農林水産委員会

1955-06-07 参議院 全196発言

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会議録情報#0
昭和三十年六月七日(火曜日)
   午前十時三十六分開会
    —————————————
 出席者は左の通り。
   委員長     江田 三郎君
   理事
           秋山俊一郎君
           白波瀬米吉君
           三浦 辰雄君
           戸叶  武君
           千田  正君
  委員
           青山 正一君
          池田宇右衞門君
           大矢半次郎君
           重政 庸徳君
           清澤 俊英君
           三橋八次郎君
           東   隆君
           棚橋 小虎君
           菊田 七平君
  委員外議員
           小林 孝平君
           片岡 文重君
  政府委員
   防衛庁防衛局長 林  一夫君
   外務省参事官  寺岡 洪平君
   農林政務次官  吉川 久衛君
   農林省農業改良
   局長      小倉 武一君
   農林省畜産局長 原田  伝君
   水産庁長官   前谷 重夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
   常任委員会専門
   員       倉田 吉雄君
   常任委員会専門
   員       林  達磨君
  説明員
   海上保安庁警備
   救難部長    砂本 周一君
  参考人
   千葉県水産部長 吉瀬 義信君
   千葉県水産試験
   所千葉支所長  内田 一三君
    —————————————
  本日の会議に付した案件
○参考人の出頭に関する件
○農林水産政策に関する件
 (廃油による海苔業被害に関する
 件)
 (海馬島における難破漁船に関する
 件)
 (昭和三十年度農林省関係予算に関
 する件)
○農業災害補償法の一部を改正する法
 律案(内閣送付、予備審査)
    —————————————
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江田三郎#1
○委員長(江田三郎君) それではただいまから農林水産委員会を開きます。
 参考人についてお諮りいたしたいと思います。去る五月三十一日の委員会において問題になりました東京内湾における廃油によるノリの被害について、その後関係当局の調査も進んだようでありますから、後刻重ねて議題として御審議を願う予定でありますが、委員からの御要求もありまして、その際参考人として、千葉県水産部長、吉瀬義信君及び千葉県水産試験所千葉支所長、内田一三君の出席を求め、意見を聞くことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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江田三郎#2
○委員長(江田三郎君) それでは参考人として吉瀬義信君及び内田一三君の出席を求めることに決定いたしました。なおその手続等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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江田三郎#3
○委員長(江田三郎君) 御異議ないと認めて、さよう取り計らいます。
 ちょっと休憩いたします。
   午前十時三十七分休憩
     —————・—————
   午前十時五十一分開会
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江田三郎#4
○委員長(江田三郎君) それじゃ再開いたします。
 東京内湾における廃油によるノリ業被害に関する件を議題にいたします。本件につきましては、去る五月三十一日の委員会において問題になり、当局の善処が求められておりましたところ、その後当局における調査が進み、資料の提出もありましたので、本日重ねて議題として当局の説明を聞き、御協議を願うことにいたしたいと思います。
 なお、先ほどおきめ願いましたように、千葉県の方から二人の参考人の出席を得ております。なおこの問題につきまして、議員の片岡君から委員外の発言の申し出がございますが、片岡君の発言を許しましてよろしゅうございますか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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江田三郎#5
○委員長(江田三郎君) じゃさようにいたします。
 それでは当局の説明を聞くことにいたしますが、まず最初に参考人の千葉県水産部長吉瀬義信君にお願いいたします。
