前尾繁三郎の発言 (地方行政委員会)

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○前尾委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題となつております地方税法の一部を改正する法律案につきまして、はなはだ不満ではありますが、強い希望を申し上げまして賛成の意を表するものであります。
 今回の地方税の改正に当りましてその前に申し上げておかなければならぬ問題は、本年の地方財政副画についてであります。地方財政計画は御承知のようにことしほど全く権威を失墜したことはないのでありまして、いろいろのいきさつが巷制また政府部内においても言われておりますように、従来でありましたら大蔵省、自治庁間にあらゆる努力をして調整がなされるのが、それがなされずにほとんど最後に地方財政にしわ寄せになったというような状況でありまして、はなはだ私はその点について政府に対して強い不満を持っているものであります。ところでまた地方財政の行き詰りも本年ほどひどいことはないと思います。ことに二十八年度の決算によりますと、給与その他の関係におきまして地方財政計画と実体とが遊離しておりますのが四百数十億にもなっているのでありますし、赤字が四百六十二億という額に達しているのであります。さらにまた二十九年度の赤字も百二十億以上に上っているということが予想されているような状況であります。しかも御承知のように今回国税におきまして減税がたされております分については、地方税ことに住民税におきましては法人割あるいは所得割についての税率を引き上げまして、税負担をすえ置きにしている、こういう措置をとっておりながら、政府自体におきましては交付税率を二二%そのまますえ置きにしているというような行き方で、全く政府みずからすべてその負担を地方民にしわ寄せして回避しているという行き方をいたしているのであります。実は自由党といたしましては何とかこの際に先般の予算修正に当りまして、ぜひとも相当な修正をやらなければならぬというので、いろいろ検討いたしたのでありますが、遺憾ながら修正というようなことでこれを是正することができぬ。根本的な是正をやらなければならぬというので、ついに臨時国会をまってというようなことに立ち至るのやむを得なかった次第であります。従いまして今回の予算修正におきましては地方の問題についての何ら解決を見なかったような次第であります。それを引き継ぎましてわれわれといたしましても今回におきましてはあまり大修正をやれない。少くとも地方財政計画に欠陥を生ずるような問題につきましてはこれを差し控えなければならぬものだというような事情に立ち至ったのでありまして、その背景を考えますときに、よほど政府において御反省を願わなければならぬ、かように考えている次第であります。ことに地方税制につきましてはこの法案の提案理由に自治庁長官は、昨年の第十九国会におきまして地方税について根本的改正をやったので、すでに安定しているから、事務的な改正だけでいいのだというようなことをおっしゃっているのでありますが、われわれは根本的に見解を異にいたしているのであります。と申しますのは、地方税制全般にわたって交付税の問題あるいは譲与税の問題、それらをひっくるめて決して安定したものとは考えておりません。また地方税制の中におきましても、政府でも遊興飲食税等につきましてはすでに根本的な改正を企図せられた。ところがこれがうやむやのうちに葬り去られておるというような事情を考えましても、今回の税制が安定しておるということは私は言い得ないと思うのであります。ことに遊興飲食税の問題は、府県間の不均衡の問題あるいは業者間の不均衡の問題、それがますます激しくなってきておる状況でありまして、これをゆるがせにするというわけにはいかぬ問題であります。しかしわれわれも直ちに自治庁の事務当局の案を採用するというところには参りませんので、これらの問題をすべてひっくるめて中央地方を通ずる税制の根本的改革も予想されておる際でありますので、すべてそこに譲っていかなければならぬ。これは先ほど申し上げましたようなことしの地方財政計画の背景のもとにおいてやむなきに至った次第であります。従いましてわれわれは今回のお出しになっております提案そのものにつきましては、事務的な問題ばかりでありますので、決して賛成するにやぶさかではありませんが、地方税全般についてもっともっと検討していただき、またわれわれも検討して、次の国会なりにおいて根本的な改正をやろうという意図のもとに、また政府に対するそういう強い希望条件のもとに本案に対して賛成の意を表するものであります。
 社会党のお出しになっております法案につきましても、私は、給与所得に対する住民税の問題あるいは遊興飲食税の問題につきましても、決して反対ではないのでありますが、給与所得と事業所得の住民税の問題は、根本的に国税を通じて検討を要する問題でありますし、また遊興飲食税の問題につきましても、先ほど来申し上げたような状況でありますので、将来ぜひお互いにもっと適切な改正をやろうという意味において、ただいま直ちに赤字の出ます――あるいはたばこ消費税に財源を求められておりますが、そうすれば結局国の方に赤字が出るのでありまして、その点におきまして賛成をいたしかねる次第であります。
 私はただいまの理由によりまして、本法案に賛成の意を表し、社会党案に対して反対の意思を表明するものであります。

発言情報

speech_id: 102204720X04819550725_011

発言者: 前尾繁三郎

speaker_id: 24548

日付: 1955-07-25

院: 衆議院

会議名: 地方行政委員会