樋口重雄の発言 (商工委員会総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○樋口参考人 日本鉱業協会の樋口でございます。金属鉱業の現況につきまして御説明を申し上げます。
 ここに公述の要約といたしまして三項目あげてございますが、第一項目の金属鉱業の現況につきましてはプリントがございませんので、ただお話を申し上げるということにとどめたいと存じます。
 最初に御礼並びに御報告を申し上げたいと存じますが、先般やはりこの小委員会で私からお話し申し上げました、多年金属鉱業におきまして懸案としておりました例の鉱床補てん積立金制度、これがこのたび鉱業特別税制の形におきまして、鉱業関係において特別な償却制度が認められましたことによりまして、一応この鉱床補てん積立金制度の問題が暫定的に終止符を打った形に相なったわけでございますが、この問題に関しましては、多年皆様方並びに政府御当局の御協力をいただきましたことを厚く御礼申し上げる次第でございます。ただ鉱床補てん積立金制度に内蔵しておりますいわゆるプリンシプルと申しますか、その趣旨というものがそのまま認められたという形には相なっておりませんので、これはまた将来の問題といたしまして私どももこの問題の推進に努めて参りたいと存じておりますので、今後とも御協力をお願いしたいと思っておる次第でございます。
 金属鉱業界の最近までの実績は、お手元に差し上げました日本鉱業協会兼の五月号に載せてございます。これは大体昨年の十二月までの状況を詳しく載せておるのでありますが、御承知のように、昨年一ぱいは割合に好況が続いたのでございますが、本年に入りまして多少状況に変化が生じておるわけでございます。鉱業界といたしましては、各方面の需要の増加にこたえるために増産を実施して参りまして逐次増産の実績を上げておるわけでございますが、最近一般経済界の動向につれまして、メタル関係の価格も下落の傾向にあるわけでございます。例を銅にとりますと、三十一年の六月には一トン四十一万円もしておったわけでございますが、最近は三十一万六千円という大幅な下落を示しておるわけでございます。他の物資につきましても次第に弱含みの状態に相なっておる次第でございますので、協会といたしましては前途に対しまして、国内需要の継続性というものに対しましても多少の不安を持っておるわけでございます。ことに銅におきましては、先般一部につきましてAA制を実施されました結果、多少輸入過剰の傾向がございまして私どもの見通しとしましては、遠からず銅の過剰時代が来るのではないかというような心配もいたしておるのでございます。その他、これは他の産業と同様な事情でございますが、たとえば運賃の値上げの問題、電力料金の値上げ、あるいは最近に起りました金融の引き締めの問題、こういったものが相当私どもの業界にも及ぼす影響が少くないのでございます。ことに電力料の値上げは、鉱業の資源のほとんど三分の一程度が東北に集中しておる関係上、東北電力並びに北陸電力の今回の電力料の値上げ案というものは、相当程度私どもの業界にも影響するところが大きいと存じますので、種々対策も考えておる次第でございますが、この点につきましても先生方の御協力をいただいておりますことを感謝申し上げる次第でございます。
 次に第二番目の海外鉱業開発協力助成問題でございますが、差し上げてありますプリントに準じまして御説明申し上げたいと存じます。最近海外から鉱業開発援助の要請が盛んになって参っておることは、まことに御同慶にたえない次第でございます。海外との提携もしくは投資あるいは鉱業技術者、労務者の派遣、あるいは海外の鉱物資源の調査というような要求が目に増し盛んになって参っておるわけでございます。新聞紙上で承わるところによりますと、岸総理大臣も今般東南アジア諸国を歴訪されまして、こういった面においての各国との協力を推進するようにお話し合いをなすっておられるということも伺っておるわけでございますが、御承知のような日本の国情、つまり地下資源が少く人口は非常に多いというような国情から見まして海外諸国との協力を緊密にしなければならないということは、日本の将来を考えましてまことに大切なことだと考えまして、私ども民間の企業といたしましても、この点について協力を推進しておるわけでございます。この点に関しまして、現在の政府の方針に多少私どもとしてお願い申し上げたいという節がございますが、それは第二ページに掲げておりますように、海外投資に対する現行海外投資保険制度の強化拡充、御承知のように、経団連から要望意見がこの点については出ております。このたびの国会におきましても、この要望の一部がいれられているということを承知いたしているわけでございますが、この保険制度をもっともっと強化拡充していただいて、私どもが海外に投資をする場合に、安心して投資ができるようにますます推進していただきたいというふうに考えている次第でございます。