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吉瀬義信#6
○参考人(吉瀬義信君) 私千葉県水産部長の吉瀬義信でございます。
 去る一月末から二月初めにかけましての廃油によるノリ被害状況に関しまして、当時現地の調査をいたしました水産試験所千葉支所長の内田君から、初め被害概況調査の状況について御説明申し上げまして、そのあとで私から詳細にわたってお話し申し上げたいと思います。
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江田三郎#7
○委員長(江田三郎君) それではさように取り計らいまして、千葉県水産試験所千葉支所長内田一三君を参考人として説明を求めます。
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内田一三#8
○参考人(内田一三君) 私内田でございます。ノリの廃油被害を受けました当時、現地の調査を実施いたしましたので、その状況を簡単に御説明申し上げたいと思っております。
 ノリの養殖をやりますのは、九月の末、海にノリの網を入れまして、そうしてそれに種をつけて大きくするのでありますが、本年のノリの種付けは非常に良好でありまして、生育も順調に進んで参りました。十一月の初めにノリをとるのでございますが、ノリをとり始めましてから非常にそれも順調に進みまして、十一月の末、十二月の初めごろに水温が高くなった関係で、ノリの腐れが起きたのであります。そこで生産高が非常に減じまして、漁民も非常に困ったのであります。ノリのあと芽が成長いたしまして、一月の終りから二月の初めには豊漁を予想されたのでありますが、突然一月三十一日から二月の一日にかけまして、千葉県の木更津市から君津郡富津町に至ります海岸ノリ漁場に廃油が流れて参りまして、大きな被害を来たしたのであります。漁民は零細な漁民でありまして、その被害に大へんな打撃をこうむったのであります。
 その次に被害の状況についてお話を申し上げますと、二月の二日君津の漁業協同組合長から水産試験所に調査方を依頼されたのでありますけれども、水産試験所のみで調査をするのにはあまりに大きな問題だろう、こういうふうに考えましたので、直接水産部に連絡をとり、また船そのものがどこの船であるかということがはっきりといたしておりませんので、渉外広報課の係員と同道いたしまして調査を実施したのであります。そのときに沖合にフリゲート艦六隻が見えましたので、まずその船がどこの船であるかということを確めるために、富津から船を出したのでありますけれども、近くまで参りまして、その船を確認したわけであります。廃油によるノリの被害の写真、すでに御供覧願ったことと思いますが、その船は「やぐるま」、「れんげ」ほか四隻でありまして、防衛庁の船であるということを確認いたしました。直ちに水産部から防衛庁に連絡をとっていただきまして、二月の四日、五日の両日、防衛庁からも係官に来ていただき、漁業協同組合長ととともに調査を実施いたしました。
 そのときの状況をお話し申し上げますと、各漁業協同組合長の説明によります結論、その結論といたしましては木更津市の桜井では一月の三十一日にすでにもう網に油がくっついておる。そうして油の流れております状況は何条にも大きなかたまりになって流れておった。そうして上げ潮で木更津市に入り、下げ潮で桜井の沖合のノリの網に油がくっついた、こういうふうに申しております。それから君津町の坂田では、三十一日の午後五時頃までにはその被害はなかった。三十一日の夜の上げ潮によりまして、坂田の漁場のノリ網に油がくっつき、それから南の方の大堀、君津町、青堀町の青木、富津町、その地区には三十一日の夜、油が流れついて、そうして網にくっついておる、こういう状況でございます。
 被害の概況につきましては各関係の漁業協同組合から提出されました資料を総合いたしますと、その被害額は約一億一千二百万円に達しております。そうして最もひどい害を受けた所は木更津市の桜井、君津郡の君津町であります。そこが非常に大きな被害を受けておりまして、その他の所は御承知の通り油でありますので、海水の表面に浮び上りますときには非常に広範囲に分布いたしまして、至る所、網の張ってある所はほとんど全部がその被害を受けた、こういう状況でございます。
 ノリの品質そのものを検討いたしますのには、まず第一にノリの色であります。その次にはノリのかおりであります。そういうふうなノリのかおりそのものが油のあのにおいに満されましたときには、商品価値が非常に少くなる、こういうことが考えられます。そこで油がぴったりとくっつきましたノリそのものは、当然商品価値はもちろんありませんが、かりにとった場合にも、そのにおいがノリにくっつくということになりますと、ノリそのものの商品価値は下落いたしますので、両方面におきますところの損害ということを考えましたときには、先ほどもお話しいたしました一億一千二百万円にも達する、こういうことでございます。
