八木一男の発言 (文教委員会)
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○八木(一男)委員 文化財保護委員会の方で条約のときに京都、奈良あるいは鎌倉等を地域的に指定して、保護地帯、非武装都市と申しますか、そういうものを主張されたことは非常によいことでございまして、私どもはかねがねその主張を持っておったわけでございます。ところでこの条約でその問題がくみ入れられなかったといたしましても、日本人の考え方として、それから世界中の文化財を愛し、また平和を愛する人々の考え方としては、そういう方向に条約を進めていくという考え方に立たなければならないと思うわけでございます。現在の条約がはなはだ不十分なものでございまして、将来はこれを拡大していくという立場に立たなければいけないと思うわけでございます。その点で、特にこれは外務省の方にも申し上げなければなりませんけれども、文化財保護委員会の非常に熱心な、そして粘り強い御推進をお願いしたいと思うわけでございます。それにいたしましても、たとえばそういう地域的の非武装地帯、保護地帯が認められるような条約ができました場合に、わが国において主張するものは方方にありますけれども、まず第一には、今言われました通り奈良とか京都とか鎌倉が第一に主張のおもな点になると思うわけでございます。まだほかにもございますからそれを拾いたいのでございますが、少くともはっきりわれわれの主張すべきものとわかっているものにつきましては、その条件を整えておかなければならないと思うわけでございます。その地域的な問題が条約にくみ入れられなかった原因を私は推察いたしますると、イタリアのローマという都会は古文化財が集中いたしております。しかしながらこれは首都であって交通の中心である。あるいは私つまびらかには存じませんけれども、おそらくそこに軍事的施設を撤去しがたいものがあるということが一つの原因ではないかと思うわけであります。でございますから、そのような文化的都市はそのような条件をできるだけはずしていった現状を作り上げて、だからもういいんだ、地域的に全部を指定しよう、指定すべきであるという主張を積み上げていかなければならないと思うわけでございます。その意味において、わが国においてはたとえば奈良、京都、鎌倉またその他の重要な文化地点において、軍事的施設がないという条件を積み上げることによって、地域指定も広くすべきだという立場が生まれ、また各国の同調を得ると思うわけでございます。その広い立場から、このような文化地帯には、特にそのような軍事施設とか軍需工業施設とか、あるいはまたそれに類したものがないように持っていくのが、わが国の文化財保護の立場であると思うわけでございます。この広い意味において、現在起っております奈良の自衛隊の問題から考えていただきまするならば、大きくわが国の文化を保存するという立場から、この問題について強力に反対をしていただかなければならないと私は思うわけでございます。その広い立場と同時に、また先ほど委員長の言われました実際的な立場から考えましても、このことが言えると思うわけでございます。たとえば特許地においていなかの文化財がところどころに指定される、そうして建物が指定されないかもしれないといわれます。しかしながら現在の軍事的な非常にわれわれの好ましくない進歩はめざましいものがございます。爆弾の種類も、その効力も偉大なものがございます。また原爆、水爆という問題を考えますると、そこに一つのちょっとした軍事施設があったために、奈良の文化財が全部、あるいは水爆の場合には、奈良、京都の文化財が尊い人命とともに粉砕されることは、予測されないわけではないわけでございます。水爆を免れ得たとしても、そのような巨大な爆弾の照準が狂えば、たとえば落した爆弾があるいは正倉院の真上に命中することも考えられるわけでございます。その意味であらゆるそういう危険性を排除する必要があると思うわけでございます。ですから条約はたといそのうちの特許地の中の文化財だけが対象になりましても、わが国としてはそういう立場をとって、そのような自衛隊のために特許地の文化財だけでなしに、その家も焼かれる。さらにその周辺のたとえば正倉院、東大寺、二月堂、三月堂、新薬師寺あるいは興福寺、あるいはまた薬師寺、またさらに越えて法隆寺というようなものが破壊されるような原因を作るべきではないと思うわけでございます。もしここで自衛隊の建物が、ほかに振りかえがつきにくいからとか、すでに計画書を作ったからとか——作っているかどうか知りませんが、そのくらいの理由でもし文化財保護委員会が押されてこれを許しまするならば、ほんとうに日本の文化財保護のために、将来ほぞをかむような危険性が起るわけでございます。文化財保護委員長といたされましては、どうかこの場合、どんなことがあっても、身を挺してでもこれを食いとめるという勢いで、防衛庁あるいはすべての諸官庁に当っていただきたいと思うわけでございまするが、それについて強い御決意をお示し願いたいと思うわけでございます。