吉瀬義信の発言 (農林水産委員会)

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○参考人(吉瀬義信君) それでは私から次の数点につきまして、補足して御説明申し上げ、御参考に供したいと思います。
 第一に、地元の漁業者、及び海上保安庁の調査結果等より見まして、一月の二十六日以降、一月三十一日まで、海上自衛隊の艦船が訓練しており、停泊していたという事実、及びこれらの艦船以外には商船等航行、停泊したものはないという事実でございます。
 第二に、東京湾内の海流、潮汐流、風向等より見まして、木更津沖海上数海里の地点において流出したものと考えるのであります。これは昨日の各関係官庁協議会におきましても、海上保安庁調査結果によりまして明らかな通り、東京湾海流を、ABCDEの五区域に分けまして、そのE地域、海流、風向、風速その他より見て、E地域におきまして投棄された可能性が非常に多いということでございまして、この地域に自衛隊の艦船が停泊し、行動しておったのでございます。なお、海上保安庁の調査によりますれば、それ以外の遠方より流れて来たものではないということ、それは海流等の関係、また油の流出を認めた船がなかったということ、あるいは木更津海岸等、極限された地域に限定されておるということから見ましても明らかでございます。
 第三に廃油の分析結果についてでございます。化学専門家の言によりますと、海上に漂流された油と機関より採取された油の分析結果が同一であるということは考えられないのでございまして、異なっているということが当然であるとのことでございます。ただいかなる点において類似のものであるか、同一性が認められるかということが重要な論点でございます。従いましてノリしびにつきました廃油と、自衛艦の機関より採油した油とが、分析結果が同一でないから、自衛艦船から流出したものでないという結論は出てこないのでございます。
 以上のような論点から、東大生産技術研究所その他の方々の分析しました結果について、意見を申してみますと、お手元にお配りいたしてあります千葉県が依頼いたしました東大生産技術研究所の分析結果でございます。これによりますと十三ぺージに報告がございますごとく、この右のSと申しますのは、ノリしびに付着いたしておりました廃油でございます。それからFIらFIVまでフリゲート艦から採取いたしましたものでございます。それからKは黒潮丸、Lが海上自衛隊の「やぐるま」から採取したものでございます。これらを比較いたしてみまして、最初の比重もほとんどノリしびについておったのと、フリゲート艦についておったのとは差異が認められません。粘度におきましてもノリしびについておりましたのが一九四、FIIが一三三、それからディーゼル・エンジンの方の油はLの六二と、非常に低いことになっております。その他重要な差異点は、残留炭素、これによって非常にこの油の特色が現われておりまして、ノリしびに付着いたしておりますものは六・〇八四%、フリゲート艦FIIより採取いたしましたのが四・八〇五%と非常に類似いたしております。なお蒸溜試験の結果も、蒸溜残渣、ノリしびに付着いたしておりましたものが五・〇グラム、FIIの蒸溜残渣が六・五グラムでございます。なお海上自衛隊に納入されております油の分析結果も十五ぺージに出ております。
 次に警察庁科学捜査研究所に防衛庁が依頼されました分析結果でございますが、これを見ましても一から十までの検査結果になっておりますが、一から九までは、色その他の試験でございまして、ほとんど差異は認められないのでございます。ただ十番の紫外部分光吸収極大波長、それと発光分光分析検出金属元素、こういうものに若干の差異を来たしておりますが、これは先ほど申しましたように、サンプリングの差異、及び資料の調製法の差異、これはどういうことかと申しますと、現在の化学実験におきましては、除去できない残滓と申しますか、要素があるのでございまして、従ってフリゲート艦から取ってきた油と、海流に長く漂流した油は、紫外線を当てて、そういう波長が違うということは、これは当然のことでございます。
 なお、珪素あるいは鉄、マグネシウム、カルシウム、こういうものが、海上に漂流しておったものに付着しておりますということも、これも当然の結論でございます。
 それから平均分子量と申しますのは、先ほどの生産技術研究所の結果の粘度ということに該当するものでございまして、これも粘度量、平均分子量が、海上に漂流すれば多くなるということも当然のことでございます。
 以上のような観点からいたしまして、分析結果が異なるからノリしびについていたものはフリゲート艦の廃油ではないということは、こっけいなことといえるのであります。従いまして千葉県といたしましては、ノリしびに損害を与えた被疑者は、防衛庁の船艦であるという推定をいたしておりまして、これが防衛庁の船でないという挙証責任は、防衛庁にあるものと考えております。私は分析結果、あるいは潮海流、その他客観情勢の調査、海上保安庁は非常に熱心に調査をいたしてくれるのでございまして、これらの客観的な調査結果から見まして、これ以上、廃油が防衛庁の船艦のものであるとか、ないとかのきめ手を出すことは、科学的に困難であろうと思います。けれども、二千数百名の零細漁民が一億数千万円の損害を受けた厳然たる事実があるのでございます。私はこれらの漁民を救う解決の道は、一に皆様の力によるほかはないと考えております。何とぞ、今次損害の補償につきまして、さらには、水質汚毒防止法等の制定による被害の防止、あるいは被害者に対する共済制度の確立等、今後、法的措置を講ずべき幾多の問題があると思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

発言情報

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発言者: 吉瀬義信

speaker_id: 8091

日付: 1955-06-07

院: 参議院

会議名: 農林水産委員会