承知の通りでありますが、昨年に引続き今年もまた累次の台風及び冷害等の災害により、事業に必要な経費を組合員に賦課徴収することが著しく困難となつた土地改良区が少からず生じているのであります。本案は、これら土地改良区が災害のために賦課金の徴収猶予を行つた場合、そのために生じた歳入の不足を補らために区債または借入金によつて資金の調達をはかり得るよう、今二十九年度に限り土地改良法の特例を認めようとする目的をもつて提案されたのであります。
 本法案は十二月四日本委員会に付託となり、同日提案者代表川俣清音君より提案理由の説明を聞きました後、提案者並びに政府当局に対し質疑を行いましたが、詳細は会議録に譲ります。
 質疑終了後討論に入り、社会党芳賀委員から賛成意見の御開陳がございました。討論を終り、採決の結果、賛成者少数をもつて否決されました。
 次に、昭和二十九年の台風及び冷害の被害農林業者に対する資金の融通に関する特別措置法案について御報告申し上げます。
 御承知のごとく、本年北海道及び東北地方の一部に近年まれに見る激甚な冷害がありまして、北海道のごときは全域にわたつて被害をこうむり、作況指数を例にとつてみましても、去る十月十五日現在の農林省調査によりますと、水稲六〇、陸稲のごときは実に一五にすぎない状況でありまして、この点からも今次冷害の苛烈さを御推察願えることと存じます。他方、台風は、八月以降、第五号、第十二号、第十三号、第十四号及び第十五号と引続き襲来いたしまして、宮崎県初め相当広汎な地域にわたつて災禍を与えているのであります。しかも、この台風の被害地のうちには、昨年も同様水害または風水害により多大の損害をこうむつた上本年と、累年災害を受けたものが相当にございます。また特に北海道、青森、岩手等のごときは、本年の冷害に加えて台風第十五号の襲来をもこうむつているのであります。従いまして、全国的規模において見ました被害額は昨年のそれに比較して劣るとは申しますものの、災害地の大部分は昨年に比してはるかに深刻な影響をこうむつているのでありまして、農林業経営維持に多大の支障をもたらしておりますことはもちろん、生活の維持にも困難を保している状況にありまして、一日も早くこれが救済の措置を講ずべきことは、もとより当然のことであります。わが農林委員会といたしましては、これら災害の甚大なることを察知いたし、当時閉会中でありましたにもかかわらず、九州及び北海道並びに東北の一部に国政調査の委員派遣を行い、これらの災害につきつぶさに調査をいたし、これに基き十数回にわたり委員会並びに農林災害対策に関する小委員会を開き、これが対策を考究いたしまするとともに、政府に対しましても万遺憾なき対策を講ずるよう要望して来たところであります。従いまして、政府といたしましては、これらの趣旨をも体しまして、災害対策の最も重要な一環として、被害農林業者に対し今後その経営を維持するに必要な資金を低利で円滑に融通いたし、もつて被害農林業者の経営の安定をはかる目的をもつて本法案を提出されたのであります。
 次に、本法案の要旨を御説明いたしますと、一、本年の台風及び冷害により平年作に比し三割以上の農作物の減収をこらむり、かつその損失額が平年の農業総収入額の一割以上、または林産物の損失については林業総収入の一割以上に当る農林業者に対し経営資金を融通することとし、その貸付限度は、内地七万円、北海道は十五万円を最高といたし、牛馬の所有農家はこれにさらに三万円を加算いたします。償還期限は原則として二年以内、その他政令で定めるものね五年以内、利率は年六分五厘以内、その他政令で定めるものについては年五分五厘以内といたします。二、利子につきましては、地方公共団体が年五分ないし六分の補給をした場合は国がその半額を補助いたし、また損失補償についても、地方公共団体が融資総額の四割までの補償をした場合には国が二分の一を補助することといたしております。三、融資総額は八十五億円といたしております。四、昨年の水害、風水害または冷害による被害農林業者で本年重ねて被害を受けた者の貸付を受けている経営資金の本年度償還分については、その償還の猶予にかえて、従来と同一条件で借りかえを認めることといたしてあります。
 以上本法案の要旨を申し上げたのでありますが、本法案は去る十一月三十日付託となり、翌十二月一日羽田農林政務次官より提案理由の説明を聴取の上審議に移し、各委員より御発言があり、慎重に検討いたしましたが、一昨四日をもつて質疑を終了、ついで吉川より大要次のごとき内容の修正案を提出いたしました。すなわち、一、経営資金には土地改良区の賦課金の納入のために必要な資金を含むこと、二、開拓者に対する経営資金の融通については利率を年三分五厘とすること、三、昨昭和二十八年の水害、風水害及び冷害に関する特別措置法により利率年三分五厘で資金の融通を受けた者が本年の台風及び冷害により平年の総収入額の百分の五十以上に達する被害をこうむつた場合には、融資利率を年三分五厘とすること、四、融資総額を百億円とすること、であります。ついで、社会党芳賀委員から、この修正案について提案者たる私並びに政府側に対し質疑がなされたのでありますが、詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 続いて討論を省略、採決に入り、まず吉川提出の修正案について採決の結果、全員一致、但し自由党欠席をもつて可決、次いで修正部分を除く原案について採決の結果、これまた全員一致をもつて可決、よつて本法案は修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。
 続いて、吉川より次のごとき附帯決議を付したいとの提案があり、採決の結果、同様全員一致をもつて可決いたしました。
 附帯決議を朗読いたします。
    昭和二十九年の台風及び冷害の
    被害農林業者に対する資金の融
    通に関する特別措置法案に対す
    る附帯決議
   政府は、本法による資金融通の結
  果、系統金融機関の本来の資金に不
  足を来すことのないよう農林債券の
  資金運用部資金による引受枠の増大
  等適切な措置を講ずるとともに、得
  に信連、単協に資金繰りのしわよせ
  を行うことのないよう厳に留意する
  こと。
  以上御報告申し上げます。(拍手)

発言情報

speech_id: 102005254X00619541206_005

発言者: 吉川久衛

speaker_id: 27075

日付: 1954-12-06

院: 衆議院

会議名: 本会議