足鹿覺の発言 (農林委員会)
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○足鹿委員 農林大臣がお見えになつたようでありますので、二、三お伺いをいたしたいと思います。先日来の本委員会において、農林大臣はいろいろと日本農政についての御構想を御開陳になつたのでありますが、私は新聞なりあるいはその他で大臣がいろいろと御発表になつておられる施策を生み出しておるその背景について、御所見を最初に承りたい。
具体的に申し上げますならば、終戦以来来年でもう十箇年を迎えることになると思うのでありますが、私の見るところでは、戦後農村は初めて危機の様相を深めて来る段階にあるのではないか。比較的順調であつたと言われる農村経済も、わずかな蓄積を使い果して、すでに世紀の大事業とも言われた農地改革も、一歩誤れば崩壊寸前の事態に直面しておる。こういつた事態は一体どこから来つつあるかと言えば、政府は今まで土地金融その他の点についてもいろいろと構想をめぐらしておるようでありますが、くずれて行こうとするものにいろいろなわずかなつつかえ棒をかけてみましても、それはとうていものの役には立たないと思う。農地改革それ自体が崩壊の危機に瀕しておるということは、それにふさわしい、農地改革を裏づけて行く極東委員会の対日基本政策の十六原則が十分に果し得なかつたというところに、戦後における日本農政の欠陥があり、またそれが今日のような事態を来す背景の中心をなしておる。それに無謀なデフレ政策のしわがようやく日本農村にも滲透して参りまして、農家の生産する農産物の値下りによる所得減はもちろんのこと、副業収入あるいは兼業収入の面においても大きな減収を来し、一方経営の面においては、必ずしもその生産財は下落しておらない。農産物価格の下落に均衡がとれて下落しておらない。むしろ逆に、農薬のごとくあるいは農機具のごときものは騰貴すらもしておるという実情にあります。一方養蚕にいたしましても、あるいは最近勃興しつつある酪農にいたしましても、あるいは鉱工業原料の農産物価格にしましても、統制の撤廃された各種の農産物は、相次いで下落の一途をたどつており、比較的てこ入れのきいておつたといわれる米価においてすらも、計画的にこれを引下げようという傾向が、昭和二十九年度の予算を通じて端的に現われて来ておる。また大臣が先日来言われたコストの引下げの基盤ともいうべき、農業生産力の基礎をなす土地改良等に対するところの政府の財政投資、あるいは融資等の面におきましても、デフレ政策の影響を受けまして著しくこれが削減を受け、その影響がようやく年度末を控えて農村に顕著に現われて来ておると思うのであります。こういつた一連の生起する現象というものは、さらに昭和三十年度、来年に至つては激化こそすれ、これを緩和ができるような原因はどこにも見当らないと思うのでありますが、新農林大臣として先日来いろいろとその構想を発表されましたが、大臣は来年度の日本農業がどういうふうに推移して行くかということに対して、基本的構想をいかに立てておられるか。それと先般来述べられておるいろいろな施策とは、どういう関連において成り立つておるのであるか。われわれは従来からもそうでありますが、いやしくも事農政については、その計画性と長期性と一貫性というものが、他の産業における場合よりも重視されなければならないということは、われわれが従来この農村問題ときわめて地味ではあるが取組んで来た基本的なものであります。内閣がかわるたびごとに、常にその政策の基調がぐらつくというようなことは、保守革新のいずれを問わず、政権をとつた場合においても、その基調となるものはあまり動かすべきものではない。そういうものを地方の農民は真に求めておると思いますが、自由党の絶対多数の政治の際においてすらなされなかつた米の統制撤廃のごとき問題も、きわめて簡単にこれを間接統制へ移行しようという構想を発表せられ、また短期内閣、選挙管理内閣であるはずの今回の鳩山内閣が、たまたま農林事務次官の辞任に基くや、たらいまわし的な人事ではありますが、上層部にあつて相当大きな人事の異動が行われている。すなわち人事の異動ということは、人心を一新して行く上においてはあるいは必要であるかもしれませんが、機構の改革が行われて、その改革に魂を打ち込むために人事の異動が行われるものではないかと思う。人事の異動があつて、農林省には機構の改革についての基本もないにもかかわらず、人の首が次々と移つて行く、こういう姿、何か日ごろ農林大臣が、農村の問題について熱心に当委員会等でも御発言になつておつた当時の印象を裏切るかのごとき次々の御行動に対しては、ふに落ちないものを痛感いたしておるのであります。そういつた点について、まず最初に申しましたように、来年度におけるところの日本農業の見通しについて、どのような観点に立つておられるか、その上に立つ御所見をあらためてこの際承りたい、かように存するのであります。