竹中七郎の発言 (商工委員会)
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○竹中参考人 私は人口五万の愛知県刈谷市の市長をやっております。この市は三十年前におきましては一万くらいでございましたが、先ほどの石田参考人は自動織機の社長でございますが、その自動織機がくる、あるいは民成紡績という会社がきまして、三万都市になり、合併して五万都市になったのでございます。この会社の盛衰というものに私の市の盛衰がかかっておる、こういうことであります。それでこのたびの繊維工業設備臨時措置法案が出ますと、一番問題になりますのは、機械メーカーである豊田織機の衰退を来たす、こういうことであります。それにつられまする下請工場——この下請工場のパーセンテージを申し上げますと、大体先ほども参考人から申されました通り、機械メーカーの約半数が愛知県にあり、その一五%以上が刈谷市と刈谷周辺にあるのでございます。それで人員におきまして、これに携わる者が約四千五百でございまして、家族をまぜますと一万五千ないし二万になりまして、刈谷市の人工対比を申し上げますと、三分の一くらいに相なるのでございます。この問題が起りまして衰退いたしますと、刈谷市というものはなって参りません。いわゆる失業が起る。まず第一に下請工場の失業が起り、そしてそれにつられまして本工場の首切りが始まる。われわれの商店におきまする盛衰も、この豊田に依存すること非常に大でありますから、商売と申しますか商業方面が衰退する、かようなことに相なるのでございます。日本全体をお考えになりまして、あるいはこの繊維工業を考えられまして、こういう法案を御提案になりましたが、一つの業者の方を重点に置きますと、他の方において必ず犠牲が起る。特に法律をお出しになりますとそれには罰則がつきまして、そしてはっきりして参ります。この繊維界の方々は最も優秀なる商売人でありますから、これまでしなくてもいいじゃないかとわれわれ小さい町の市長といたしましても考えるのでございます。私も三年前には参議院におりまして、ちょうど中小企業安定法案の審議にあずかったものでございます。その時分にはあれは福井の絹、人絹の問題がございまして私もこれは必要である、かように考えたのでございますが、現在その反撃が三年間われわれの市におきまして出て参ったのでございます。この二十七年ころにおきましては、豊田系統から市民税といたしまして五千万円以上入っておったのが、昨年におきましては一千万円、約五分の一に下ってくる、こういう状態でございましたが、ようやく安定いたしまして、この三十一年度は三千万円くらいになるのじゃないか、かように考えておったのでございます。その際におきまして追い打ちの整備ということになりますと、われわれの町としてはどうしても耐え忍ぶことができない、こういうことで私の市会におきましても、もはや通産省並びに国会の方に二回陳情に参っておりまして、その間また一回私の土地の当局の者が参りまして陳情をいたしておるのでございます。
さような状態で私は専門家ではないのでございまして、ただいま専門家の方々、石田さんその他が申されまして十分御承知のことと思いますが、私この法案を拝見いたしまして、繊維産業総合対策審議会が答申しておられるうちで、最後に、懸念されておる点が四つばかりあるのでございます。すなわち消費者に対する影響、労務者に対する影響、零細企業に対する考慮、あるいは繊維機械工業等に対する影響というこの四つでございますが、これがはっきりしておらない。これをはっきりしていただかなければ、われわれの町としては混乱を来たすものであると私は考えるのでございます。
そういう意味におきまして、私は簡単に自分の陳述をいたしたいと思うのでございますが、現在この法案は貿易の正常化をはかる、こういうことでございます。設備が多いから安売りをする、こういう考えと、バイヤーが多過ぎる、バイヤーにおいて左右せられる点がたくさんあるのでございまして、この問題を解決しなくて、設備だけをやってどういうふうになるか。これは繊維産業だけではなくほかの産業でもそうでありまして、日本の産業全体に零細と申しますか、あまりたくさんな売手がおって、それが競争いたしまして安売りになりまして日本の信用を落す。これをまず第一におやめになることが必要である、かように考えるのでございます。そういう意味におきまして、もしもこれが通るならば私はこういうことを提案いたしたい。それは転換させることでございます。機械メーカーの転換をするには一年くらいはかかるのでございます。一番零細であります下請を助けるには一年間この法案を延ばすということが必要である。そういうことをするというと、何と申しますか、その間を縫って注文をしていろいろなことをやりますが、そういうことをすればあるときには参るのでございますから、そういうとろいことはやらない、一年間もやれるものではありません。現在は受注その他が多くありますけれども、これは一時の現象でありまして、一年間という一つの期間をとっていただきたい。
もう一つは、一年間に十大紡の方々が一番利益を得られるのでございますので、その方々が新鋭機械にかえるということを機械メーカーとはっきりしていただく。これに対して通産省がしっかりと約束をとるとか、附帯決議にしていただく、こういうことになるならば下請の方々の窮状が救われるのではないか、そういうことを考える次第でございます。私の町の豊田織機は何と申しましても日本第一の織機メーカーであり、その次には豊和というような関係でございまして、小さなわれわれの町といたしましては、最も中心であります豊田自動織機の衰退ということは非常に問題でございます。一年間ありますれば、社長の石田さんが頭を練られまして、必ず更生をしていただける、かように私は考えるのでございます。でありますから、こういう法律を作るときには一つの犠牲者をまず考えて、そしてこれを成立さしていただきたい。こういうことを賢明なる議員各位にお願いいたしまして、この法案をもちまして犠牲の大ならぬようにしていただきたい、かように考えるのであります。私の陳述は以上で終ります。