 その次に、被害の原因につきましては、やはり漁業協同組合長から聴取いたしました結果によりますと、フリゲート艦が一月の二十六日から一月三十一日まで木更津の沖で停泊し、また航行し訓練をしておった、そういうことでございます。それから防衛庁の方の係官の御説明によりますと、やはり第一警戒隊、第二警戒隊、第三警戒隊の艦艇が、その沖合いでもって一月二十六日から一月の二十九日まで訓練をやっておった。また停泊をしておったということを申されております。
 その次に当時の風向、風力、海流、潮流等について判断をいたしますと、一月の下旬の風向は西寄りの風でございますが、大した風力は持っておりません。それから海流、潮流、その他の点を総合いたしましたときに、やはり木更津沖に停泊しておりましたところの防衛庁の艦艇から流されたものらしい、こういうふうに感じております。そこで、当然海には海流と潮流がございます。また東京湾のような入口が非常に狭い海でありますと、潮流の力というものは非常に大きな力を持っております。そこで一番大きな被害を起しました桜井、並びに君津はみお筋で、みお筋と申しますと水路であります、その水路のわきが、一番大きな被害を受けているという結果から見ましても、潮流の影響によって油そのものが出たり入ったり、その辺に漂ったということがはっきりしておるわけであります。
 それから本地区におきまして、過去において、やはり昭和二十九年の二月の初めに、海上警備隊の艦艇が木更津地区で訓練をいたしましたときにも、重油の被害を受けております。それからその当時、東京湾のその地区には、大きな艦船が入ってなかった。それからもう一つは東京湾全体にノリのしびが立ってノリの養殖をいたしておりますけれども、被害を受けました地区は、木更津から君津までのごく小部分でありまして、油が投げられたという場所は、非常に岸に接近しておる地区だろう、こういうふうに考えております。
 以上、簡単でありますが、当時の状況を御説明申し上げました。
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江田三郎#9
○委員長(江田三郎君) 参考人吉瀬義信君。
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吉瀬義信#10
○参考人(吉瀬義信君) それでは私から次の数点につきまして、補足して御説明申し上げ、御参考に供したいと思います。
 第一に、地元の漁業者、及び海上保安庁の調査結果等より見まして、一月の二十六日以降、一月三十一日まで、海上自衛隊の艦船が訓練しており、停泊していたという事実、及びこれらの艦船以外には商船等航行、停泊したものはないという事実でございます。
 第二に、東京湾内の海流、潮汐流、風向等より見まして、木更津沖海上数海里の地点において流出したものと考えるのであります。これは昨日の各関係官庁協議会におきましても、海上保安庁調査結果によりまして明らかな通り、東京湾海流を、ABCDEの五区域に分けまして、そのE地域、海流、風向、風速その他より見て、E地域におきまして投棄された可能性が非常に多いということでございまして、この地域に自衛隊の艦船が停泊し、行動しておったのでございます。なお、海上保安庁の調査によりますれば、それ以外の遠方より流れて来たものではないということ、それは海流等の関係、また油の流出を認めた船がなかったということ、あるいは木更津海岸等、極限された地域に限定されておるということから見ましても明らかでございます。
 第三に廃油の分析結果についてでございます。化学専門家の言によりますと、海上に漂流された油と機関より採取された油の分析結果が同一であるということは考えられないのでございまして、異なっているということが当然であるとのことでございます。ただいかなる点において類似のものであるか、同一性が認められるかということが重要な論点でございます。従いましてノリしびにつきました廃油と、自衛艦の機関より採油した油とが、分析結果が同一でないから、自衛艦船から流出したものでないという結論は出てこないのでございます。
 以上のような論点から、東大生産技術研究所その他の方々の分析しました結果について、意見を申してみますと、お手元にお配りいたしてあります千葉県が依頼いたしました東大生産技術研究所の分析結果でございます。これによりますと十三ぺージに報告がございますごとく、この右のSと申しますのは、ノリしびに付着いたしておりました廃油でございます。それからFIらFIVまでフリゲート艦から採取いたしましたものでございます。それからKは黒潮丸、Lが海上自衛隊の「やぐるま」から採取したものでございます。これらを比較いたしてみまして、最初の比重もほとんどノリしびについておったのと、フリゲート艦についておったのとは差異が認められません。粘度におきましてもノリしびについておりましたのが一九四、FIIが一三三、それからディーゼル・エンジンの方の油はLの六二と、非常に低いことになっております。その他重要な差異点は、残留炭素、これによって非常にこの油の特色が現われておりまして、ノリしびに付着いたしておりますものは六・〇八四%、フリゲート艦FIIより採取いたしましたのが四・八〇五%と非常に類似いたしております。なお蒸溜試験の結果も、蒸溜残渣、ノリしびに付着いたしておりましたものが五・〇グラム、FIIの蒸溜残渣が六・五グラムでございます。なお海上自衛隊に納入されております油の分析結果も十五ぺージに出ております。
