小平久雄の発言 (商工委員会)
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○衆議院議員(小平久雄君) ただいま議題となりました株式会社科学研究所法案について御説明いたします。
狭隘な国土に八千万を算する膨大な人口を擁し、しかも天然資源に乏しいわが門が苛烈な国際競争に伍して経済の自立を達成するためには、科学技術を振興し、もってわが国産業の技術的基盤を強化することが、必須不可欠の要件であることは、論を待たないところであります。さらにわが国産業の技術的基盤を強化するためには、研究活動の一そうの推進が必要であります。思うに最近の研究は、研究分野が著しく専門化して行く傾向が強く、今後の研究の方向は、これら分化発達した各分野の研究の総合化を必要としている段階にあるのであります。換言しますならば、現代科学技術の振興は、電気、化学、機械材料等、各研究分野の知識を総合結集するのみならず、基礎研究から応用研究、工業化試験までを一貫して行う強力な総合研究に待つところきわめて大きいのであります。
現在わが国におきまして、かかる総合研究を行う研究機関としては、株式会社科学研究所がありますが、同研究所は、わが国唯一の総合研究所として歴史的伝統と優秀な研究員を擁し、財団法人理化学研究所として創立して以来三十年わが国科学技術の発展に幾多の貢献をしてきたのでありますが、昭和三十二年財団法人より株式会社に改組され、民間法人たる株式会社科学研究所として再発足したのであります。しかるに同研究所は発足後なお日浅く、産業界よりの数度にわたる資金援助にかかわらず、資金的基礎が脆弱なため極度の財政的不振に陥り、現状のまま推移すれば、総合研究所としての機能はますます弱体化し、国家的にも重要な研究の続行が不能となり、ついには閉鎖の悲運に陥る懸念なしとしない状況にあります。元来、基礎研究を含む総合研究機関は、最初からコマーシャルベースにおいて経営することはきわめて困難で、国家からの援助がぜひとも必要なのであります。これは、旧理化学研究所の改組に当り、衆参両院が財団法人現化単研究所に関する措置に関する法律(昭和二十二年法律第二三号)の付帯決議として、同研究所に対し財政並びにその他の援助をなすべきことを決議している事情に照らしても明らかなことであります。
本法律案は、右の趣旨により科学技術に関する総合研究を急速、かつ、計画的に行う実施主体として、広く産業界の資金の参加を得て、半官半民の特殊会社として株式会社科学研究所を設立し、所要の助成措置を講ずるとともに、他方では、研究所に対し、必要な監督を行おうとするものであります。
すなわち、私どもがあえて本研究所の設立を企図いたしましたゆえんのものは、第一に、試験研究の総合的実施を推進する主体として、国の意見を反映することのできる機構が必要であり、そのためには、本研究所のごとく国の強力な支持と、また研究の自主性を不当に拘束しない程度の監督とを期待し得る研究所の設立が望まれたこと。
第二に、わが国の産業界がかかる試験研究に投下し得る資金にはおのずから限度があり、またリスクに富む研究の特殊性からして科学技術の総合研究を純然たる私企業の運営のみにゆだねることは、資金収得と危険負担の両面において少からぬ困難が予想されたこと。
第三に、科学技術の総合試験研究が産業界に与える直接、間接の利益を考慮すれば、研究に要する資金の一部をこれらの企業の協力に待つことがむしろ適当でもり、また、これにより従来よりも民間資金の活用が可能であることにあったのでありまして、私どもといたしましては、このような強力な機構の確立により、科学技術の今後における飛躍的な進展々期待している次第であります。
次に本法律案の概要を御説明申し上げます。
第一には、研究所設立の目的は、前述のように、わが国産業の振興及び発展に寄与する科学技術の向上に必要な事業、特に総合的な試験研究の推進に存するものであり、従って、研究所の行う事業の範囲は、これら試験研究及び研究成果の普及を主たる事業として行うのほか、付帯事業としては、研究所の目的達成に必要な事業で通商産業大臣の認可を受けたものに限定いたしました。
第二には、研究所は、国の科学技術行政施策に協力して、試験研究業務を推進する機関とする趣旨から、研究所は、本法に基く特殊会社たることを明らかにし、かつ、政府は予算の範囲内において研究所に出資を行うことができることといたしました。
第三には、研究所の性格にかんがみ各種の助成措置を講ずることとし、研究所に対しては、その設立及び資本の増加に際し、登録税を免除するとともに、国は、研究所の試験研究業務に必要な経費の一部を補助金として交付することができることとし、さらに社債発行限度の特例を規定することにより資金の確保に遺憾なきを期しました。
第四には、以上と表裏して、研究所の代表取締役及び監査役の選定等の決議、合併及び解散の決議、事業計画等の設定及び変更、定款の変更、社債の発行、利益金の処分、重要財産の譲渡等については、通商産業大臣の認可を受けることとし、右のうち所要事項については、大蔵大臣と協議すべきことといたしたのであります。
第五には、研究所設立の経過規定につきましては、昭和二十七年八月四日設立された株式会社科学研究所は、株主総会の特別決議を得て、研究所に対してその営業の全部を出資することができるものとし、かつ、その出資する営業の価格の評価については、臨時に通商産業省に設ける評価審査会において評価するものとするほか、設立委員の任命等研究所設立に必要な諸規定を設けることといたしました。
以上本法律案の提出理由並びにその内容に関する概要を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことを切望する次第であります。