田辺繁雄の発言 (社会労働委員会)
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○説明員(田辺繁雄君) 御指名によりまして、簡単に御報告申し上げさしていただきます。
一月二十八日にロンドンに到着いたしまして以来、松本全権の随員といたしまして引き揚げ問題に関するいろいろの補佐をいたしましてやって参りました。引き揚げ問題を含めての交渉の全体に関する問題につきましては、いずれ全権がお帰りになりましてから詳しく御報告する機会もあるかと思いますが、私全権の御指示によりましていたしました範囲のことをお話し申し上げたいと思います。
到着して間もなく、二月一日の日に、こちらから先方に届いておりました、ロンドンに到着しておりました一万余名の未帰還者の名簿カードを先方に持って参りまして、ソ連大使館に持って参りまして、カードの性質をよく説明すると同時に、先方に対してその調査を要望したわけでございます。一万余名と申しますのは、ソ連においてかつて生存しておったという資料のある者全部の資料でございまして、その一枚心々のカードには本人の姓名と本籍地、性別、年齢及び最後に生存しておったという時期と場所が書いてございます。それが帰還者の証言によるのである場合と、それから現地からの通信による場合と区別してあります。終戦以来今日、昨年の十月一日現在でそれが全部で一万一千百七十七名でございます。そうして調査を要望する趣旨は、ソ連の官憲において現在保有しておる資料と照合の上で現在どうなっておるかを書いてほしい。資料があった場合において資料によって現在生存しておるか、あるいはすでに死亡したか、資料がないなら資料がないということを言ってもらいたい、この三種類に分類して返事をしてもらいたいということを申し入れたわけであります。さらに三月十三日の正式会談におきましては、松本全権から、未帰還者の調査に関してさらに申し入れをいたしまして、その促進を要望せられたわけでございます。さらに三月十九日に、松本全権の御指示によりましてソ連の大使館に入りまして、調査を要望せられた趣旨をさらに詳しく説明いたしました。これは一等最初に持っていったときに説明しましたものをさらに敷衍したものでございまして、生存者については生存の状況、死亡者については死亡した時期、場所、死亡の原因等を知らしてほしい。それから生存者につきましては、希望するならばすぐ帰れるようにあらゆる便宜を与えてほしい、そうして希望すればすぐ帰れるのだということ及び便宜が与えられるのだということを十分周知徹底さしてもらいたいということを申し入れたわけでございます。さらにその際には、一枚一枚のカードになったもののほかに、それと全く内容は同じでございますが、連名簿になったものを作成いたしまして、それを先方に渡しておきました。この連名簿は先方におきましてわれわれの方に要望してきたのでございます。一枚々々のカードでは調査上不便であるというので、連名簿になったものを作成してほしいという向う側の依頼に基いて、現地において作成したものでございます。なおその際調査の趣旨といいますか、われわれの方で向うに要望しました趣旨ということはこういうことであります。十年間肉親の安否を案じながら待ちわびておる家族の立場を考えて、日本側としては、この現在の消息を明らかにするために必要な一切の手段を尽したい、こういう考えからソ連側に対して、ソ連の持っている資料に基いて調査を要望するということを申しました。調査の趣旨と家族の安否を十分向うに伝えたわけでございます。前後三回にわたりまして、マリク名簿と申しますか、ソ連側が提出した名簿に載ってない未帰還者で、ソ連にかって生存しておった居留資料のある者を、昨年の十月一日で集計した名簿と及び連名簿によった名簿とそれから一枚々々のカードによったものというものを両方先方に渡して参ってきたわけでございます。
非常に簡単でございますが、私が全権の御指示によりまして直接やって参りました範囲につきまして御報告申し上げます。