 次に警察庁科学捜査研究所に防衛庁が依頼されました分析結果でございますが、これを見ましても一から十までの検査結果になっておりますが、一から九までは、色その他の試験でございまして、ほとんど差異は認められないのでございます。ただ十番の紫外部分光吸収極大波長、それと発光分光分析検出金属元素、こういうものに若干の差異を来たしておりますが、これは先ほど申しましたように、サンプリングの差異、及び資料の調製法の差異、これはどういうことかと申しますと、現在の化学実験におきましては、除去できない残滓と申しますか、要素があるのでございまして、従ってフリゲート艦から取ってきた油と、海流に長く漂流した油は、紫外線を当てて、そういう波長が違うということは、これは当然のことでございます。
 なお、珪素あるいは鉄、マグネシウム、カルシウム、こういうものが、海上に漂流しておったものに付着しておりますということも、これも当然の結論でございます。
 それから平均分子量と申しますのは、先ほどの生産技術研究所の結果の粘度ということに該当するものでございまして、これも粘度量、平均分子量が、海上に漂流すれば多くなるということも当然のことでございます。
 以上のような観点からいたしまして、分析結果が異なるからノリしびについていたものはフリゲート艦の廃油ではないということは、こっけいなことといえるのであります。従いまして千葉県といたしましては、ノリしびに損害を与えた被疑者は、防衛庁の船艦であるという推定をいたしておりまして、これが防衛庁の船でないという挙証責任は、防衛庁にあるものと考えております。私は分析結果、あるいは潮海流、その他客観情勢の調査、海上保安庁は非常に熱心に調査をいたしてくれるのでございまして、これらの客観的な調査結果から見まして、これ以上、廃油が防衛庁の船艦のものであるとか、ないとかのきめ手を出すことは、科学的に困難であろうと思います。けれども、二千数百名の零細漁民が一億数千万円の損害を受けた厳然たる事実があるのでございます。私はこれらの漁民を救う解決の道は、一に皆様の力によるほかはないと考えております。何とぞ、今次損害の補償につきまして、さらには、水質汚毒防止法等の制定による被害の防止、あるいは被害者に対する共済制度の確立等、今後、法的措置を講ずべき幾多の問題があると思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
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江田三郎#11
○委員長(江田三郎君) 次に防衛庁防衛局長林一夫君。
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林一夫#12
○政府委員(林一夫君) 防衛庁といたしまして今まで調査しました結果について御報告申し上げます。
 今度の被害事件が起りましたのは、一月三十一日、二月一日でございましたが、二月の三日の日に、千葉県の県庁の職員の方と、地元の漁業者の代表の方が来られまして、当時、木更津沖に在泊しておりました海上自衛隊の船舶から流した油のために、今度の被害が出たというように推測されまして、善処方を要望されたのであります。防衛庁といたしましては、直ちに調査官を派遣いたしまして、現地一帯の実情調査をいたしますとともに、これらの海上自衛隊の艦艇が果して油類を放出したかどうかということにつきまして、十分調査いたしましたところ、油類を放出した事実はないということを確認いたしたのであります。また、ノリしびに漂着いたしました油を見ましても、これらの船舶が使っておる重油並びに廃油とは一見して性状が異なっておるというようなことがわかったのでございますが、万全を期する意味において、直ちにこれらの漂着油と、それから海上自衛隊の艦船が使用いたしておりまするところの機関油並びにその廃油を、警察庁の科学捜査研究所に送りまして、分析を依頼したのであります。その分析の結果は最近わかったのでありまするが、お手元に配付してありまする資料でおわかりのように、この両者の油は異なっておるということに結論が出たのであります。また他方、海上保安庁におかれましても、丸善石油並びに神奈川県の警察本部に分析を依頼をされまして調査した結果によりますると、丸善石油の方の結果は、ノリ付着油分は他の油とその性状を異にしておる。もう一つは、ノリに付着した油は、ほかの油の中には見出し得ないという結論が出て、違っておることを確認されておるのであります。神奈川県警察本部の鑑識課の係の鑑定結果によりましても、同一質の油とは認められないという結論が出ておるのであります。分析の結果は、こういうように異なっておるという結論が出ておるのであります。
