岸倉松の発言 (内閣委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○参考人(岸倉松君) 憲法第九条の戦争放棄の問題に関しまして、よくあれは当時の幣原総理からマッカーサー元帥に建議したのだ、あるいはそうでないと、いろいろな論議がありました。ところが私どもも実は前総理から直接に、こういうことを話に言ったのだということをはっきり伺ってはいないのであります。ただマッカーサー元帥が一九五一年のたしか五月四日と思いますが、アメリカの上院の外交並びに軍事委員会の席上におきましてはっきり言われたことがある。あの日本の戦争放棄の憲法に関する問題というのは、その当時の総理であられる幣原が私のところにこられて、そうしてもう戦争というものが実に悲惨な結果を来たすから、これからもう戦争というものを全然廃止しなければならないということを自分のところにはっきり言ったということが、その合同委員会の席上で証明されておる。ところが、それは新聞に出ていましたけれども、私ども全然それがわからない。国会図書館に行って私調べてみました。向うの議事録がついております。それからその議事録によって見ましたら、新聞に出ておる通りはっきり同じような意味のことが議事録に出ておる。それで実は幣原がその前の年の十二月の二十九日に発病しまして、肺炎にかかって、それからそれがちょうど一月の十五日にほぼ全快した。それからいろいろの何でお礼のために、宮中に第一お礼言上に上りまして、それからマッカーサー元帥のところにも上った。それがたしか一月の二十四日なのです。そのときは十二時に上りまして約三時間、三時まで話をして、そのとき今の話が これは推察でありますのでわかりませんが、そのときに今の憲法九条の問題の話がそこに出たのではないかと推察されるのであります。それでそれが、幣原総理からその戦争放棄に関する話をマッカーサー元帥に話したということは、その合同委員会におけるマッカーサー元帥の証言によってはっきりしたことと、それからその当時司令部に、民政部におりましたいろいろな方がある。それはたしかリゾーというのがある。ホイットニーの民政局の局長代理なんかをした方ですが、それらも話し、その後になって幣原の提言によるのだということを話しておられました。それからワイルズという人がやはり著書の中に書いております。それがやっぱり幣原の提言である。そのワイルズという人はやはり民政局におった人でありますが、書いております。それからホイットニーが民政局長自身で、それはロスアンゼルスのマッカーサー元帥の誕生日の記念会があった。その後よっぽどあとのことですけれども、そのときにも同じようなことを言っていますが、それは主として、やはりホイットニーという局長がいろいろ書いたものであって、そういうことで一月の二十四日の会見のときにそういう話をしたということが、そういう人たちのいろいろな話によって私推察して、そうだろうというまあことに推察しておるわけですが、直接聞いたのじゃないのですから——幣原自身が私にそう言ったのじゃないから、その点だけははっきり御承知を願いたいのです。
それから憲法に関して枢密院に三月の何日かに政府が説明されたことがあります。そのときに幣原総理が総理としてまあいろいろ憲法の説明なすった。そのときに九条の問題に入ったときに、自分がかたい信念を持ってこれこれの内容を言ったんだということを幣原が説明したということが何の中に書いてあります。それは毎日新聞の何か局長をやっておる人で、何とかいう本を書きまして、それをあとでその本によって私見たのですが、まあそういう点ですね。それから、まあ大体そういうようなことで、直接に総理が私に、自分が言ったんだということはそれはおっしゃらなかったけれども、今のマッカーサー元帥の証言とか、それから民政局におった人たちのいろいろなお話などによって、それから幣原先生が総理になられてから、もちろん私毎日、朝夕自動車に同じく乗り合っておりましたが、東京のいろいろな町やなんか通過するときに、まだ焼け跡が方々に残っておった。それを見るたびにもう悲痛な何をされて、戦争のひどいことをもう非常に何している、痛感されている。またそういう意味で話もしておられる。それからどういう場合でもですね、戦争というものはもうこんな悲惨な何を来たすから、絶対にもうこれはやめなければならない。ほんとうに原子爆弾や何か戦争に使われる今日は、日本などではどうしたってこれを製造するということは財政上絶対不可能だから、だからこの戦争というものをどこまでもなくさなければいけないということをもうしょっちゅう言っておられた。それやこれやでマッカーサー元帥の証言というものは、確かに、あれは幣原が少くともああいうことを言ったんだ、それから得てそうしてああいうことになったのじゃないかと思われる節があるのであります。もちろん何ですね、日本の憲法の草案というものは申すまでもなく、司令部の方で起草して、司令部の方から全部やってきたものです。だからあの条項そのものがむろん司令部の起草したものに多くはかかっております。それから日本の政府の方ではいろいろそれを選考し、研究し、相当修正した点もあります。しかし結局日本の政府の憲法の草案になったものでありますけれども、九条の今の戦争放棄の動機というものは、幣原が言ったということも確かに一つの何をなしている。あるいは幣原が言って、マッカーサー元帥が全然考えていないことを言ったのじゃそれはないかもしれません。マッカーサー元帥もそういうことを思っておったかもしれませんが、少くともあれは、幣原総理があれを提案したことが少くともあの動機の一つになっているのじゃないか、これは裏面の動機、そういうふうに私は考えさせられます。まあ大体……。