 第二番目には、各国からの要請によりまして、鉱業技術者、労務者を派遣する場合の点でございますが、ただいまでは鉱業技術者や労務者を派遣する場合には、主としてその招聘国で技術者並びに労務者の給料は支払ってもらっているわけでございますが、現在は一企業体の手でこの技術者、労務者の派遣を行なっております関係上、あとでもまたちょっと申し述べますが、企業体といたしましては、優秀な技術者、労務者を海外に派遣して、現在自分の会社の仕事は留守にして、相当の犠牲を忍んで派遣をしている状態でございます。最近南米のボリビアに技術者を派遣しておりますが、ボリビアの駐在公使からの手紙によりますと、ドイツなどはボリビアに対して技術者を派遣する場合には、旅費、給料等は政府が負担している状態だということを報告されております。また真偽のほどはわかりませんが、聞くところによりますと、ソビエトなどはビルマなどに技術者を派遣する場合には、ほとんど無報酬で派遣をしている例があるというようなことを聞いております。これは正確な報道でございませんので、はっきりしたことはわかりませんけれども、そういったことで各国とも海外進出を非常に熱心にやっている。その裏には政府の強力なるバックがあるということを聞いているわけでございます。こういった面におきまして私どもいつも非常な矛盾を感ずるのでございます。技術者を招聘したいという国においては、なるべく安い給料で優秀な技術者を雇いたいということは、これはもっともなことでございますが、出す方といたしましては、やはりその技術者、労務者を遇するに足る十分な給与を与えてほしいということを要求せざるを得ない状態でございまして、この派遣に関しての話し合いがなかなか円滑に進まないという点が多々ございます。こういう面につきまして海外協力について政府が大いに声を大にしてこれを唱えられます関係上、政府の十分な御協力をお願いしたいというふうに存じている次第でございます。
 次のページに海外鉱業開発提携の現況といたしまして、現在鉱業協会所属の各社が海外に進出している状況をお目にかけております。フィリピン、タイ、マレー、ビルマ、インドネシア、インド・オーストラリア・ニューカレドニア、台湾、香港、メキシコ、チリー、こういった国々に対していろいろな形において進出をいたし、また将来進出をいたすことをはかっている次第でございますので、御参考までに一覧表を添えておいた次第でありますから、ごらん願いたいと存じます。
 日本鉱業協会におきまして、直接手を下しまして海外協力、海外に対する種々な問題を扱いましたものを第五ページに掲載してございます。先ほど申し上げましたボリビアへ鉱業技術者を派遣しておりますが、これはボリビアから鉱業技術者十五名の要請がありましたが、本年二月にとりあえず技師七名を派遣しておるわけであります。
 次に第六ページにアンデス鉱物資源調査団派遣要請、これはペルーの公使から外務大臣あての公信で、アンデス山系の鉱物資源を日本の手で調査してやったらどうかというような書状が参りまして、外務省の方から鉱山局を通じまして私どもの方にも話があった件でございますが、この鉱山にも、ちょっと公使の手紙の中に書いてございましたが、わが国の鉱業会社が自力で技師を派遣することは資金的にも困難であろうから、民間資本にたよらず、政府みずから調査団の派遣を早急に実現されたいということが付言いたしてございます。アンデス山脈という、こういう膨大な地域の資源調査ということは、とうてい一会社、一企業の手をもってしてはなかなか困難でございまして、私ども業界といたしましても、この件に関しましては、真剣に協議をいたした次第でございますが、何分にも非常な大きな仕事になりますものですから、こういう面に関しましても、政府御当局のお力添えをいただきたいというふうに考えておる次第でございます。
