岸信介の発言 (本会議)

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○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。私は、ただいまの鈴木君の御質問のうち、総理大臣に対する質問及び外務大臣に対する質問を一括してお答えを申し上げます。(拍手)
 第一は、外交方針に関する御質問であります。すでに施政方針及び私の外交演説においてはっきりと申し上げましたごとく、日本の外交方針が日本の自主独立の立場からきめられなければならぬことは、これは当然でございます。(拍手)しこうして、今日国連に加盟をいたし、国連中心の外交方針と、日本の存立が民主平和国家である以上、この民主主義諸国との関係を一そう緊密にして、もって日本の国際的地位を高めていく、これが外交方針の根本でございます。(拍手)
 第二は、中共貿易に関する御質問でございます。われわれは、日本の経済的発展のために、あらゆる国々と貿易を拡大することを念願しております。中国に——大陸に対しましても、この意味において貿易の拡大を従来も努めて参っております。ただ、御承知の通り、中共に対する貿易につきましては、わが国が加盟いたしておりますココムの制限がございます。この制限を緩和することについては、われわれも従来努力して参ったのでありますが、今後もこれを緩和する方向に努力いたすつもりであります。(拍手)しこうして、その範囲内において日中貿易はこれをできるだけ増大するのが、われわれの方針であります。(拍手)
 なお、私が過日記者会見において申し述べたことに対する御質問がございましたが、新聞に伝えられておる記事は、私の真意とはやや異なっておるところがあることを遺憾といたしますが、いずれにいたしましても、今日、日中の関係は経済、貿易の点に限られ、従って、その経済、貿易関係も、民間のレベルにおいてこれを行うというのが原則でございます。公的な立場から通商代表等をまだ認めることはできないと思います。従って、この間においていろいろ法制上の困難もございますので、これにつきましては、従来、民間等におきまして、この日中貿易に関係を持っておる人々がいろいろと話し合ってきておる線を尊重して、そうして、何とかこれに対する処置を講じたいと考えております。
 第三は、AAグループに対する問題でございます。われわれは、東南アジア諸国との経済関係を一そう強力に推進するため、過般、アジア・太平洋地域における公館長会議を外務省において開催いたしました。各地の事情に応じて、われわれは一そう友好関係を進め、経済関係を増進するつもりでおります。AAグループ問題に関しましては、日本がアジアにその位置を持っており、アジア諸国との間に緊密な関係があることは当然であります。しかし、今日AAグループが国連の中において主張いたしております事柄につきましては、必ずしもすべてこれに賛同するというわけには参らぬと思います。われわれは、あくまでも、国際連合の一員として国連憲章を重視して、そうして、この見地から、一面において、われわれがAAグループに属しておることはもちろんでありますけれども、さらに、より高い立場からこれが調整をはかることが外交上必要だろうと思います。
 第四の点でありますが、二重外交について御心配になっておるお言葉がありましたが、これは絶対に御心配は無用であります。(拍手)
 原子力部隊についての御質問がございましたが、この点については、御承知のように、新聞の想像記事であるということを、アメリカの責任ある国務省及び国防省が声明をいたしております。また、日本に対しては何らこれに関する正式の申し出はございません。将来この問題がもしも起ってくるとすれば、日本政府と十分に話し合って事を決するということをアメリカ側も声明をいたしております。いずれにいたしましても、われわれは、そういう場合におきまして、日本の立場を十分に考えて処置したいと考えております。(拍手)
 安保条約の問題につきましては、今日の日本の状況から考えますと、われわれは安保条約及びこれに付属するところの行政協定上の義務は国際信義としてこれを履行する考えであります。ただ、これらの条約あるいは行政協定にして日本の事情に適せないものがあるという議論につきましては、私は、個々の問題を考え、さらに日本の自力によるところの防衛状態が一そう完備した上において、これが改正を考えたいと考えます。(拍手)
 最後に、政治上の問題に関する政権の移動は解散によって問えという御議論であります。一つの御議論として尊重いたしますけれども、私は政権の移動は必ず総選挙によってやらなければならぬという原則に拘泥することはとらないのであります。解散は、申すまでもなく、国民経済の上に及ぼす影響その他きわめて重大なものでありますから、各般の事情を十分考えた上、国民世論の動向も考えた上において、これに応ずべきものであると思います。政府は現在のところ解散を考えておりません。(拍手)
 国会の運用につきまして国会運営を正常化すということにつきましては鈴木君も非常に御心配になりており、お互いに国会の権威と信用を高めるために、私は、二大政党下においては、二大政党とも協力して国会の正常化をはからなければならぬと思います。私は、政府としては、できるだけ国会において十分に論議が尽されるように、各種の議案の提出や、その他われわれが協力できることは、あらゆる面に協力して参りたいと思います。なお、野党の立場をも尊重して外交や、その他国家の基本的な問題につきましては、政府は、謙虚な、また誠意をもって話し合いをする機会を重ねて、そうして共通の広場を多くしたいと考えております。要は、お互いに議会主義を与党も野党も正しく理解し尊重して協力するということにあると信じます。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕

発言情報

speech_id: 102605254X00419570204_016

発言者: 岸信介

speaker_id: 6788

日付: 1957-02-04

院: 衆議院

会議名: 本会議