曾禰益の発言 (予算委員会)
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○曾祢益君 私は鳩山総理大臣に対しまして、外交問題に限って若干の点を御質問いたしたいと存じます。
最初に日ソ交渉についての問題でございますが、ただいまマリク全権が一時帰国しましたためにやや中絶の形になっておりますが、これは非常に重要な段階に到達しているように考えられるのであります。ところで今般国会再開の暁に、衆議院、参議院におきまして本会議あるいは衆議院の予算委員会等において、総理の施政方針、なかんずく日ソ交渉に関する意見についてのいろいろな質疑応答が行われたのでありまするが、しかしこれらの質疑応答を通じましても、一月二十六日の総理の記者会見における総理の発言、これと総理の施政方針演説等との間の食い違いというものについての十分なる解明がなされておらないように考えるのであります。従って私はまずこの問題について若干の点を御質問いたしたいのでございます。
総理の記者会見における発言については、これはちゃんとした記録がありまして、これを一々読み上げるのも繁雑でありまするから一応差し控えまするが、この一月二十六日の記者会見における総理の発言の要旨は私のみるところでは次の二点にあると思います。一世の点は、終戦宣言で抑留者を帰してもらうことから一つ始めるのだ。終戦宣言を向うから出してもらうということを肯定しておられる点が第一点.であります。第二点は、領土問題の全面的な解決を待たず日ソ交渉の妥結をこいねがう。この二点からなった重要な発言であったと存じます。そこで伺いたい点は、まず第一の終戦宣言云々の点でございまするが、これは今さら私が申し上げるまでもなく、総理が昨年の二月の衆議院選挙の当時から言っておられたように、終戦宣言で国交調整をする一つの方式があります。いま一つは、第二次鳩山内閣ができてからはっきりときめたよりに、平和条約によって国交を回復する方式があります。私は第三には、終戦宣言を向うがやってもさらに平和条約をやる方式、あるいは平和条約ができない場合には暫定協定をやる、いろいろな方式があると思いますが、いずれにしても、終戦宣言でやる方式と、平和条約方式とは大きく二つにわかれる。これはもう明瞭なことだと思います。そこで一体総理はこの段階において、すなわち平和条約方式を一ぺんとらして、松本全権をして平和条約方式による交渉をやらさせておいて、卒然として一月二十六日に再び終戦宣言方式を可とするやの発言をされているのは、これはきわめて重大なことだと思います。しかもこの発言面の裏に、その後にわかったように、確かにドムニッキー氏から河野一郎君を通じてと言いますか、日本の漁業者を通じて、河野一郎君を通じて内閣に働きかけがあった。その方式が終戦宣言をやって、それで抑留者は帰してあげるからすぐ国交調整をやろうというようなヒントがなされたことが背後にあるのですから、ロンドンの正式交渉とは別のルートでソ連側のヒントに応じて、再び終戦宣言方式に意見が変ったのだと世人が思い、ソ連もそう思うことは、これは状況上当りまえの話であります。その点についてこの疑惑はまだ残っております。この点はいかにお考えになるのか。その後総理は外務大臣が驚いてかけつけたこの会見において、この方式を否定して今までの方式でいいというふうにかえられ、そうしてさらに施政方針演説では明瞭に平和条約方式をとったようになっておりましたが、これは一体いずれが正しいのか。つまり終戦宣言方式を否定されるのか、あわせて用いられるのか、これについての明確なる態度をあらためておっしゃっていただきたいのであります。
以下私が御質問申し上げまするが、どうか総理は御滑席のまま十分にゆっくりと御答弁願いたいと思います。