山田節男の発言 (本会議)
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○山田節男君 去る十四日オーストラリアのメルボルン放送によりまして、英連邦軍が、来たる三月から起算いたしまして十二週間以内に撤退さするという放送が行われたのでございました。去る十六日広島県の呉市長並びに県知事等が、呉におりまする英連邦軍司令官にこれを確かめましたところ、その放送がほんとうであるということがわかったのでございまするが、これに関しまする幾多の労働問題、社会問題、産業問題等が生ずることは必至でございまして、この点に関し、鳩山内閣の所信を確かめたいと存じます。
まず第一に、鳩山首相に対してでございますが、これはすでに御承知の通りに、日本は占領軍政下にありまして、占領軍に対しまする労務者、これは半ば公務員的なものでございまして、現に第五国会と思いまするが、国家公務員法が制定されまする際に、GHQにおきましては、この駐留軍の労務者は公務員として扱うということになっておったのでございますが、これは国会におきまして特別職ということにいたしたのでございまするが、その経過からいたしましても、この駐留軍の労務者、もちろんこれは国連軍の労務者も含めてでございますが、そういったような一つの地位を与えられ、ことに労働条件におきましては言語、風俗、習慣等を異にしているまことに困難な、一般官公労、あるいは産業労働者とは非常に違った労働条件のもとに働いておったのでございます。しかも、これらの労務者はすでに十年余にわたりまして勤務をいたしているという者もあるのでございまして、これらの人々に対しましては、政府として当然いろいろな特恵的とは申しませんけれども、この特殊な労務者に対し、半ば公けの労務者であり、なおまた、これは行政協定によりましても、あるいは国連協定に基きましても、すべて間接雇用でございまして、日本の政府がこれを調達する、役務を調達するという義務を負っているものでございます。かような立場からいたしまして、今回のように英連邦軍が撤退をすることによりまして、きわめて短期日間に約八千三百名という労務者が解雇されるという運命に逢着いたしているのであります。なおまた、アメリカの駐留軍の労務者に対しましても、すでに青森県、鳥取県、あるいは宮城県等におきまして、計数千名の解雇者をすでに出さんとしている状況にあるのでございますからして、当然鳩山内閣としましてこれに対する対策をおきめになる必要があると思うのでございますが、この点に関しまする鳩山総理は内閣の首班として、どういったような所信と対策を持たれるか。ことに、昨年の七月にこれは民主党内閣、民主党の時代でございますが、すでに民主党におきましては、この国連軍の引き揚げに対する対策の特別委員会、あるいは田中官房副長官が、これは主管とされるところの特需等対策連絡協議会というのをお持ちになりまして、相当具体的な案をこれによって作られていたのであります、民主、自由両党か合同されました後におきましては、石田博英君がこの方の特別対策委員会の委員長としておられるのであります。こういう点からみまして、私はこの重要なる労働問題、あるいは失業対策問題、産業問題等につきまして、鳩山総理が全般的にこれをいかに効果を上げるようなお考えをお持ちになるか、この点についてお伺いしたいと存じます。
以下、各所管大臣について御質問を申し上げたいと存じます。
外務大臣に対しましては、今回のこの国連車が撤退するということにつきましては、一九五四年の二月に署名されました日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定、その二十四条を見ますというと、「すべての国際連合の軍隊は、すべての国際連合の軍隊が朝鮮から撤退していなければならない日の後九十日以内に日本国から撤退しなければならない。この協定の当事者は、すべての国際連合の軍隊の日本国からの撤退期限として前記の期日前のいずれかの日を合意することができる。」こういう協定があるのでございますが、これによりまするならば、当然外務省といたしましては、国際外交上の措置といたしまして、メルボルンの放送を聞くまでもなく、国連の所管者からは、当然外務省に通知がなくてはならぬと思うのでございます。これによりますと、朝鮮から撤退しなければならない日から九十日以内ということでございまするが、国連軍の朝鮮から撤退する期日について外務大臣に正式な通告があったのかどうか。また、その撤退の時期につきまして外務大臣に、これまた英連邦軍の代表者から、あるいはアメリカ大使館を通じまして明示があって、これに対する外務大臣は合意されておるのかどうか、この点についてお伺いいたしたいと存じます。
なお、これは労働大臣に対する質問と関連いたしまするが、この行政協定に基きまする合同委員会におきまして、駐留軍の労務者は、あるいは国連協定によりまして当然これは適用されるのでありまするが、例のマスター・レーバー・コントラクト、労務基本契約でございますが、これはすでに足かけ四年になっておるにもかかわらず、これがいまだに先方において調印しない。これがために退職の問題、あるいは雇用条件の、あるいは賃金の査定等につきましては、いろいろな問題を起しておるのでありまするが、私はこの外務省が主管いたしまする協定にからみ、労務基本契約というものが一体どういう過程にあるのか、政府はこれに対してどうしても一日も早くこれを調印せしめるような努力をしておられるかどうかということを伺いたいと思います。
