中山福藏の発言 (予算委員会)

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○中山福藏君 本質的に無効であるとすれば、憲法改正の余地は私どもはないと、こう理論的に考えるのですが、しかしこういう問題をこれ以上議論しても、これは見解の相違だということに落ちつくと思うのであります。従って実質的に、あるいは本質的にというような問題が起って、総理の口からそういう重大な問題を御発言になれば、これは大へんな、そのお言葉の解しようによっては問題が起きてくると思うのであります。こういう重要な質疑に対しては、政府において慎重に以後御検討を願いたい。
 次にお伺いしておきたいのは、鳩山第二次内閣が組織さるるに当りまして、野村吉三郎氏が防衛庁長官になるかならないかということで世間を相当騒がせた。これは鳩山総理の意見では、憲法上の文民に野村氏が該当するという御解釈のもとに同氏を防衛庁長官として入閣せしむるというふうに私は新聞紙上で拝見したのであります。この際私は、この文民の憲法上の意義に将来のために内閣が一つの線を引いておかれるということは非常に必要なことではないかと思料するのです。なぜかと申しますると、今日日本中には相当元軍人がおる。それが一切がっさい文民でないというレッテルを張られて、そうしてある職業と申しますか、資格を獲得することができない。たとえば憲法第六十六条の第二項によって大臣にはなれないのだ、こういうことになりますれば、この一つのグループというものは容易ならぬ動きを始めるのではないかと私は考える。
 今日世界の国民運動の形勢を見ますと、民族主義とか、いろいろな問題が起っておりますけれども、多くは左翼と右翼が合流して革命が起っておる。革命という一つのポイントは一緒なのです。ところが左翼も右翼も一緒になるというとそれを達成するに非常に便利だ。だから左翼と右翼とがイランの例におきましても、エジプトの例におきましても合流しておる。私どもがおそれるのは、一切がっさい自暴自棄的な立場に追い込まれるというおそれがこの解釈いかんでは出てくる。それで私はお尋ねしておるわけですが、大体職業の選択に関する問題は、憲法第二十二条で保障している。憲法第十四条では、国民は法の前には平等に取扱っているのですね。ところがこの憲法第六十六条第二項は、憲法第十四条第二十二条の一般的な原則に対する一つの例外規定となっている。それで元軍人であった者はこれは文民ではないという解釈をとる学者もあり、あるいはその一部は文民であるという解釈をする学者もおるわけであります。四つばかりいろいろな説を立てている人がありますが、鳩山総理は、野村氏が文民であるという見解のように見えますが、文民の範囲に関し、憲法上のいかなる根拠によって右のごとき解釈が出てくるのか、その範囲、あるいは元軍人とか、元軍人であるとすれば、そのうちのどれだけの範囲がこの文民のうちに入るのか、または全然入らないのかの解釈を一つはっきりしておいてもらいたいと思うのです。そうでなければ、将来組閣の際こういう問題がしばしば現われてくると、思惟するのであります。それを承わっておきたいのであります。

発言情報

speech_id: 102215261X00419550330_021

発言者: 中山福藏

speaker_id: 34542

日付: 1955-03-30

院: 参議院

会議名: 予算委員会