山中貞則の発言 (本会議)

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○山中貞則君 今国会の冒頭に当りまして、議院運営委員会におきまして会期の決定を論議いたしました際に、民主党の諸君は五月末日までを強硬に主張されまして、私どもは、野党といたしましてこの民主党の五月一ぱいの主張に対してどうしても信を置くことができなかったのであります。何となれば、当時の民主党の諸君は、総選挙終了直後でありまして、主として組閣人事あるいは党内人事に狂奔をいたしておられました。従って、国会対策は留守がちになっておりまする現状から考えて、とうていその主張は根拠あるものとわれわれには考えられませんでしたので、真に国家的な見地よりして、私ども野党は六月一ぱいの線を主張いたし、ついに採決によって現在の会期は決定をいたしたものであります。これは、現在のこの会期延長の現状を見まするとき、民主党が、与党といたしまして、果して先般の五月一ぱいの主張にどのような確信を持っていたかについて明瞭にこれを証明するものであると言わなければなりません。
 しかも、この政府はその後国会の運営においてどのはうな状態を示して参ったかということでございますが、肝心なる本予算の提出は、政府の正式表明といたしまして、四月の十五日に提出を予定いたして、正式に議運において発表いたしておりましたものが、実際には四月の二十五日に提出を見ておるわけでありまして、十日間の、そこに大きな食い違いが現われておるのであります。これは、御承知のごとく、外交あるいは予算面等において完全に大きな失敗となりました防衛分担金削減の交渉が大きな遅延の原因となっておるわけでございますが、すでにすべり出しにおいて、このようなすべり出しを開始いたしました鳩山内閣のその後の国会の乗り切り方針を見まするときに、私どもといたしましては、どうしても真に国会に対して誠意ある態度を示しておられるものと了解するに、はなはだ困難な点が生じて参ったのであります。
 たとえば、六月二十八日の内閣の報告によりまする数字によりますと、議案提出の状況は、本院に提出をされました件数百三十六件、そのうち両院を通過しましたものはわずか二十八件しかないという状態であり、本院において審議中のもの六十七件、参議院において審議中のものが三十九件であり、他にまた議員提案の重要なる法案その他がたくさんの数審議中の状態であります。このような現状から見まするならば、いわば、国会の審議は、少くともこの数字的な立場からするならば、緒についたばかりの状態と言わざるを得ないのであります。このように考えてみまするときに、私どもといたしましては、政府が果してこの国会に対してどのような決意を持って臨んでおるかについて疑問なしとしないのであります。
 きのうの議院運営委員会におきまして、あと会期をわずか二日残すのみとなりましたその立場において、官房長官が議運で質問に答えたのでございますが、その官房長官の言明いたしました内容につきまして、私どもは、さらにあぜんとせざるを得なかったのであります。何となれば、官房長官は、あと二日しか会期の残っておらないその現状において、なお未提出で、しかも今後国会に提案して成立をはかるために検討中であるという法案を十数件残している事実を報告されたのであります。さらにまた、今日まで議運その他におきまして公的に政府が提出の用意のあることを示されなかった、新しく提出を考慮中のものも二件もあることを報告されました。私どもは、このような官房長官の報告は、一体、あと二日会期を残したきのうという時期において、どういう気持でそのような報告をされましたものか、はなはだ了解に苦しむ次第でございます。しかも、また、余剰農産物協定の締結に伴いましては、新しく特別会計等を起す必要も現実に責任ある政府として起っているはずでございます。予算すら本会期中におきましては絶対に成立し得ざる状況下にありますことを考えまするならば、このような内閣の国会に臨む態度というものは、まさに私どもが今日まで体験をしたことのないところの怠慢内閣と言わざるを得ないのであります。
 しかも、内閣がこの問題についてどのような努力をしているかをうかがうに足る一つの資料といたしまして、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきましては、官房長官は提出をするため検討中であるということを申しましたが、そのとき、きびすを接して議運委員会に入って参りました担当の三木運輸大臣は、この日本国有鉄道法の一部改正法案は今国会においては提出をしないつもりであるということを言明いたしておるのであります。私の、その不一致に対する質問に対しまして、三木運輸相は、事もなげに、ああ、それは私のおそらく連絡不十分であったことに基因するものでありましょう、と答弁をいたしておるのであります。あとわずか会期二日しか残さない現状において今から連絡をするとか、あるいは今まで連絡を私の責任においてしなかったのだとか、そういうようなことで、果して、国会乗り切りに対しまして、この内閣は統一ある態勢をとったかどうかということについて大きな疑問なしとせざるを得ないのであります。
 しかも、われわれといたしましては、この鳩山内閣の態度に対しまして、一方において、野党としての立場に驚いて、鳩山内閣が選挙を通じ国民に対して大きなともしびを掲げたところの公約をあくまでも実行せしめることに、厳重な監視を続ける義務があるのであります。しかも、その鳩山内閣の公約が国民のためにどのような結論を得るかを見届ける責任を持つものであります。従ってわれわれは、国家的見地から、一カ月延長して、真に鳩山内閣の公約の結論を求めるための努力をすべきであることを決定いたしました。幸いにして民主党は与党としての責務を自覚し、また内閣も怠慢を反省されましてわが党の主張に同調をされましたことは、まことに喜ばしいことでございます。私どもは、この政府、与党の誠意にこたえて、今後国会運営の面におきまして十分協力を惜しまないものであることを申し上げておきたいと思うのであります。(拍手)
 さらに、社会党の諸君は、十五日程度の延長ならば何とか応ずるという話があったのでございますが、先ほど述べましたところの数多くの審議未了の案件等から考えて、一体十五日ということはいかなる根拠において割り出してこられたのか、私どもとして判断に苦しむ次第でございまして、これは社会党の諸君が単に国民に示されたゼスチュアにすぎないと私は思うのであります。(拍手)もちろん、会期延長に対しまして、絶対に、全然妥協の余地なく反対をするというならば、それはそれで、私どもも社会党の主張を了承する気もいたすのでありますが、しかしながら、それでありましても、国会の会期を締め切ることによりて、審議未了という立場において、自分たちの反対する法案その他をつぶそうという考え方は、私どもとして断固として承認せざるところであり、国会議員として、議員の当然の権利たるところの審議のその責任をみずから放棄することをはかるものであると、私どもは考えるのであります。しかも、冷静に考えていただきたいことは、思想的立場あるいは政党の異なりによって主張される、すなわち、あなた方が審議未了等の姿においてみずからの党の立場を守りたいとされる議案以外にも、国民大多数が成立を待ちこがれるところの重要案件が多数あることについて、社会党の諸君は十分反省をされてしかるべきであると考えるのであります。従って、社会党の諸君がわれわれの三十日延長案に対して良心的に賛成されんことを期待してやまない次第でございます。
 以上、私は、自由党を代表いたしまして、会期三十日延長に賛成の態度を表明いたしたものであります。(拍手)

発言情報

speech_id: 102205254X03519550629_005

発言者: 山中貞則

speaker_id: 3654

日付: 1955-06-29

院: 衆議院

会議名: 本会議