小出榮一の発言 (通商産業委員会)

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○説明員(小出榮一君) 只今御母衣並びに鳩ケ谷地点に関しまする発電所の建設に関しまして、御視察の御報告を頂きました。いろいろ御注意頂きました点もございますので、監督官庁といたしまして一応の所見を述べさして頂きたいと思います。
 先ず御母衣の問題でございますが、御指摘の通り、この地点は電源会社創立当初において開発地点として指定されました。比較的早くから開発が予定されている地点でありまするのにかかわりませず、御指摘の通り補償問題が非常にこじれまして、今日まで各方面に大変御迷惑をかけております点は誠に申訳ないと思うのであります。率直に申しましてこうなりました原因といたしましては、一つは会社創立当初比較的早期における開発地点の指定がございました関係からいろいろ不慣れな点がございまして、本来ならば開発計画、工事計画或いは地質調査等が精密に終つたあとで、本格的な補償の交渉に入るべきであつたのでございますが、工事を一方において急ぎまする気持も手伝いまして、補償金額の一部支払のほうを先に急ぎました関係上、非常にちぐはぐな結果になつてしまつたのであります。御指摘の通りこの地点は殆んど電源会社が今日担当しております開発地点の中で一番地質的にもむずかしい地点であることが漸次明らかになつたわけでございまして、そういう関係からこの地質調査を精密に行いまして、先ほどお示しになりました地質の専門家でありますニツケル博士、土木の専門家でありますサべ—ジ氏を委嘱いたしまして精密な調査を一応終つておるのでございますが、その一応の結論といたしましては断層の問題が非常にむずかしい問題でございまして、従つてその断層を前提として工事を進めまするためにはダムの設計におきましてもロツクフイル・ダムというような、日本として経験の浅い施設を行わなければならないという、非常に技術的にむずかしい問題が出て参つたのであります。現在の段階におきましては先ほど御指摘の通り賛成派のかたに対しましては第一次、第二次とすでに補償金を一部支払つて参つたのでございますが、なお残りました賛成のかたに対しまして事後の補償金額を支払うかどうかという点につきましては一応会社の方針といたしましては全体の具体的な工事計画がもう少し精密に決定をいたしまして、ダムサイト等の地点も明確になつたときに取りまとめて補償の本格的な契約なり、交渉をいたしたい。済崩し的に少しずつやつて行きますと却つて悪い、それが今日の混乱を招いた原因でございますが、更にそれに拍車をかけることになりやしないかということを恐れておる現状でございまして、本来ならば前提となりますいろいろ技術的な面が解決したあとで補償に応ずればよかつたのでございますが、その点が前後いたしました関係上、止むを得ずそういうような結果になつたのであります。併しながら開発をするということはもうすでに決定された事項でございますので、できるだけ早くこの技術的な見通しも確立いたしまして、そして折角賛成して頂いておりますかたがたに対しては速かに合理的な補償を実現して行きたい。かように考えておる次第でございます。
 で、その見通しにつきましては御承知の通り先般世界銀行からの一千万ドルの借款を要求いたしまして、そのうち二百万ドルというものをこの御母衣の技術援助費として要求しておる次第でございます。これは御母衣が技術的にむずかしいために先ずアメリカから技術の専門家を招きまして設計なり或いは事後の工事建設に関する技術的な指導をしてもらう、そのための技術援助費として二百万ドル要求しておるのでございますが、これに関連いたしまして先般世界銀行から専門の技術者が、ピツカリーという人が参りまして現地を精密に調査をいたしました。その結論が近く出ることになつておりますので、その結果も見ました上で本格的な設計の完了をいたしたい、かような段階になつておることを御了承願いたいと思うのでございます。
 それから鳩ケ谷の問題でございまするが、これはお話の通り御母衣とは全く違つた、全く通常の補償の形態でございまするが、ただ一つ鉱業権の問題がお話の通り引つかかつておりまして、地元の名古屋通産局長を中心にいたしまして鉱業権者のほうと話合いをさしておるのでございますが、これも先般通産局長上京して参りまして更に打合せをいたしたのでありまするが、割合最近の機会に円満に妥結するものと、こういうふうに考えております。いずれにいたしましても、こういう鉱業権の問題にいたしましても又補償額がとかく不当に高くなりまして全体の建設コストが非常に高くなるという事態は必ずしも好ましくございませんで、それらに対しまして何か合理的な補償の基準を見出したいという意味におきまして特別の立法措置でも講じて頂きたいということで実は通産省といたしましても事務的には以上の案を持つておりますし、又他の建設工事を担当しておられます建設省、或いは農林省等においても御同様の案を持つておられるように承わつておりますので、これらはいずれも若し成案が得られましたならば国会におきまして御審議を煩わしたいと、かように考えておる次第でございます。
 それから最後に下流増の問題でありますが、これにつきましても各地点とも同様の下流増負担の問題があるわけであります。これについてもやはり同様に下流増負担に関する何らかの合理的な原則を確立したい、場合によつては立法措置を講じたい、かように考えておる次第でございます。
 簡単でございまするが、一応只今いろいろ詳細御調査頂きました点につきまして政府といたしましても深く感謝しますと共に所見を申上げる次第でございます。

発言情報

speech_id: 102014793X00119541202_014

発言者: 小出榮一

speaker_id: 5659

日付: 1954-12-02

院: 参議院

会議名: 通商産業委員会