大石武一の発言 (農林水産委員会)
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○大石(武)政府委員 ただいま上程せられました家畜取引法案の提案理由を御説明申し上げます。
戦後わが国における畜産は、急速に発展し、現在馬以外の家畜につきましては、飼養頭数が、戦前の最高水準をはるかに上回っておりますことは、日本農業の発展のために大いに喜ぶべきことと存ずるのでありますが、これらの家畜の流通という点に立ち入って考察いたしますと、なお、そこに畜産振興の隘路とも称すべき重大な制度上の欠陥が見られるのであります。すなわち、わが国の家畜の流通形態は、家畜の商品としての特殊性にもよるのでありますが、農産物に比較いたしましても、流通段階が複雑であるだけでなく、市場についての規制が不十分で、その取引の方法が著しくおくれておりますために、家畜市場においてさえ、必ずしも常に適正な価格の形成と公正な取引を期待できるとはいい得ない実情にあるのであります。
このような事態を放置するとすれば、近年大量に増加した家畜の円滑な流通を著しく阻害し、その結果・国が推進に努めております有畜農業経営にはなはだしい支障を来たすとともに、ひいては国民の食生活の改善にも悪影響を及ぼすことをおそれるものであります。
御承知のように、家畜市場の法的規制は、明治四十三年の制定にかかる家畜市場法炉ございましたが、これが終戦後昭和二十三年に廃止されまして以来、相当数の道府県で条例を制定いたしまして、それぞれ家畜市場の規制を行い、流通秩序の維持に努めてはおりますが、何と申しましても各府県の個個の対策では、家畜の流通対策上遺憾な点が少くないのであります。よって、ここに、家畜市場を中心として家畜の流通を円滑ならしめるためこの法律案を提出する次第であります。以下簡単にその内容を御説明申し上げます。
第一にすべての家畜市場につきまして、これを開設しようとするときは都道府県知事の登録を要するものとし、これに伴い登録の基準等につき必要な規定を設けたのであります。
第二に家畜市場についての規制でありますが、登録された家畜市場における家畜取引を、公正かつ安全に行わしめるため、家畜市場の施設、取引の方法、代金決済の方法等について所要の規制を加えることといたしたのであります。
第三に家畜の生産地帯において、子牛、子馬等が取引される産地家畜市場につきましては、現在その数が家畜の生産頭数に比して多過ぎるため、互いに弱小となって十分市場としての機能を果し得ないうらみがありますので、関係者の自主的な協議がととのった場合には、都道府県知事が地域を指定し、市場の再編整備を行う一定期間は、その地域内において類似市場の開設を制限して、健全な産地家畜市場の発達を期そうとするものであります。
このほか、家畜市場外における家畜取引につきましては、家畜取引業者は一定事項を記載した書類を取引の相手方である農業者等に交付させることを義務づけることによって、家畜の流通の円滑化と取引の公正化をはかった次第であります。
以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
なお参議院におきまして修正の点がありますので、かわって御説明申し上げます。
修正の主要な点は、一、家畜市場の登録基準として、禁固以上の刑に処せられ、刑余二年を経過しない者には登録を与えないこととする、二、禁固以上の刑に処せられた者、その他家畜商法、家畜伝染病予防法または家畜取引法の違反者で、刑余二年を経過しない者は、家畜商免許の欠格事由とし、その免許を取り消すこととするの二点であり、その他にこれに伴う経過規定等の修正が行われたのでございます。
この修正点は、中央卸売市場における卸売人、商品取引所における会員及び証券取引所における会員等についても同様の規定がございますし、家畜商等の業界におきましても要望のある点を考慮して、これにならうという趣旨でございます。