岸信介の発言 (本会議)

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○国務大臣(岸信介君) 外務大臣に対する太田君の御質問にお答えをいたします。
 第一は、国際情勢についての私の見解でございます。御承知のように、昨年起りました幾多の事件は、従来国際緊張緩和の方向に著しく進んでおると考えられておった世界情勢が一時逆転したような状況になっておることは、御承知の通りであります。しかし、私は、すでに三巨頭会談によってやられたジュネーヴの会議や、その後における、特にソ連のとってきております政策がこの緊張緩和の方向にありますがゆえに、今日直ちに以前のようなあの先鋭化した冷戦へ再び復帰するということは、私は考えることはできないと思うのであります。この意味におきまして、やはり世界の底流は緊張緩和の方向に進みつつあるものと考えることが適当である。もちろん、部分的にいろいろな事態が生ずることもありますし、また、それがひいて世界の大事にならないとも断言できませんので、この意味においては、十分にわれわれは情勢に対してこれを観察し検討して対策を考えなければならぬ、かように考えております。
 いろいろあげられました、イギリスの原子爆弾に対する実験についての日本側の考え、措置、あるいはアメリカから原子部隊の日本への移駐の問題等のお話がありましたが、私どもは、すでに国会において議決されております原水爆の使用禁止、従って、その実験の禁止は、全国民の希望であり、決意でございます。従って、この考えをあらゆる機会に貫徹するように努力することは私どもの務めであると考えております。(拍手)従いまして、イギリスに対しましても、アメリカに対しましても、この実験を行う場合におきましては、これをやめるようにわれわれは要望して参っております。イギリスに対しましても、その見地から厳重な抗議を申し込んだわけであります。また、原子部隊の問題につきましては、これは新聞の誤まった報道がいたく国民の気持を刺激したと思いますが、責任ある国務省及び国防省は、これは事実ではないということを言明いたしております。(拍手)また、そういう場合におきましては、すべて日本政府と話し合いをすることになっております。私どもは、あくまでも、日本国民の考えや、各種の日本の自主的な立場から、この問題に対する日本の態度をきめたいと考えております。
 国連に加盟いたしまして、われわれは非常に重大な責任を持つことになったのでありますが、言うまでもなく、国連憲章を忠実に順守して、今日東西の緊張ができるだけ緩和されるようにわれわれは努力をしていき、また、国連内部におけるところのいろいろな対立につきましても、常に公正、中立なる主張を、建設的に、積極的に主張して、そうして世界の平和を増進することに努めたいと考えております。
 アメリカとの関係につきまして、今申しましたような問題とともに、貿易上の問題が御指摘のごとくございます。綿織物に対しましては、両国の当事者の間に自制的な申し合せができまして、一応片づいた形になっておりますが、しかし、アメリカは何といっても日本の大きな輸出市場でありますし、また、これに対しては、綿織物以外にも問題を生ずるおそれのあるものもございますので、これらにつきましては、国内における業者の自制と、アメリカ側に対して日本の産業事情を十分に了解せしめるような措置をとりたいと思います。
 ココムの制限緩和の問題につきましては、われわれは一貫してこれを合理的に緩和する方向に努力をいたしております。
 スエズ運河の再開によりまして、いろいろ貿易上の変化があることは当然であります。また、欧州において共同市場の問題がございますが、これらは最後的にはガットの会議において決定されることになっておりまして、われわれとしては、あくまでも、貿易上日本の公正平等な立場を得るように、あらゆる機会に努力する考えであります。
 韓国との外交につきましては、国交が正常化せないことは非常に遺憾でございますが、私どもは、まず第一に、韓国に抑留されておるところの漁夫を釈放するという問題は、人道的な立場から、これはすべての問題に先だって解決されなければならぬという見地に立って交渉いたしております。もしもこの問題が解決すれば、その他の懸案事項について話し合いを進めていくところの用意があるのであります。
 日ソ漁業交渉の問題につきましては、昨年末ソ連より委員をよこすことになっておりましたが、これがおくれまして今月の八日前後にモスクワを出発するという情報が届いておりますが、いずれにしましても、できるだけすみやかに委員会を開きましてそうして本年の漁期に間に合うようにこの問題を解決したい、かように考えております。(拍手)
 〔国務大臣池田勇人君登壇〕

発言情報

speech_id: 102605254X00519570205_011

発言者: 岸信介

speaker_id: 6788

日付: 1957-02-05

院: 衆議院

会議名: 本会議