楠本正康の発言 (水産委員会)
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○説明員(楠本正康君) ただいま委員長から御指摘のございましたように、厚生省といたしましては、昨年十二月末日をもって、長い間行なっておりましたマグロ検査を中止いたした次第であります。この理由につきましては、私どもはかねて放射能による魚類の汚染の状況を、各専門研究者等を動員いたしまして調べて参りました。その結果、第一に私どもの直接食用に供しまする肉部におきましては、放射能の汚染はきわめて微量でありまして、これをカウント数にいたしましてもすべて十カウント以下であります。ただし魚を全体としてはかりますると、かなり高い汚染を示すこともございまするが、これはもっぱら私どもが食用に供さない部分、たとえば内臓器のようなところに汚染が強い結果、全体としては高いものが現われてくることがあり得るわけでございますが、少くとも食用に供しまする肉部におきましては、きわめてわずか、危険性のない範囲であることを確認いたしました。
第二は、これらの魚に沈着いたしまする放射能を、その後さらに分析をして見ました。いかなる放射性物質によって汚染されているものかにつきまして、これまた研究を進めておったのでありますが、昨年の十一月にたりまして、おおむねこれが亜鉛である、つまり大部分が亜鉛であって、人体に害のあるストロンチウム等の物質はきわめて微量であることが確認されました。従って、もともときわめてわずかしかないものが、もちろん人体に影響のない程度しかないものが、しかもこれを調べて見るとストロンチウムのようなものはない、亜鉛であることがわかったのであります。御承知のようにストロンチウムは、能力のある期間が約二十五年と言われておりすが、亜鉛の場合にはわずか二百五十日で、もう比較にならぬ毒力であります。
第三は、これらの発見されます汚染したマグロというものは、これは全体に対しますとわずかに〇・五%に過ぎません。つまり二百匹に一匹ということでございます。従いましてわれわれがこれをかりに、もちろん毒ではありませんが、何ら支障がありませんが、かようなものを食用するといたしましても、二百回に一回という割合に相なります。もちろん先ほど来申し上げましたような亜鉛のきわめて少量というようなものは、毎日きわめて多量に食べても何ら害がないにもかかわらず、それも二百回に一回ということになりますと、ますますもって問題がなくなって参ります。かような結果が、私どもはもちろん学問研究でありますので、昨年の九月、十月頃から逐次確認せられて参りまして、各研究者が一致した成績として確認いたしましたのが十二月の当初であります。で、それ前に私どもといたしましてはこれらの結果は、たとえば亜鉛であるというようなことは世界で初めて発見されたことでありまして、世界の学界にも報告をいたしまして非常に感心をされておるような状况であります。従って私どもといたしましては、これらのマグロの研究結果というものが大勢の直接研究しております学者の一致した意見であり、しかもこれらが何ら全く危害のないことが明らかになりましたのでさような措置を講じた次第であります。ただ、ただいま委員長の御指摘のように、ごく一部の学者は目下反対をいたしております。しかしながら、これらの学者は大体直接研究をしている方々ではありませんので、いろいろ想像等も加えまして反対をされておるわけでございますが、ただどんなことでも学界の反対のない意見というものはございません。これはたとえば現在私どもは痘瘡の予防に種痘をいたしておりますが、種痘についても反対が行われておるという人もあるわけでございますので、これらは私どもといたしましてはできるだけ納得をしていただきたいと思っておりますが、これは別にデータ、研究資料等に基いての反対でございませんので、私どもといたしましては何ともいたしかねる状況でございます。
次に国民の不安があるという御指摘でございまするが、私どもといたしましては全くこの安全ということを新聞その他を通じてできるだけ御理解いただけるような努力をして参っております。なお今後もさらにこれらの研究成績等を十分にわかりやすく公表いたしまして、もし、かりにも御不安があるならばこれを除去するのに努めて参りたいと考えております。
次に時期の問題がございまして、たまたま二百万ドルで妥結するときと一致したじゃないかというお話でございますが、これは全くの偶然の一致でございまして、私どもといたしましてはたびたび研究会議を開いて進んで参りましたが、当初八月、九月、十月とたびたび研究会議を開いて、その最終的な結論が十二月の当初に得られたわけでございまして、従ってこれらは何らこれとは関連はございません。私たちの措置は全く技術的な学問研究の結果を行政に反映したに過ぎないのであります。