重光葵の発言 (予算委員会)

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○重光国務大臣 それでは中近東方面の一般情勢について私の見るところを御説明いたしたいと存じます。一般情勢につきましては、本会議におきまして申し述べたところよって大体御了解を得たことと思います。あの情勢が今日までまだ続いておる情勢でございます。それで、本会議で申し上げました通りに、中近東方面すなわちスエズ運河の問題から発した中近東の情勢と、それからハンガリーの国内情勢からくる東欧の情勢、こういうふうに大体二方面から観察したのでございます。今日のその後の状況をざっと申し上げます。中近東の問題につきましては、国際連合の取り上げるところとなって、国際連合において主として処理されておるということは御存じの通りであります。他方東欧の問題は、国際連合において取り上げられました。しかしながらハンガリーもまたソ連も、これは国内問題であるからといって、国際連合の問題にすることを拒否しておる状況でございます。しかしそれだからといって、国際関係全体がそれで解決されておるというわけではむろんないのであります。非常に今日は困難な事態に進んでおることは御承知の通りであります。
 さて中近東の方面におきましては、国際連合において国際警察軍を組織して、そうして英、仏、イスラエルの軍隊をエジプトから撤退するということになって、その方向に進んでおるわけでございますが、いまだに完全なる撤退はないわけでございます。それと同時に、スエズ運河の自由通過を実現する、つまり今通航の阻止されておる状況を除き、自由通航のできるようにするという問題がここにあるのでありますけれども、エジプトは、スエズ運河の問題はエジプトの国内問題として、エジプトの主権のもとにあるのであるからエジプトでやる、こういう態度をとっております。また英仏の方はこれを国際的に処理しようというところで、まだ一致していないようであります。
 さようなことで、国際連合がしきりにスエズ運河の問題については努力しておるのでありますけれども、まだ解決は見ておらないという状況でございます。スエズ運河の問題はさような事態でございますが、なぜスエズ運河の問題が起ったかというと、ここに大きな背景があるので、それを見のがすことのできないことは、前に私が説明した通りでありますが、その背景を見るに至って大きく問題になっているのは、ソ連のアラブ諸国に対する勢力の伸張と申しますか、積極的な政策が大きく関係をいたします。それが結局スエズ問題にも発展したわけでありますが、そこでソ連が今日アラブ諸国のうちに勢力を伸ばしておるということについて、特にシリアの状態が注目をされておるのであります。シリアにソ連が軍事根拠地を作るとか、またシリア軍の訓練をやっておるとか、いろいろな報道がございますが、ソ連側はこれを否定しております。しかしいずれにしてもシリアについて問題がある、ソ連の勢力がシリアに非常に植えつけられておるという懸念が国際的に持たれておるということは、これは事実でございます。さようなわけで、スエズ運河の問題はスエズ運河の問題にとどまらずして、大きくいえば、共産陣営と西欧側との大きな世界の勢力争いに転換をしつつあるというのが今日の状況でございます。これは日本としても非常に注目しなければならぬので、この国際情勢は決して私は楽観は許されないと思います。しかし今すぐそれならば大きな衝突があるというふうには見るべきものでもなかろうかと思いますが、しかしその発展はきわめて用心深く観察しなければならない、こう考えておるのであります。
 大体以上のようなことを申し上げておきたいと思います。

発言情報

speech_id: 102505261X00119561130_008

発言者: 重光葵

speaker_id: 18166

日付: 1956-11-30

院: 衆議院

会議名: 予算委員会