永田昌綽の発言 (国土総合開発特別委員会)
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○永田参考人 それでは意見を申し上げます。大体は今黒沢さんからお話のありましたようなことで、ほとんど尽きているかと思います。御承知でもありましょうが、審議会の建議案ができます場合に、私は直接それに関係しておりました一人でありますので、黒沢さんの申されましたことをもう少し補充をして申し上げます。
結論がら先に申し上げますが、今日ここに出ておりますところの公庫法案というものは、われわれが検討し、考えました方法に幾段階かあるのでありますけれども、その幾段階かあるものの中では、これが最小限度のものであると私どもは感じております。そこでその法案を拝見いたしまして私が感じますところは、北海道にいわゆる鉱工業を興すというために、たくさんの不利益な条件がある。その不利益な条件は、他の方法によっていろいろ克服されるでありましょうが、しかし、いわゆる広い意味のお金というものが足りないということも、大きな原因の一つである。その金をさらに、通常の言葉で言うところの金融という金と、それから事業を興すところの産業資金、この二つに分けて考えてみますと、通常、金融といわれておるものにおきましては、北海道はもちろん十分ではありませんが、しかしながら全国に比べてみまして、特に北海道が非常に不定をしておるということではあるいはないであろう、かように思います。しかしながら、事業を興す方の資金ということになりますと、北海道は特に不足しておるんじゃないだろうか。北海道にそれがありさえすれば、必ず事業が興るというわけではありますまいが、そういうものが北海道にもう少し十分にあったならば、北海道の産業を振興するに大へん強力であろう、そこに主として着眼をいたしました。そこで御承知の通り、普通の意味合いにおける金融の資金と申しますれば、商業べースであるとか、いろいろな諸条件があって、なかなかこれにむずかしい条件がつくわけであります。だから北海道が最も切望しておるものは、普通の金融の資金よりも、もう少し積極性を持った、どちらかと申しますと、言葉はよくないかもしれませんが、もう少し大胆な目的を持った資金の方がいいのではないか。しかしながら、よく言われますように、北海道を開発するのに、われわれの考えでは、何もかもみな国家のお世話になって、国費でもってやろう——それは未開地開発は国費でやるのが原則でありましょうが、産業のことにつきましては、国費ばかりに依存するということであってはよろしくない。そこで何ほどかの国費というものは、基礎施設は別でございますが、この意味合いにおける産業開発に
つぎ込んではいただくのだが、民間の資金もそこに何とか引っぱり込むということを考えようじゃないか。そういうことを考えていきますと、まず国家でもって相当額の資金をお出し願って、それをもとにして民間の資金を呼び込んでこよう、こういう考え方をした方がいいじゃないか。そういう意味合いにおきまして、たとえて申しますれば、ここに二十億の資金を投じて企業するならば、その何年かの採算性というものはそれほどよくはないが、終局は成り立って、そうして、これが北海道の産業としておい立っていく。こういう見通しのある場合に、ただ民間の人にまかしておきますと、御承知のような不利益な条件がいろいろありまして、なかなか大胆にこれに漕手することができませんが、かりにその二十億の、出発するための資金が要るところを、十億を国家で一応持つ、こういうことであるならば、民間の産業人から申しますと、十億の金があって、二十億の仕事ができるということならば、多少他に不利益な条件があっても、そこに一つの興味を呼び起すのではなかろうか。かような考え方からいたしまして、それが全部ではありませんが、大筋を申しますと、かような考え方からいたしまして、この審議会で討論をいたしました北海道の産業振興開発公社案なるものは、全部政府出資によってそのものを作っていただきますけれども、そこではその公社自身がみずから進んで北海道の諸条件を調査し、企業等の調査をいたしまして、そうしてこれが北海道の産業として成り立つという見込みであるならば、その公社みずからがいろいろ検討したものによりまして民間に呼びかけて、そうして民間の産業人をしてそこへ一つの資金を入れさせる、そうして公社も出資をする、かようにいわゆる出資ということを主として考えてきたわけでございます。