新谷寅三郎の発言 (電気通信委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○新谷寅三郎君 武知さんはもう大体のことはおわかりのことだと思いますからくどく申上げませんが、防衛庁の通信網をどうするかという問題は、或いはそれだけ見ると内閣委員会の問題であつて、電通委員会の問題でないかも知れないのです。併し国全体の通信政策という点から見ますると、これはまあ非常にこの電通委員会も重大な関係があるということで、先ほど山田委員から申上げたような決議をいたさざるを得なかつたわけなんです。我々心配しますのは、私ども一企業会社が得をするとか、損をするとかという問題を離れまして、今後の日本の防衛通信を含めた通信政策というものをどう持つて行くか、どうすれば一番通信の能率を発揮できるか、国民がそれによつて利益を受けるかということから考えて行かなければならんと思うのですが、その点から申しますと、私はもう少し山田委員よりも具体的に申上げますが、防衛通信というものは、これはもう戦争中、或いは戦前の軍用通信に類するものだと思います。これについては一番重要なことは、防衛庁のほうでは、毎年何万ずつ兵隊を殖やして行こうとか、軍艦を殖やして行こうとかという計画がありますけれども、これをもつと経済的にやるのは、機動的に動かして行かなければならんことだと思うのです。これにはもうこの通信というのが一番大切な神経の中枢になる。で、私極端に言えば、何万人とかの軍隊とか或いは何万トンの軍艦とかいうものが必要かも知れませんが、仮に三万人の兵隊であつても、一万トンの軍艦でありましても、それを動かすための通信施設というものは当然それに附随して考えて行かなければならない。ところが従来の防衛庁の行き方をいろいろ聞いてみますると、この点において非常に欠けておるところがある。通信のことは放つておいて、ただ兵隊の数だけ殖やそう、トン数だけ殖やそうというふうに行かれたのじゃないかという懸念があるわけです。先般も防衛庁の次長以下にその点を私から具体的にいろいろお聞きしたわけなのですが、私は私見を申上げますと、そういう軍隊の装備というものも必要ですが、それ以上にこの通信網というものは欠くことのできないものなのだから、千何百億の予算の中から、必要やむを得ないものなら当然優先的に防衛庁としては通信計画についての費用を考えなければならんのじゃないかということを申上げたわけですが、そういう意味で、私は防衛通信というものは、いずれは防衛庁自体の幹線は自分で持つて自分で運営するということにならざるを得ないと思うのです。そうあつて結構だと思いますが、併しそれがどうしても自分の手で短期間にできないという場合は、それならばどういうものを利用するかということになつて来ると、現在幹線だけはもう一両年のうちには完成をするといわれる電電公社の通信施設を利用される。そして一時、間に合わせておいて、そうしてやがて近い将来に自分で持つような方向に向つて進めて行くということでないと、一番恐れられる通信の秘密というものが保てないのじゃないかということを懸念するのです。それから経済的に見ましても、日本の電波方面についての技術水準が非常に劣つておるのです。これを何とか早く世界的なレベルに持つて行こうというので終戦以来いろいろアメリカの援助も得ましたし、各方面とも努力しておる。外国の資本、外国の技術ということは一応それに飛びつきたいという気持のすることは、国情として私はわからんことはないと思いますが、併し外国からの技術、外国からの資本を入れるということによつて日本の技術水準を高めるという努力をそこで怠つてはいけないと思う。端的に申上げると、本当にサンプルで外国の機械を入れるのはこれはよろしい。併し多少の特許料を払いましても、それがどんどん国内において生産せられる、そして国内で実用化されて行くというところに日本の製造技術或いはその他の技術水準の向上というものが初めて期待し得る。で、鳩山内閣では自動車について非常に、国産品を使おうじゃないかということを閣議できめられたそうですが、それと同じ考えからいいましても、先ほど申上げた特に遅れておる電波技術の水準を上げるという意味からいつても、私はここで大臣としてはもつと高い見地からお考えにならなければならん問題があるのじゃないかということを申上げなければならんと思うのです。それからこれは私は素人ですから詳しくは申上げるのを憚りますが、今駐留軍がやはり或る程度の日本の国内におけるマイクロウエーブの施設をみずから建設しつつある。これは電電公社に委託をしてやつておる。結局駐留軍の施設というものが、日本の自衛隊がだんだんふくれて行くのに従つて、駐留軍というものは撤退して行くのだという方針は変りないと思いますから、それに関連する通信施設のごときも、これは自衛隊が駐留軍の使つておつた通信施設を使つて行くということにならざるを得ない。そうしないと又別にここで自衛隊がお作りになつても、経済的には二重の投資になつてこれは私は非常にむだだと思う。そういう駐留軍との交渉もされる必要があるのじゃないかと思うのです。極端な場合に駐留軍が全部退いた場合には、自衛隊はその通信施設というものはそのまま自衛隊のために使うのだということであつて然るべきだと思うのです。そういうふうないろいろな計画を将来に亙つてお考えになつた上でこれはきめるべき問題だと思いますので、只今お話になつた両院の委員会の決議の趣旨を尊重して、その線に沿つてやつて行く以外に仕方がないという点で、私もそれはその通りやつて下さるなら結構だと思いますが、それをおやりになる場合に、私の今申上げたようなことも十分考慮して頂いて、国全体の通信政策として将来に大きな禍根を残さないように善処して頂きたい、これだけ私から希望をいたします。