 さらに、当時の海潮流、あるいは風向というようなものについていろいろ調査しましたところ、当時、防衛庁の整備艦でありまする「うめ」が、木更津沖に在泊いたしておりましたのは、二十八日の十二時まででございまして、油がノリしびに漂着いたしましたのは、一番早いのは、先ほどもお話がありましたように、三十一日の十四時ごろ、江川の方面に漂着しておるのを最初発見したのでありまするが、当時の潮流とか風向というようなものから判断いたしますと、かりに、この警備艦「うめ」の錨地において廃油を流したといたしましても、それが流れ着くのは南方の大堀海岸方面であるということが、一応推定されるのであります。しかも時間的にいって、十四、五時間でその付近に到着する。どうもその錨地の北東方の江川に三日後に到着するというようなことは考えられないというような結論も出ておるのであります。またこの海潮流というような点につきましては、海上保安庁においてもほぼ同様の御見解を持っておるように聞いておるのでございます。また先ほどお話がありましたが、フリゲート艦が六隻その附近に停泊しておったということを言われておったのでありますが、当時停泊しておりましたのは、重油を使う船はフリゲート艦の「うめ」という警備艦でございますが、この一隻でありまして、その他の船はLSSL、上陸支援艇と言いまして、これは軽油を使う船であります。この重油を使っておりまする警備艦「うめ」は、先ほども申しましたように、二十八日の十二時に木更津沖を去っており、他の方は二十九日の七時三十一分まで在泊しておったのでありますが、これらのLSSLという艦艇は、重油を使っておりません。これは軽油を使用しておるのであります。こんなような事情から判断いたしまして、防衛庁といたしましては、どうもこの警備艦「うめ」の廃油によるものではないというふうに判断をいたしておるわけであります。以上で終ります。
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江田三郎#13
○委員長(江田三郎君) 次に海上保安庁の警備救難部長から説明をお願いいたします。
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砂本周一#14
○説明員(砂本周一君) 今、問題になっておりますノリの汚濁につきましては、海上保安庁といたしましては二月二日午前十時、横浜海上保安本部が、木更津港航路標識事務所長から事件発生の連絡を受けましたので、ただちに港内艇を派遣いたし、また関係者を派遣いたしまして事件発生の状況につきまして、現場の調査なり、あるいはいろいろ関係者の意見を聴取し、だんだん調査範囲を拡大いたしまして、私どもの関係いたしております一般船舶あるいは港湾に隣接しております工場諸施設、そういうことにまでも調査の手を広げましたし、また先ほど来御説明のございました海潮流関係も、かなり詳細に、広範囲にわたって調査したのであります。その結果によりましていろいろ検討を重ねました結果、先ほど千葉県の方からお話がありまして、海上保安庁の調査によるならば、やはりフリゲート艦が停泊した区域における地区に油が流出した場合に、一番ノリの被害の可能性があるという御説明がございましたが、これは私はここでは否定いたしません。しかしお手元に配付してあります詳細な資料をよく検討していただきますならばよくわかるのでございますが、何分にもあの広大な東京湾の全域でございますので、一応全般にわたって、海潮流その他のある程度の厳密さをもって調査したその資料によりまして、一応便宜上区画を区切って検討してみたのでございます。その区画が便宜上湾内を四区画と、湾口に近い方を一区画にいたしまして、あの広い海面を五つに分けて検討したのでございます。その結果といたしまして、先ほど千葉県の方の御説明にございましたような区域が、資料の中に、Eとございますが、やはりこのE地区に油の根源があった場合に、被害を受けました地区に最も流出あるいは漂流する可能性があると、こういった意味の結論と申しましょうか、調査の結果でございまして、非常にE地区というのは広範囲な場所を指定してございます。それでまさしくこのE地区に海上自衛隊の、船のおったことも事実でございますが、その停泊いたしておりました場所は、はっきりいたしますし、また停泊しておりました期間もはっきりしておるのであります。そういったはっきりした条件と、その前後における海潮流の関係を当ってみまするならば、今までの調査によりますと、たとえ自衛艦がそこで油を流したといたしましても、現実に汚濁を受けました海面には行かないのではないか、こういった今までの調査の結果が出ておるのでございます。この詳細につきましては資料にこまかく書いてございますので、ここで詳細には重ねて御説明を申し上げる必要はないと思いますので省略いたします。
 それから一番重要な資料となりますのは、自衛艦が持っております油関係、それとノリに付着いたしております油の分析の結果でございますが、これも私の方といたしましては、直接当然の関係として、神奈川県の警察の鑑識の機関にお願いして、厳密なる鑑識をお願いしたのでございますし、また油関係業者として相当信頼の置ける施設を持っておる丸善石油に、この鑑定を御依頼したのでございます。それと、そのほかの機関において御依頼になりました四つの鑑定結果から、いろいろまあ検討したのでございますが、これによりましても自衛艦の油であるということの断定はできないのでございます。従ってこの汚濁の根源を突くことにつきまして、現在までの調査によりますと、判然いたしません。いろいろ調査は続けておりますし、今後も続ける考えでございますが、今のところは、今申しましたような状態で、はっきりつかめないのでございます。以上で終ります。
