井本台吉の発言 (公職選挙法改正に関する調査特別委員会)
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○井本政府委員 私どもの方は、取締りの関係を分担しておるものでございまして、大体取締りの観点から全貌を見ておるようなわけでございます。統計を逐次とっておるのでございますが、非常におくれまして、現在の状況ではお手元に配付いたしました四月三十日のものが最近の集計になっております。この四月三十日付の全国の検察庁におきまして受理いたしました衆議院議員選挙事犯の総計は二万八千七百十七件でございます。これは前回の総選挙における一万五千三百三件に比較いたしますると一万三千四百十四件の増加となっておるのでございます。なお、二十七年の十一月の当時の受理件数に比較いたしますると、当時は四万四千六十九件を受理いたしておりますので、それよりは相当数減少しております。
私どもの検挙の方針といいまするか、どうしても検挙いたさなければならぬのは、いわゆる実質犯といいまする買収、供応もしくは選挙の自由妨害等の悪質犯罪につきまして特に全力を注いで検挙をいたしております。いわゆる形式犯といいまする、ただいま申し上げた買収、供応、選挙妨害など以外の犯罪につきましては、法規の不知というような点で思わず犯罪になるというようなものにつきましては、そう検挙いたさないので、ただいまのところまで、かような点について特に検挙いたしておりまするのは、組織的、計画的に、十分法規を研究いたしまして、買収、供応に劣らないような悪質な点が認められるものにつきましては、形式犯におきましてもちゅうちょなく検挙を続けておるのでございます。かような実質犯、形式犯の検挙の比率などにつきましても、従来の選挙とは格段の相違というようなものは、今回の事犯検挙では見受けられません。
なお、今度の選挙に際しまして私どもも非常に注意いたしたのでございまするが、毎回選挙の際に被疑者とかあるいは関係者に自殺者が出ますので、ふだん善良な方々が、たまたま選挙法に触れるということで取調べを受け、あるいは関係人として取調べを受けました際に、受けたショックによって死亡するようなことがあってははなはだお気の毒であるから、十分その点については注意するようにということで、たびたびの会合の際、あるいは大臣、検事総長の訓辞の際などにも、その点について御注意を願ったのでありますが、結局、この総選挙におきましても、現在のところでは大体十四名ほどの自殺者が出ております。この自殺のケースにつきましては、検察庁におきましても一つ一つの自殺の経緯、動機等について十分調査をいたしておりまするが、現在の状況ではいわゆる人権侵害のような事実は認められておりません。刑務所の中で死亡した者が二名ほどございまするが、これは多少管理者に注意の行き届かなかった点があったやにも考えられる点があるのも多少あります。その他、大体、自宅に帰りましてから、いろいろ精神的なショックを受けて自殺をしたというような実情でありまして、かような自殺のようなことになりました方々に対しては、まことにお気の毒でありますので、将来ともかような点につきましては、かような事故のないように十分注意いたしたいと考えておるのでございます。
それから、選挙事犯の公判の審理の状況でありまするが、これは、まだ起訴後に日がたっておりませんので、現在なお捜査中のものもございまするし、前回の選挙に比較いたしましてどの程度に裁判が進行しておるかというような具体的な実情については、まだ調査の段階には至っておりません。しかしながら、従来選挙の事件が非常におくれますので、この問題につきましては、這般最高裁判所におきまして裁判所、法務省、警察庁、弁護士会が協議いたしまして、選挙裁判については特に敏速にやろうという申し合せをいたしました。具体的にいろいろな事犯について、かような点についてはお互いに努力しようというような申し合せを数回いたしまして、これを全国に流して、早く裁判をするように努力するということに相なったおけであります。その後各地の裁判所、警察庁、弁護士会におきまして選挙裁判促進の協議会をやっておりますから、今度の事犯につきましては裁判は相当早く進捗するのではないかと考えるのでございます。
なお、こまかい取締りその他を通じまして、われわれとして選挙法をかような点について改正した方がいいのではないかというような点につきましては、警察庁、自治庁の方々といろいろ協議いたしてございますので、後ほど自治庁の方からお聞き取り願いたいと存じます。