大西太郎兵衞の発言 (商工委員会)

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○大西参考人 私は日本織物染色同業会会長大西でございます。
 まず染色加工業について本法を適用しなければならない理由を申し述べたいと存じますが、それには二つの理由がございます。一つは紡績部門並びに織布部門とのバランスの点でありまして、いま一つは染色加工業の合理化という観点から申し上げたいと存じます。本法は繊維産業総合対策審議会において策定されました、繊維五カ年計画を推進するための裏づけとして立法されたものと考えられまするが、戦後繊維の増産計画は何回か立てられ実施されて参りましたが、とかく原料繊維の増産のみに力が注がれ、染色加工部門その他関連部門に対するところのバランスについては、十分な配慮が行われなかったのであります。それがために原料繊維の増産は染色加工設備の単純なる増設を招くのみで、品質向上のための設備の改良またはそれらの導入等がこれに伴わなかったばかりでなく、原料繊維の供給量とのアンバランスをもたらして、現に相当の過剰設備をもしておるのであります。また染色加工の場合には、需要者の趣味嗜好との関係が特に密接にその加工内容に変化をもたらすものでありまするがゆえに、これが影響として設備的にかなり広範に陳腐化しておるということも事実でございます。
 繊維五カ年計画によりますと、昭和三十五年度までに綿その他の在来の天然繊維につきましては、大体横ばい、ないしは減産されることになっておりますので、今後単純な設備の増設は、いたずらに過剰設備に伴うところの受注競争を激化させるばかりで、百害あって一利なしと言わざるを得ないのでございます。かような状態では合理化も不可能でありますから、本法の適用を受けて、単純な設備の新増設はこれを制限すべきであると考えるのでございます。
 次に合理化につきましては、染色加工業の合理化は、特徴的に申しますると、品質の向上とコストの引き上げが並行的に行われなければならないのでございます。すなわちここ数年来、英米両国を初め欧洲の繊維工業国の染色加工技術は、長足の進歩を遂げておりまして、特に需要者の満足するようなもの、すなわち洗たくしても、日光にさらしましても、色が落ちたり変色したりしない堅牢度の高いものや、また洗たくをいたしましても縮まないもの、あるいはしわのよらないというようなものなどが、それらの国内市場はもちろん、海外市場においても大量に供給されておりまするが、このことは染料薬品の品質の向上と相まちまして、特に染色機械の飛躍的な進歩によるところが多いわけであります。後進国の実情を見ましても、逐次自給自足の方向にありまして、染色加工設備も近代化されたものが設置され、その加工度も向上しつつあるのでありまして、わが国の染色加工業が在来の染色方法を行なっていたのでは、遠からず海外の主要市場を喪失することは、火を見るよりも明らかな事実でございます。すでに三部海外市場からわが国の繊維品につきまして非難を寄せておることは、御承知の通りでありまするが、今日ではただ安いだけでは売れないのでありまして、むしろ多少高くとも品質のいいものが歓迎されるのであります。しかしながら在来の設備によってこれらの問題を解決することは、きわめて困難な事情があります。また合成繊維並びに酢酸繊維の大幅な増産が見込まれておりまするが、元来これらの繊維の染色加工は、在来の繊維よりはるかにむずかしいばかりでなく、在来の設備ではその品質を保ち、需要者の満足を得ることは困難でありまして、合成繊維並びに酢酸繊維の増産とにらみ合せて、その加工に適した設備が設置される必要があるのであります。すでに過剰であるような設備の増産は、過当競争を激化させる要因となるばかりでなく、国家的にも大きな損失と言えるのでありまして、加工度を向上して、より多くかせぐという世界的な動向にマッチして進むことが、合理化への策であり、わが国繊維品の輸出振興の道であると考えるのであります。かような意味におきましても、染色加工業は本法の適用を受くべきものと考えるのであります。
 第二に、織物幅出機を規制する理由とその規制方法でありますが、染色加工設備は、加工する織物の種類とか、その織物を白く仕上げるか、無地染にするか、柄をつけるかなどによっても使用する設備は一定でありませんし、また使用する染料薬品の種類によっても異なることがあります。まことに複雑なものでありまして、そこに漂白、染色、捺染などの基本的な加工工程に使用する設備も同時に規制する必要があると存じておりますが、すべての設備を一度に規制することはかえって弊害を招くおそれがありますので、加工工程上大部分の織物が通る最終工程の織物幅出機のみを規制の対象にしたことは、適当な措置と考えられるのであります。また規制の方法につきましては、合後新増設を原則的に禁止して、合成繊維及び酢酸繊維の加工の用に供されるものだけについて新増設を認めるようにし、既存設備につきましても、先ほど申し述べました品質の向上に役立つような改造あるいは入れかえに力を注ぎ、過剰設備は在来の繊維の加工から合成繊維並びに酢酸繊維の加工に転換するよう指導して、業界全体の合理化がはかられるように期待しておるのであります。私ども染色業界は中小企業が主体でありまして、常に過剰設備と不当なる競争によってあえて不安定な経営を続けて、塗炭の苦しみをしておる次第でございます。本法の成立によりまして、染色業界が安定なる経営を続けて、発展をこいねがうものであります。切に本法の成立を熱望いたす次第でございます。
 以上簡単でありますが申し述べまして、また御質問によってはお答えいたすことにいたします。

発言情報

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発言者: 大西太郎兵衞

speaker_id: 28563

日付: 1956-05-08

院: 衆議院

会議名: 商工委員会