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江田三郎#15
○委員長(江田三郎君) じゃ水産庁長官の……。
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前谷重夫#16
○政府委員(前谷重夫君) ただいま各方面からお話があった通りでございまして、われわれといたしましては、この原因究明につきましては、海上保安庁と連絡いたしまして、原因究明に努めるように努力いたしているわけでございます。なお、それ以外の点につきましては、転換その他の問題について千葉県と連絡いたしておるような次第でございます。
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江田三郎#17
○委員長(江田三郎君) 以上関係当局の説明がございましたが、御質問ございますか。
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片岡文重#18
○委員外議員(片岡文重君) 今それぞれの担当の部門から、それぞれの立場に立たれた御説明を伺ったのですけれども、伝えられるところによりますと、昨日か、一昨日、これらの関係の諸君は相会して、本日の答弁内容を御相談されたということですが、まあ答弁の内容ということではなく、その今までの研究の結果を持ち寄って、善後措置を講じたということであろうと私は考えるのですが、その会談の結論はどういうことになったのですか。今皆さんが御説明になられたことをそれぞれ主張されておられたのですか。その会談の結論も一つお聞かせいただきたいと思います。
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砂本周一#19
○説明員(砂本周一君) 海上保安庁が当初からこの問題につきましての関係官庁の会合、その他をあっせんいたしました関係上、一応私の見る見解を申し上げたいと思います。ちょっと日にちを忘れましたが、この事件が起きましてかなりたちました後に、いろいろ私たちの方の調査も一応完了いたしましたので、それをまとめましたのと、関係官庁のいろいろな御意見あるいは調査資料もいただきたいという気持からいたしまして、私の方でごあっせん申し上げて、会議をしております。中間報告的な会議をしたのであります。そういった中間報告的な会議をしておりました関係上、私の方といたしましてはその後のいろいろな調査資料を持ち寄って、もう一度、まあ結論が出るか出ないかわからなかったのでございますが、もう一度会議をする予定は立てておったわけでございます。それがたまたま昨日に決定したわけでございまして、仰せのごとく答弁に対する措置という考えではなかったわけでございます。前からの予定でございますし、会議の内容もそういうように進めて、できるならば結論を得たかったのでございますが、先ほど私御答弁申し上げましたことが、昨日の会合の結果的のものを含んでおります。それで一応会議として皆さんの御了解を得た一応の申し合せといたしましては、四カ所から出て参りました鑑定資料は、これは現実に非常に技術者、科学者の厳密な結果だとは思うのでございますが、やはり表現その他の言葉に若干の相違もございますし、あるいは相当技術的な説明も加える余地があるのではないか、こういう御発言もありまするし、また私どももそう考えましたから、もしできるならば海上保安庁としてお約束はできないが、相当みな権威の方でありますから、これ以上説明の要がないという御回答があるかも知れないが、一応これの担当者に技術者として、科学者としての御会合を願って、四者から出ました厳密な権威ある鑑定書について、さらに討議なり、あるいはもっとわかりやすく結論的のものが出れば結構だ、その会合を、一つ私の方で関係方面に当ってまた適当なときに会合を催したい、それが一つでございます。
 それから海上保安庁といたしましては、先ほど申しましたようになお結論が得られませんので、自信はございませんが、さらに調査を進めるということも申し上げております。以上であります。
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片岡文重#20
○委員外議員(片岡文重君) 海上保安庁というところは、やはり沿岸の漁民にこういう種類の被害が起った場合には、その加害者といいますか、あえて害を起すに至った原因を究明するような仕事を担当しておられるのですか。
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砂本周一#21
