大石武一の発言 (社会労働委員会)
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○大石委員 お答えいたします。との法案は、医薬分業ということを前提といたしております。ただし、長い間の日本の医療上における習慣なり考え方がございますので、これを一挙に改革するということは、私は日本の国民の考え方、習慣の上からいたしまして、相当の混乱と不便を来たすと思うのであります。従いまして、将来理想的な医薬分業を目標といたしておりますけれども、そこに向って一歩ずつ国民の理解と努力とによって近づけていかなければならぬと考えております。その段階が、私は現在の私たちの改正案であると考えておるのであります。私たちは、将来医薬分業になればけっこうだと思います。医薬分業があって一番得をするのは、医者と薬剤師であります。おそらくほんとうの話は、患者は困ると思います。私は今から四、五年前にアメリカへ参りました。アメリカでもニューヨークとかシカゴとかボストン、サンフランシスコとかいう町しか見て参りませんでしたけれども、どこへ参りましても、これは強制的ではない、医者と薬剤師の合意の上の完全分業でございます。実に不便でございました。たとえば、私はとても疲れて夜騒騒しくて眠れない、簡単なカルモチンくらいほしいと思って薬剤師のところへ参りました。絶対に売りません。医者の処方せんがなければ売らぬわけでございます。そこで、どうすればいいか、医者のところに行く。医者のところへ行くには、前もって何日の何時に来いというアポイントを受けなければ見てくれない。行けば必ず十ドルの診察料と相当の処方せん料を取られます。日本なら、現在薬剤師のところへ行って、カルモチン一箱百円なら百円で簡単に買えるものが、わざわざ十ドルの診察料を払う。何にもない、医者はただ話を聞くだけで、それならばといってカルモチンを処方せんに書いてくれるだけであります。そして薬局へ行けば、びんに入ったカルモチンをもらうだけであります。それで十ドルの診察料と処方せん料を払わなければならぬというわけで、国民にとっては、実に愚かな非常な負担だと思います。ただ、アメリカの国民は金持であり、豊かであるから、とのような負担に耐えられるだけであります。そして、向うで調べてみますと、医者と薬剤師と結託して——日本は医者と薬剤師がけんかしておるけれども、アメリカは反対で結託しております。そしてある薬剤師のところに医者の処方せんが何枚か来ると、その何割かがリベートとして医者のととろに戻っていく。そして薬剤師はいわゆるドラッグ・ストアであり、これは町角の一番便利なところにあります。アメリカは、いなかから来れば、ドラッグ・ストアに行って、どの医者がよいかということを聞いて、その紹介によって医者のととろに行くのでありますが、その紹介に対して何割かのリベートがいくのであります。これがアメリカの現在の医薬分業の実情でありまして、実に不便でございます。私は身をもって体験いたしまして、これでは実際、将来は医薬分業はけっこうだと思いますが、これを直ちに実施したのでは、国民が一番困ると思います、確かに医療費が高くつくのであります。そういうわけでありまして、これは漸進的に、将来文化が発達すれば、分業になるのは当然でありますから、分業に向っていくのはけっこうでありますが、漸進的に向っていかなければならぬという考えのもとに、来年の四月から実行されるのは少し急激過ぎはしないか。あの時分は、昭和二十六年であります。私も国会議員をし、あのときは厚生委員をやっておりまして、あの昭和二十六年の法律の制定に賛成をした一人でございますが、あの時分は、要するに日本はまだ非占領国でありまして、サムスという人の考えが相当支配しておった。これはアメリカ人でありまして、アメリカの医薬分業を前提とした考え方であります。従いまして、行き過ぎであると思いますので、その罪滅ぼしのためにも、この際多少修正いたしまして国会議員としての職責にとたえたい。こういうわけでこの修正案を出したので、決して医薬分業をやめさせるとかなんとかいうのではない、それは理想としておりますけれども、そこに行くのには多少段階がございますので、低い段階から上っていかなければならぬと考えておるだけであります。
調剤の問題に関しましても、調剤する能力は医者にもあると認めておるけれども、その能力を発揮するのはわずかな部分の、自分の診察した自分の発行した処方せんの患者に限定しまして、分業の精神をはっきりと示しておると考えるわけであります。