 次にはビルマのモウチ鉱山から鉱山労務者及び監督技師派遣の要請がございます。最後に書いてございますように、ビルマは非常に治安が悪い。治安について十分な保障が得られないというような点もございます。また給与条件も十分でないというような点などで、今のところまだこれは実現しておりません。
 次にビルマ政府から鉱山保安監督官の派遣の要請がございましたが、これも目下交渉中でございます。
 チリーからやはり硫黄選鉱、製錬技術者の派遣の要請もございました。
 それからフィリピン等から鉱区所有者からいろいろ協力の要請があったわけでございます。
 その他種々ここに掲げてございますが、次に過去の事例といたしまして、七ページ後段から八ページ、九ページにわたりまして、過去に海外に対しまして、いろいろとりましたことを列挙してございますので、ごらんを願いたいと思います。
 次に中小鉱業の振興対策の確立の問題でございますが、この件に関しましては、先般のこの委員会においてもお話申し上げた次第でございますが、皆様方の御援助並びに通産省の御協力によりまして、例の新鉱床探査補助金、これが従来二千万円でありましたものが、今年度から五千万円に増額されたわけでございますが、ここにございますように、申請総額は二億三千六百万円に達しておるわけでございまして、五千万円ではまだまだ十分でないというふうに考えられますので、将来この金額を大幅に増額をしていただきたいというふうに考えております。
 それから鉱山道路の補助金の問題でございます。鉱山道路を作りますことは、小さい鉱山会社の手では、非常に資金も要しますので困難でございます。このためにこういう道路の建設というものに対しまして産業関連施設で公共事業費としてやっていただいておりますが、補助金の予算を増額されて、この鉱山道路を十分に設置していただきたい。結局鉱山の開発は道路が先決問題でございまして、道路がつきませんと、新たな鉱床の発見も、また新たな鉱山の開発も不可能な状態でございますので、この鉱山道路の建設については、私どもも種々お願いをいたしておる次第でございます。
 次に地下資源開発機関の設立促進の件でございます。地下資源を残りなく開発調査するということ、これはまた非常に大規模な調査によらなければならないわけでございますので、地下資源の総合的開発のために地下資源開発機関の設立を要望する次第でございます。
 次には不足重要鉱物の新規開発に関する免税の件でございますが、重要不足鉱物の開発につきましては、重要物産免税措置を適用されますと同時に、さらにできますれば地方税の固定資産税、鉱産税の免税等についても考慮していただければ幸甚というふうに考えておるわけであります。
 中小企業の振興助成法の一部改正の問題でございますが、中小企業振興資金助成法では、中小企業の範囲といたしまして、従業員数は三百人以下となっておるわけでございますが、鉱山会社におきましては、その特殊性から、これを一千人以下というふうに拡大されるように法律改正を希望いたす次第でございます。
 次に中小鉱業振興に関する法制的措置でございます。以上述べましたように、いろいろ中小鉱業に対しまして施策を要望する次第でございますけれども、こういうものを一貫いたしまして、中小鉱業振興育成に関する法制的措置を講ぜられたい。できれば単独法を制定していただいて、こういった中小鉱業対策についてもまとめた措置を講ぜられるような立法措置をお願いいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
 最後に中小鉱業振興審議会設置の件でございますが、こういう各般の中小鉱業振興対策、これは一般の中小企業とだいぶ異なります特殊性があると存じますので、この中小鉱業の振興対策につきましては、特に通産省内に中小鉱業振興審議会といったようなものを設置していただきまして、ここで中小鉱業振興についての施策を御審議願いたいというふうに考えておる次第でございます。
 はなはだ粗雑でございましたが、現在の鉱業関係におきましての状況並びにお願いの点などを申し述べまして、私の意見の開陳を終了いたします。

発言情報

speech_id: 102604514X00219570611_002

発言者: 樋口重雄

speaker_id: 24504

日付: 1957-06-11

院: 衆議院

会議名: 商工委員会総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員会