○説明員(砂本周一君) 特に水産資源その他に被害を及ぼしましたそのことに直接関係ございませんが、まあ一般海の関係におけるいろいろなことをやっておりますのと、それから直接関係は港則法というのがございまして、これは主として港中心の問題でございますが、港則法に一つの海上の汚濁に関する規定があるわけでございます。それは港には法律で定められました港の区域というものがございますが、油その他海面を汚濁するものを捨てることについて制限があるわけでございます。それは港の境界から一万メートル以内においてはみだりに油を捨ててはいけない、こういうものもございますので、その結果がまあノリに行きましたけれども、やはり汚濁物資を取り扱ったことの根源をいろいろ調査する必要はあるわけでございます。それがまあ直接の根拠と申しますか、こういうことでございます。
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片岡文重#22
○委員外議員(片岡文重君) そうしますと、この海上保安庁は一体発足したのは昭和何年ころですか。
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砂本周一#23
○説明員(砂本周一君) 昭和二十三年五月でございます。
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片岡文重#24
○委員外議員(片岡文重君) そうしますと、今御説明下さったような問題について海上保安庁がその職権として働いておられるということになりますと、このノリの問題についても当然やはり発動されるということもわかりました。そしてまた海上保安庁は二十三年から発足しておられる。ところが、このノリの被害は、昨年もやはり同じように起っているはずであります。その被害の救済といいますか、ということはついに今日まで見られません。あそこの数千の漁民はついに泣き寝入りさせられました。千葉県の水産部長が今説明の中に言われたように、零細な漁民が泣寝入りをせられた。海上保安庁としては慎重にその根源を研究されたであろうと思うが、すでにここ一カ年余を経ているのですが、昨年の一体根源といいますか加害者といいますか、これはわかったのですか。
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砂本周一#25
○説明員(砂本周一君) 昨年の加害者とおっしゃいますのは、私どもこの事件に関係いたしまして知ったわけでございますが、その当時の事情が、私どもの方が直接今回のように調査を始めるかどうか、ちょっと調べておりません。それと、今申しましたように、海上保安庁の直接関係としておりますものは、港則法の関係で、船舶運航の安全とか、あるいは油のために火災が起きるとかあるいは一般の衛生上の問題も多少ありましょうし、それと漁業資源の保護に対して、私ども、直接法規が出ました場合に、その法規の励行については、当然どの法規が出ましても、海上における法律の励行について責任を待っておりますからやるわけでございますが、その善後措置につきましては直接関係はございません。それで、海上汚濁に対してどれだけ厳密にやっておったかという問題でございますが、今申しましたように、直接船舶関係につきましてやればまだまだあったと思うのでありますが、こういう被害が起るような、油の流出するものを、事前にとめることができなかったのは残念でございますけれども、これはなかなかむずかしい問題だと思っています。
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片岡文重#26
○委員外議員(片岡文重君) あなたの答弁よく私にはわからないのだが、先ほどの御説明では、近海に、沿岸に近く、汚物を捨てたりなんかするようなことは、あなたの方でやっぱり取り締らなければならんでしょう。
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砂本周一#27
○説明員(砂本周一君) その通りでございます。
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片岡文重#28
○委員外議員(片岡文重君) そうしますと、昨年の二月にやはり同じように汚物が捨てられて、ノリの被害が現実に起っているわけであります。従ってその被害を与えた原因について、少くともだれが流出したか、何が流出したかは別として、その汚物によって被害があったのですから、その汚物がそこに捨てられたということは否定することはできないのですね。その汚物を捨てたものをあなたの方では調査しなければならないと思うのですが、それは調査されなかったのですか。
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砂本周一#29
○説明員(砂本周一君) 昨年のノリの被害につきましてどの程度調査いたしましたか、私はっきり存じておりませんからなお調査いたします。
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