稲葉秀三の発言 (国土総合開発特別委員会)
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○稲葉参考人 簡単に私の意見を申し上げます。私は、先ほど北海道に対する基本的な国の施策がきまってないじゃないか、こういうことを申し上げたのでありますが大まかに申しますと、次のような考え方を、基本的にはっきりする必要があると思います。
その一つは、北海道は後進未開発地域だといわれておりますけれども、先ほど申しましたように、道民一人当りの所得は決して内地の平均所得と変っていない、内地よりもプラスになっているという事実があります。だから、現に東北あたりと比べますと、大体道民一人当りの実質所得は、三割あるいは二割見当高いという事実は否定することができません。そうすると、つまり並行作業をやるために、北海道の道民生活が非常に劣っているから、一つ北海道をやれということなら、これは別の考え方が必要です。しかし将来は北海道の経済を非常に大きくして、人口も吸収して、そして東北や新潟その他の次、三男坊問題の解決も一つやっていこう、そういうことであれば、考え方はまた違います。そういうような考え方が、実は混同されているというのが現実だと私は思います。だから、もしも将来のためにやるとするなれば、はっきり言えば、もっと大きな投資をやって、そのかわりにそれを楽しむために、内地のほかの府県は公共事業費も減らす、あるいはほかの府県に対するところの融資も減らして、北海道へ持っていこうということになる。それから、黒沢さんは言われておりますけれども、私が五カ年計画の実績やその他を各部で調べた限りにおいては、非常に多元的で、複雑で、投資の金額に対して、十分国民に報いるだけの投資効果を、現実の北海道では上げていないと思います。それを港湾について、道路について、漁港について、もっと今の金をきちんと使うというやり方をすれば、もっと効果があります。それを国民にはっきり示すべきであると思います。もしもそれだけの条件を保証されるなれば、また国会がそれを認められるなれば、そういうこともいいでしょう。しかし今の行き方は一つ北海道もやりたい、それに便乗して東北もやりたい、何もやりたいというのです。そうすると、結局は国民の税金負担を多くするとか、また金融のしりぬぐいをするとかいうことになってしまって、うまくつじつまが合わないような形になってくる。だから、基本的にそのどちらの方向で北海道をやるのかということを、この際おきめ願いたいというのが第一点。
第二点として申し上げたい点は、それでは、どういうふうにすれば北海道に人口を吸収できるかということであります。現実に北海道の人口は、大体二十年前に比べて五割増加をしておるわけですから、北海道は、全国平均三割よりも、人口増加があるという事実は否定できません。しかし現実に北海道では、今自然増加と社会増加とを合せて十万人であります。三、四年前は、北海道は宝庫だといわれながら、北海道の人口は社会的にはよそへ移動しておったということが現実であります。そして工業をやれば、どんどん人口が吸収できると申しますけれども、現実に北海道では、私もこの間行って参りましたけれども、だんだんと生活の格差が多くなっておる。失業その他がだんだん増大している。四百八十万人の人口をもってすら、現実にそういう事態が北海道においてあるという事実も、私は否定はできません。
またもう一つ申し上げたい点は、北海道に工場を起す場合には、立地条件等いろいろの形から見て、内地よりも相当高度の産業を育成しなければならぬということです。中小企業であれ、もっと機械化された、能率化されたものでなければならないと思います。それをあまりお考えにならずに、やれ水産物がいい、油がいいとなると、二百も三百もどんどん工場ができる。それを道庁も開発庁も、また産業の企業者の方々も指導されていないで、現実に北海道で資本が浪費されたという事実を、私どもは否定するということはできないのであります。そうしてまた、そういったような事実が今後にだって、ないとは限りません。現地の方々には、黒沢さんの今のお話のように、わしらは内地から搾取されているのだ、というような植民的なお考えが多いと思いますが、しかし私たちは、北海道も立ち、内地も立つという形において、この問題を解明したいのです。それには、黒沢さんのようなお考えを持っておれば、どうも北海道だけの北海道であるということになり、北海道も立たないし、内地も立たないということになりはしないかという事実を私はおそれます。そうすると、こういったようなお金はできるだけ能率的な企業に使って、そうして北海道の中でお金が滞留して、デフレで中小企業がどんどんつぶれたという事実には、現地も一つ反省してもらう、そうして系列の多い中小企業であっても、もっときちんとした工場を育成する、こういう方向へ流していく。そうしてあとは、民間の資金において裏打ちをしていく、こういうことでなければならぬと思います。私は、こういったような公庫や公団に類するようなところから出る金は、結局国民の金だと思います。だとするなれば、そういったような使い方を北海道の方々にも十分考えてもらって、そうして、将来内地の人を引き取るなり、あるいは高い所得を持って、一つ税金で内地の社会保障のお金を出すとか、こういったような気持でやってもらいたい。昔がよかったのに今はだめだから、一つ昔並みにせいということは、日本のこれからの再建の上で必ずしもいい考えだとは私は思いません。