大石武一の発言 (内閣委員会)

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○大石(武)政府委員 お答えいたします。私の申し上げましたことが少し説明が足りなかったという点で、御理解が願えなかったと思うのでありますが、もう一度申し上げたいと思います。御承知のように、ホリドール等のパラチオン製剤は現在日本の農業生産に非常な効果を上げております。今後このような製剤がますます使われるであろうことをわれわれは希望しているわけであります。従いましてこの薬剤の人畜に対する被害はわかっておりますので、その予防に対しては方法がございますけれども、これがもし他の魚類や貝類やその他のいろいろな生物に対してもあらゆる影響を与えるということになりますればゆゆしき問題でございます。そういうことになれば、ホリドールを使っていいか悪いか、そういう大きな問題が起って参ると思います。ここにわれわれは、このホリドールが果して魚類や貝類に対してどのような影響を与えるかということを真剣に研究して、ほんとうに確信のある結論を得なければいかぬと考えているゆえんであります。ホリドールは元来土壌に入りますとその効果が失われると伝えられております。従いまして、畑に撒布しましたホリドールが、害虫の駆除が終りましてから土壌に吸収されまして、効果の失われた廃液が海に流れておるものと以前は考えておったわけでございます。しかし現実に、とにかく昭和二十七、八年ごろから有明海においてエビ類あるいはアミ類が非常に減少したということにつきましては、漁民の方々が何かホリドールと関係があるのではなかろうかという御心配を起しておりますので、それが果してホリドールの影響であるかどうかということを厳密に研究しなければならぬ段階に参ったわけでございます。もちろんわれわれは、果してホリドール液かどうかわからないにしても、漁民がそう思っている以上は、その蒙を解かなければなりません。解かなければ、これは日本の農業生産に非常に悪影響があるわけでございます。そこでわれわれはその蒙を解くためにもホリドールが果して海の魚介類に影響を与えるかどうかということを確信を持つために、ほんとうに真剣な、偽わりのない結果を出すような研究をしなければならぬと思うわけでございます。われわれは現在まで、有明海のアミ類あるいはエビ類がホリドールのために死んだという確証は、まだ得ておりません。そのような報告には接して日おりません。何万倍か何十万倍に薄められたホリドールの液がアミ類やエビ類に影響を与えてこれを死滅せしめるという実験はございますけれども果して有明海の海水の中にどれだけのホーリドールが入っておるか、それがどのような影響をするかということについては、まだ報告は受けておりません。ただホリドールの化学構造式の中の一つの基と申しますか、そういうものが見出されたという報告はございますが、果してそれがホリドールとしての悪影響を及ぼすかどうかということは確証がないわけでございます。従いましてわれわれは、単なる有明海の問題でなくて、日本全体の農業生産に関する問題でございますので、あくまで慎重に、ほんとうに間違いがない結果を出したいという意味で、根本的に研究しているわけでございまして、残念ながら私どもはまだホリドールによって
 エビ類やアミ類が死滅したという学術的に根拠のある結論に接しておらないわけでございます。その意味で私は申し上げているわけでございます。しかしながら、いずれにせよそのような漁業に支障を来たしますことは、沿岸漁民の非常な経済上の負担になりよすし、またとにかくホリドールのためであるという観念を持っておられることに対しては、やはり何らかの手を打たなければなりませんで、でき得る限りりこれはいろいろな魚介の増殖を行わせたいという意味で、手を打っているわけでございます。もしそれがホリドールのためであるという確証が得られましたならば、単に援助とか救済の問題ではなくて補償の問題だと思います。われわれはこれを弁済する義務が出て参ると思いますので、ここに慎重を期したいという心がまえがあるわけでございます。この点十分御了解願いたいと思います。

発言情報

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発言者: 大石武一

speaker_id: 23383

日付: 1956-05-10

院: 衆議院

会議名: 内閣委員会