次に、労働大臣でございまするが、労働大臣は調達庁を所管の大臣でございまするから、その二つの任務を持たれる労働大臣に御質問をいたしたいと存じます。先ほど申し上げましたように、この英連邦軍の労務者は、国連協定に基きまして間接雇用であります。この雇用によって生ずる幾多の問題については、これに対して政府が責任を持つという建前になっておるのでありまするが、そういう観点からいたしまして、この英連邦軍の急遽撤退いたしますることによって生ずる労働問題につきましては、いろいろな具体的な案をお持ちだろうと存ずるのでありまするが、まず第一には、これは昨年の六月からのことでございまするが、第二十二国会以来のことでございまするが、この駐留軍の労務者に対する特別退職手当の法制化の問題でございますが、議員立法として本国会に提出されまして、その内容といたしますることは、要するにこれらの労務者に対しまする退職金を一般公務員並みにしてくれという趣旨なのでございまするが、これが今日まで依然として具体化しないのでありまするが、この点に関しまする労働大臣の所信をお伺いしたいと存じます。なお、これは当面の問題としては八千数百名の英連邦軍の労務者が解雇されることになるのでございまするが、この問題に対しましては、すでに先ほど申し上げましたように、自民党の特別対策委員会並びに本年の二月三日の閣議のこれは了解事項といたしまして、これらの解雇による失業対策につきまして、いろいろな案が政府の案として、もうでき上っておるわけであります。たとえば全額の国庫負担による特別の失対事業、この問題につきましては、労働大臣としては閣議の了解事項となっておりまするし、来年度の予算にこれは組まれるものと了解しておったのでありまするけれども、こういうものは含まれていない。その他与党の特別委員会できめられましたところの解雇者の職業補導の問題であるとか、あるいは転業資金の問題でございますが、これ等につきましても、やはり一つの企業組合、こういったようなものを設けて、そして特別の融資をしようという、こういうことにつきまして、すでに与党の特別委員会がきめ、閣議が了解しておるのであります。今後いかようにこれが取扱われるかということについてお伺いいたしたいと存じます。
次は、大蔵大臣でございまするが、先ほども申し上げましたように、全額国庫負担によって特別の失対事業というものを起してもらいたいということは、これは労働大臣からも特別なる要望があったと存じますが、これが予算化しないということは、どういうようなことに経過がなっておるのか、この点をお伺いしたいと存じます。また今回の、かように一カ所において八千名というような労務者が解雇されるのでございますが、これに対しましてのいろいろの失対事業でございますけれども、いたずらに不生産的なものでなくいたしまして、たとえば今日のこの呉市なら呉市におきまする多数の旧軍用財産が英連邦軍によってこれを接収されておった、これが解除されるのでございますが、これを国有財産法あるいは国有財産特別措置法というようなものを一部改正いたしまして、これを地方自治団体において一つの管理委託と申しまするか、失業の救済、就業の機会を与えるために、これらの国有財産を一時時限的に無償貸与して、あるいは時価よりも安くこれを譲り受けて、そして産業の発展と失業の救済に充てるというようなことも、これは考えるべきじゃないかと思うのですが、この点に対する大蔵大臣の所信をお伺いしたいと思います。
なおまた、これは労働大臣にも申し上げましたが、転業資金の問題、これは与党の対策委員会においては、これらの企業組合を作らせて、これに対する特別融資をするということになっておりまするけれども、現行法におきましては、たとえば中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫あるいは商工組合中央金庫法によりましては、融資の対象にならないのであります。どうしてもこれは一つの特別のワクを設けるということにしなければ、融通の道がないということに現実にぶつかっておるのでありますが、この点に関しまする私は大蔵大臣の所見を一つ確かめたいと存ずるのでございます。もしこれが行われないというようになりますならば、一人当り最高四万円の更生資金ということになるのでございますが、これでは現実的にはどうにもならないという状況でございますので、この点に対する大蔵大臣の所見をお伺いしたいと存じます。
次は、防衛庁長官に対してでございますが、こうして旧軍用財産を接収しておりましたところの英連邦軍が撤退することになりまするというと、それを目当てに防衛庁、ことに呉におきましては、海上自衛隊がいろいろの施設を使いたがっておるのであります。たとえば旧鎮守府であるとか、あるいは海軍病院あるいは繋船堀等を使いたいということを防衛庁に申請しておるやに私は伺うのでございますが、これは昭和二十五年の四月に旧軍港市転換法というものが通過しておりまして二これによって呉市ならば呉市におきまして、一つの平和産業としてそのプランを持っておるわけであります。しかしながら今申しましたように、海上自衛隊がいろいろな施設を使うということになりますれば、その特別法に基きます産業都市転換というものが不可能になってくる、こういう点につきまして、どうしてもやはり市が企図します企業の誘致と防衛庁の施設をいかにするかということを調整しなければならぬかと思うのでありますが、この点に対する防衛庁長官の所見を伺いたいと思う。なおまた、こういったような急激な、しかも大きな失業問題をひかえますことになれば、いきおい将来、海上自衛隊があそこを基地として使うといたしますならば、産業の誘致ももとよりでありますけれども、たとえば船艇の建造あるいは修理、需品の購入等につきましても、私は特別の考慮をしていただかなければならぬと思うのであります。この点に対する御意見を伺いたいと存じます。
さらに、太田自治庁長官でございますが、これは昨日本院に出されました国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案でございますが、これは三公社の所在地市町村に対しまして交付金を与えるという法律でございますが、これは呉市のみでなく、他の旧軍港都市においてもしかりでありますが、非常に旧軍港用地が市の中心地の膨大な地域を占めている、こういうものに対して、私はことに自治庁といたしましては、それがために市の産業の発展というものを阻害されるということになれば、当然これは一種の交付金のようなものを出すべきだと考えるのでございますが、太田長官はこの点についてどういうふうなお考えであるか。
時間がございませんが、もう一つは運輸大臣に対するお願いでございます。以上申し上げましたように、非常に大きな失業問題が起きておりますので、幸い呉線の本線の電化の問題、これが一つ失業対策をかねて、早急にこういうことを実現していただきたいと思うのであります。この点に関して運輸大臣はいかがお考えになるか。また港湾の問題にいたしましても、先ほど申し上げました産業の発展という意味から、重要港湾として指定されている呉の問題につきましての御所信をお聞きいたしたいと存じます。(拍手)
〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