そうして出資ということをいたしまして、その事業が成り立ちましても、新規の事業である場合は、普通の意味合いにおける金融機関は、直ちに飛びついてはくれないものが多うございますから、そういう場合にはその金融もしてやる。それから、そこまで公社が力を入れて出資まではしなくても、民間の人々が寄って、出発をするところの資金だけはできる。資金だけはできても、金融機関は、商業ベースとか、いろいろありますから、新規のものにはすぐには飛びつけぬというものがある。そういうものについては、あるいは融資の面を考えてやるならばできるのではないか、かような考え方でできたのが、北海道産業振興公社案の中心の考え方でございます。
ところが、今日ここで拝見いたしております公庫法案なるものを見ますと、それに比べますれば、いろいろな点において多分に金融機関的な感じをよけい受ける。むしろ初めの考え方は、そういう公社的のものであって、金融ということは付随的なものである。だから、積極的に、能動的にこれが動くのだ、こういう考え方でありましたが、この法案から受けます感じは、大へん金融機関的な性格になっておりまして、金融機関的であるという点において、多少感じの違う点があります。そういうことでありますから、こまかいことを言うのは、まだそういう段階でないと思いますが、たとえて言いますれば、先ほど来申しましたような、いわゆる公社法案で考えますならば、この本社なんというものは東京になければいかぬ。なぜかというと、産業人を相手にして北海道に設備資金を呼び込む仕事をやるというには、相手は東京しかいない。北海道には、ないことはありませんが、きわめてわずかなものである。東京に本社があるということが、その仕事を大いに活動さすべきもとになる。けれども、この法案によりますと、本社は札幌ということである。金融機関であれば、札幌の方がむしろ適切だ。それからさらに進んででは、われわれが建議いたしましたのは、債券の発行という制度を設けております。これは制度として債券の発行のことは考えたのでありますが、今これが始まったからといって、すぐに債券を出さなければならぬというようなことではない。おいおいにこの公社の活動が信用を得、また日本の債券等に対する市場その他の状況が変った場合には、三、四年後に債券を発行する、こういう公社と考えれば、当然それがそういう工合にいかなければならぬわけですが、この説明書その他を拝見してみますと、すでに債券を発行する計画になっている。そういう点から見れば、相当に金融機関的な傾向になっております。これがよい悪いを言うわけではありません。ただ私どもの感じは、先ほど黒沢さんも仰せられましたように、こいねがわくば、もっと政府の財政出資が多くて、そうして先ほど来私が申しましたような意味合いの活動のできる機関であるならば、これは願ってもないことだと私どもは考えておりましたが、しかし財政の都合でございますか何でございますか、政府出資が十億にとどまっている。これでは、とても私どもの言うようなことはできないことになる。これは今日の実情からやむにやまれず、おそらく最小限度の案をお作りになったものであろう。しかしこの法案をよく拝見いたしますと、そういう法案にはなっておりますが、しかしながら政府の出資もおそらくこれきりではないだろうと思いますから、今後政府の出資がふえ、かつ公社の当局者が、先ほど来申し上げましたような北海道の実情をよく御認識になって、そうして運用していただけるならば、先ほど来申し上げたような、北海道としてはまことに願わしい運用ができるようになるんじゃないか。その出発点といたしましては、この法案というものは、北海道の求めているところの実に最小限度であるというふうに私は感じます。言いかえますれば、先ほど黒沢さんもおっしゃいましたように、皆さん方にはこれに満足せずして、もっと政府出資を多くしていただいて、この公庫の運用というものが、ただ金融機関的でなしに——金融機関ではありますけれども、これは金融機関としては例の診しいところの、いわゆる出資をするということが公然と認められておりますから、そういう機能を大いに働かせていただけるような状況にしていただけるならば、北海道の産業開発というものに相当の効果があるのではないか、かように考えております。