中川融の発言 (水産委員会)

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○政府委員(中川融君) ただいま御指摘のありました各項目につきましてこれから外務当局及び政府としての考え方を御説明いたしたいと存じます。
 経緯につきましては、ただいま政務次官の御説明の通りでございます。今回支払われました二百万ドルと日本側の受けました損害額との相関関係いかんという点でございますが、日本側の受けました損害額というものは、そのつど政府におきましてこれを調査いたしまして、その調査を完了次第アメリカ側に昨年四月当時より逐次伝達しているのでございます。その総額はこの委員会でもしばしば政府側から説明のありました通り、大体三十六億円程度になっているのでございます。これは損害の額でございますが、アメリカ政府が支払うという場合には、やはりアメリカとしてはアメリカ政府の支払うべき責任の限度というような問題、その他法律上のいろいろな解釈の問題が出て参るのであります。交渉の当初におきましてその問題が非常に論議されました結果、このアメリカ政府の責任の限度、法律上の責任の限度ということを論議しておりましたのでは、とうていこれは補償問題はらちがあかないという見通しが立ちましたので、法律上の責任の問題と離れまして、むしろこれだけの損害があったことに対してアメリカ側が実際上の問題としてこれくらい日本に金を払って政治的にとにかくこの問題を片づけるという方向によって問題を解決しようということになって参りました。その経過はこの委員会でももうすでに御説明した通りでございます。このような経緯にもとずきましてアメリカ側は先ほど政務次官から御説明のありました通り、最初は百万ドル程度でこの問題を片づけたいというような意向を表明したのでありますが、日本側としては損害額が非常に大きいというような事情から、そのような額では困るということで折衝を続けまして、その結果昨年末二百万ドルという数字が出て参ったのであります。この二百万ドルは日本側で算定いたしました実損害額というものと比べますればもとより少いのでございますが、同時にこのアメリカ政府の法律上の責任というような問題を論議いたしまして正面切っての折衝をいたしまして到達するであろうと考えられる金額よりは相当多いものである。つまりアメリカ政府といたしましても政治的な考慮を加えました結果、この金額までに到達するに至ったと、かように考えられるのでありまして、政府としてはこの程度がアメリカとの交渉によってアメリカから支払いを受け得るおそらく最大限度であろうかと考えまして、ここで妥結をはかったのでございます。これが二百万ドルと実損害額との関係の説明でございます。
 なお、法律上の責任問題とは関係なく慰謝料として受領した理由いかんという点はただいまの説明の中で尽きていると思うのであります。要するに法律問題を論議していたのでは、日本側が一応満足までは行かないにしても、ある程度我慢のできるという金額まで到達するということはとうてい困難であるという見通しの下に、法律の問題は離れまして、政治上の問題、事実上の問題として解決をはかった次第でございます。なおアメリカの補償責任の問題がどうなるか、法律上の問題がどうなるかというお尋ねでございますが、この点につきましては、日本政府といたしましては、法律上の問題を離れて、今回二百万ドルという額で本件の最終解決をはかったのでございます。従って、日本政府は法律上の責任をこれ以上アメリカ側に請求する、つまり昨年度におきますビキニ近辺における原爆実験の結果起きた損害につきまして、法律上の責任をアメリカ側にこれ以上追及するということは今後はしないことになるわけでございます。日本政府としての態度は今回の公文交換でもはっきりいたしておりますように、これを以って最終的解決をはかるということになっておるのでございます。これはこのような、いわば話し合いによる解決ということをいたしました結果として、当然さような結果になるのでありまして、内部的に申しましても、たとえばいろいろの国内問題としての損害賠償という事件がありました際に、裁判で争う法律上の問題としてではなく、話し合いで解決するという方法をとりました際は、話し合いが妥結いたしました場合には、それによって裁判を請求する権利はいわば放棄するのでありまして、日本政府といたしましては、これによって最終的解決をはかったということになっておる次第でございます。

発言情報

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発言者: 中川融

speaker_id: 552

日付: 1955-01-22

院: 参議院

会議名: 水産委員会