芳賀貢の発言 (農林水産委員会)

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○衆議院議員(芳賀貢君) ただいま議題になりました農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
 農業委員会は、御承知の通り、昭和二十六年農業委員会法の制定によって、従来の農地委員会、農業調整委員会、農業改良委員会の三者につきそれらの職能を総合整備するため、一委員会として統合し、原則として地方自治体の地域ごとに当該地方自治体の機関である農業に関する行政委員会として設置せられたものであります。しかして同委員会は、農業生産力の発展及び農業経営の合理化をはかり農民の地位の向上に寄与するため、農民の意思と希望を反映し得るよう農民の選挙による委員及び学識経験者たる委員をもって構成され、その職務は、農地、食糧等関係法令に基く所定の事項、農業に関する総合計画の樹立及び実施に関する建議、答申に関する事項等を処理することとせられたのであります。
 かつまた、農業委員会は、当初市町村及び都道府県に設置されたのでありますが、二十九年の改正によりまして都道府県農業委員会はこれが廃止せられ、新たに法人として都道府県農業会議及び全国農業会議所が設けられることになりました。しかしながら市町村の農業委員会につきましては委員の構成等について若干の変更があったほかは、おおむね従前と同様の性格と職務をもって今日に至っているのであります。
 当初においては市町村の農業委員会は、原則として一市町村一委員会の割合で、全国の市町村数に準じて約一万一千設置されていたのでありますが、その後全国的に町村合併が急速に実施せられてきたのに対し、農業委員会については、現行法のもとではこれによる組織その他の実情から直ちに画一的に合併市町村に一委員会の原則を貫くことについては、事態の推移について慎重な考慮を必要とする状況にありましたため、本年九月三十日では、市町村数三千九百七十五に対し、委員会数は七千三百八十五となっている状況にありまして、一市町村一委員会の原則からははなはだしい懸隔を生じている実情にあるのであります。
 しかしながら町村合併の現情にかんがみ、農業委員会が本来市町村の行政機関である性格とその職務の遂行からして、農業委員会は市町村内一体として強力なものであることが望ましく、これによって合併市町村ごとに行政庁に農民の意思と希望を強力に反映して、域内の農業に関する施策を統一的かつ実効的に滲透するため、原則として合併市町村ごとに一個の農業委員会を設置することが適切であり、急速にこれを実現することが必要となったと考えられるのであります。
 しかるに今日町村合併の現情について見まするに、合併後の市町村の規模は、一般に著しく拡大し、かつその域内の産業等の態様にかなりの変化を来たしておりますので、農業委員会と農民その他関係団体等との結びつきを密接にいたしまして、あわせて農業の地域性及び特殊性に応じて農民及び農業の利害を公正に反映できるように、現行の農業委員会の組織に改正を行う必要があるのであります。
 さらにまたわが国農業の動向と農業委員会の設置及び運営の経緯に照らし、その目的を一そう十分に達成せしめるためには、農業委員会が、各種の行政機関及び農業団体等と力を合せて農業施策を一そう充実させ、またその滲透の徹底を果し得るよう、その所掌事務を必要かつ適正に拡充するとともに、農業委員会の職員の資質を向上し、さらにその身分の安定化をはかることが緊要であると考えられるのであります。
 農業委員会について右の改正をいたしますとともに、この際都道府県農業会議の組織及び業務の上において農業委員会の連絡及び協力を緊密にする所要の改正を行い、全国農業会議所とともにその機能を十全に発揮し得るようにいたしたのであります。しかして右の機関及び団体は、農業協同組合、農業共済組合等の農業団体と協調しておのおのその職分に応じて、農業と農民のためそれぞれの機能を発揮することを期待しているのであります。
 以上の趣旨にのっとりまして、今般農業委員会等に関する法律の一部改正を行うこととした次第であります。
 以下その内容の主要な点について、
 概略御説明申し上げます。
 第一は、農業委員会を原則として合併後の市町村の地域に合せて設置することとし、その職能の円滑な遂行をはかるため必要な統合を進めることに関する規定を整備したことであります。
 前に述べましたところにより、合併市町村において農業委員会が職能を極力円滑に発揮するためには、なるべく一市町村 委員会に統合することが望ましいと考えられるのでありますが、現行法においては農業委員会の統合を進めていくためこれに関する所要の規定が不備でありますので、これを整備いたしたのであります。
 第二は、農業委員会の組織についての改正であります。
 すなわち、現行法においては農業委員会の委員のうちその根幹となるべき選挙による、委員は、農業委員会の全区域を単位として公職選挙法を準用したることとなっております。しかるに、さきに申し上げました通り、市町村の地域の拡大とこれに伴う態様の変化に関連しまして、農業委員会の組織を従前のままとするならば、農民と農業委員会のつながりは稀薄となると考えられますので、今回これを改め、選挙委員の実数を十人から四十人までに拡大し、さらに必要がある場合は、都道府県知事の承認を得て、市町村条例によって、農業委員会の区域内に選挙区を設けることができることとしたのであります。
 また現行法の農業委員会は、選券によらない委員について、市町村長が五人以内を限り、いわゆる総合農業協同組合または農業共済組合から推薦されたその理事及び市町村議会から推薦された学識経験者の中から委員として選任しているのでありますが、この改正法案においては、農業委員会にいわゆる総合農業協同組合及び農業共済組合の代表者を網羅的に委員として加えるため、これらの団体の推薦したその理事は組合ごとに必ず一人ずつ市町村長が委員に選任し、さらにまた組織の万全を期しまして、従来の制度を踏襲し、市町村議会の推薦した学識経験者をも五人以内において、これまた市町村長が委員に選任する制度といたしております。
 右の結果によりまして、一農業委員会当りの委員の数は現在に比し相当増加することとなりますので、農業委員会の通常を実情に即し適切にするために、新たに部会の制度を設けることといたしました。
 すなわち、農地問題を処理するために、必ず農地部会を設置するとともに、その他の所掌事務を処理するために、その他の部会を開くことができるごととしたのであります。しかして部会の構成は、選挙による委員の互選による者が十人ないし十五人とし、その三分の一以内の人数において条例の定めるところにより、それぞれ農業団体の推薦による委員の互選による者及び学識経験者の互選による君をもってこれに充てることといたしております。
 この部会の設置に伴い、農業委員会におきましては、行政庁の諮問に対する答申、農業及び農村に関する振興計画の事務についての基本方針の決定、並びに会長の選任及び解任の三事項については、必ず全委員の会議で議決いたすのでありますが、その他の事項については、部会がその所掌事項について議決をしたときは、その議決をもって農業委員会の決定といたしたのであります。
 第三は、農業委員会の所掌事務について改正を行なったことであります。現行法における農業委員会の所掌事務は、農地法、土地改良法その他の法令によりその権限に属させられた事項を初めとし、農地等の利用関係及び交換分合のあっせん等に関する事務を行い、さらにまた農地、農業技術、農畜産物の処理、農業経営の合理化及び農民生活の改善等にかかる総合計画の樹立及び実施について、市町村長に建議しその諮問に応じて答申することとなっているのでありますが、改正法案では、前述いたしました趣旨により、農業委員会の職能を必要かつ適切に拡充することといたしております。なお当然のことでありますが、その際市町村長及び他の執行機関が権限に基いて行う職分との調整に配意し、また各種農業団体との間には適切な協力連絡を保つことを本旨といたしております。
 すなわち、その所掌する事務としましては、農地法、土地改良法その他の法令に基き権限として行う事務は従来の通りとするほか、農地等の利用関係及び交換分合のあっせんに関する事務と農業及び農村に関する振興計画の樹立及び実施の推進に関する事務のほか、農業技術の改良、農作物の病虫害の防除その他農業生産の増進、農業経営の合理化及び農民生活の改善に関する事務を行い、農業及び農民に関する事項についての調査研究と啓蒙宣伝を行い、さらに農業及び農民に関する事項について意見を公表し、行政庁に建議し、その諮問に対し答申を行うことができることとしたのであります。
 第四は、農業委員会の職員に関する改正であります。農業委員会がその使命に基く職能を十全に発揮するためには、その職員の資質の向上と身分の安定が緊要なことは申すまでもないところでありますが、ことに農業委員会の所掌事務の最も基幹となる事務であり、かつ最も利害の錯綜する事務である農地に関する事務を担当する職員について、このことは最も必要であると考えられるのであります。
 そこで、農業委員会の職員を分けて農地主事及びその他の職員として、農地主事については政令で定める一定の資格を要するとともに、その任免は都道府県知事の承認を必要とし、さらにその身分につき不利な取扱いを受けたときは農林大臣にその旨を申し述べる道を開いたのであります。
 第五は、都道府県農業会議の組織に関する改正であります、同農業会議は、本改正法案におきましても従来と同様の性格を有する法人といたしておりますが、その会議員につきましては、現行法では当該都道府県の区域をおおむね郡別に十から十五に分けて、その区域ごとに都道府県知事の招集する代表者会議で互選された農業委員会の委員または農業協同組合もしくは農業共済組合の理事一人ずつとして、その合計十人ないし十五人のほか、農業協同組合中央会、農業共済組合連合会、省令で定める農業協同組合及び同連合会、省令で定める農業団体等の推薦する者及び学識経験者で会長の指名するものをもって構成されることとなっております。
 本改正法案におきましては、さきに述べました通り、農業会議と農業委員会の連絡協力の度を増す趣旨に従いまして、各市町村ごとに農業委員会で指名する委員一人を同農業会議の会議員とすることとし、その他の会議員は現行通りといたしております。
 その結果会議員の数が大幅に増加いたしますので、都道府県農業会議の通用を考慮いたしまして、新たに部会の制度を設けることといたしました。すなわち、農業委員会と同様に、必置の部分として農地部会を、任意設置の部会としてその他の部会を置くことといたしているのであります。しかして農地部会は、農業委員会の委員として会議員となったものの互選により十人ないし十五人と、学識経験者としての会議員の全員をもって構成し、その他の部会は農業委員会の委員として会議員となった者の互選による十人ないし十五人と、それと同数でその他の会議員の互選による者とで構成することといたしているのであります。
 しかして都道府県農業会議の業務に関する議決につきましては、農業委員会と同様、部会の所掌に属させられた事項については、部会の議決をもって都道府県農業会議の決定といたしているのであります。
 最後に、この法律の施行についてでありますが、新しい組織と所掌事務を与えられた農業委員会が発足するには、現在の農業委員会の委員の大部分がその任期を満了し、新しく選ばれた委員が就任するときが最も適切であると考えられますので、原則として、明年七月二十日より施行することとしたのであります。
 以上が本法律案の提案理由及びそのおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。

発言情報

speech_id: 102515007X00619561211_002

発言者: 芳賀貢

speaker_id: 28868

日付: 1956-12-11

院: 参議院

会議名: 農林水産委員会