山田節男の発言 (予算委員会)

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○山田節男君 第三班の御報告を申し上げます。
 第三班は、北村議員、関根議員及び私の三委員でありましたが、六月二十五日から七日間にわたり青森、秋田、新潟の三県について、地方財政及び公共事業の現状並びに各関係鉄道監理局管内の輸送状況を調査いたしましたほか、青森県においては、農業及び林檎試験場並びに酪農関係事業、秋田県においては、八郎潟干拓及び秋田港改修事業、帝国石油八橋油田開発事業、新潟県においては、佐渡離島振興対策事業、新潟港改修及び海岸侵蝕対策並びに旧信濃川改修事業及び新郷川用水事業等の実情について現地調査いたしましたが、以下、その概要について御報告申し上げます。
 まず、地方財政状況につきましては、三県における昭和三十一年度決算見込は、青森県約二億円、秋田県約一億三千六百万円、新潟県約一億一千百万円の実質黒字であり、同年度中の県税収納額も、青森県約十八億三千三百万円、秋田県約十二億七千三百万円、新潟県約三十四億四百万円で、各県とも自然増収のほか、法定税の一部税率引き上げ、法定外普通税の新設等により、それぞれ前年度に比し三億二千四百万円、二億二百万円、五億七千万円の増収となり、収納歩合もかなり好転している状況であります。一方、歳出面においても、従来より各県とも極力消費的経費を節約し、いずれも地方事務所を全廃するとともに、行政機構を簡素化し、相当数の行政整理、自然淘汰、臨時職員の正職員切りかえによる縮減等を行い、また定期昇給についても、中間給の設定、昇給差額の一部返納、請求権の放棄、昇給延伸等の措置をとっている状況であります。しかしながら、従来からの実質赤字累積額は、昭和三十年度末で、青森県四億七千三百万円、秋田県十六億四千五百万円、新潟県二十二億一千九百万円に達しているため、秋田、新潟両県においては法の適用を受け、昭和三十一年度よりそれぞれ十カ年、九カ年計画で再建に入っており、青森県においても昭和三十一年度より自主再建計画中のところ、東北開発促進法の施行に伴い、他県並みに高率長期の補助を受けるため、法準用団体に切りかえるべく申請中でありました。また、公債費につきましては、昭和三十一年度末の県債額は、青森県では三十六億九千四百万円、同年度中の元利償還額は五億九千七百万円で、一般財源に対し一〇・三%、秋田県では県債額二十一億九千四百万円、同年度中の元利償還額は六億九千八百万円で、一般財源に対し一四%、新潟県では県債額百三十八億九千二百万円、同年度中の元利償還額は十三億九千二百万円で、一般財源に対し一六・七%であり、公債費の今後の見通しも、青森県では毎年累増して、昭和三十五年度以降は八億円台となり、秋田県では毎年十億ないし十二億円、新潟県では十五億ないし十九億円台となる見込みであります。
 かかる地方財政の現状の上、今後の給与改訂、東北開発施行に伴う諸経費の増高が予想されますために、各県においては、国庫補助率の引き上げ、特に国庫補助職員人件費の補助率を引き上げること、地方交付税率の引き上げ及び配分の合理化をはかり、特に後進県に対する財政調整金制度を考慮すること、公債費対策として、特別措置債の元利補給、公共事業、失業対策事業、国直轄事業負担金分の公債については、過去の借り入れ分を含め、国が元利補給すること、その他、農業県の税収財源として、府県民税、たばこ消費税の税率引き上げ、府県償却資産税の創設、木材取引税、鉱産税を府県税に改めること、遊興飲食税を地方譲与税とすること、道路譲与税の算定基礎に未改良分のウエートを重くすること等のほか、特に単作農業県のために、政府買い上げ米について石当り百円程度を、国有林野所在県のために、その収益の一〇%程度を当該県に還元するよう強く要望せられておりました。
 次に、公共事業関係につきましては、各県総合開発計画の進捗状況は、青森県は、昭和三十年度末で二五・六%、秋田、新潟両県は、昭和三十一年度末でそれぞれ一五%、二〇・一%であり、各県とも国庫負担率の引き上げ、特に未開発後進県については、政令指定事業の基準を引き上げるとともに、実施に当っては、各省事業間の調整、国と県市町村、民間計画との連絡の緊密化をはかるよう強く要望せられており、一方、災害復旧事業の昭和三十一年度末までの進捗状況は、青森県六五%、秋田県八八・一%、新潟県六三・七%で、依然として復旧に数年を要している実情から、これが急速なる復旧を希望し、特に仕越工事について立てかえ債を認めること、後進県の施設については、国の高率補助による改良修築をはかること、また、最近国際収支の悪化に伴う外貨対策の一還として、公共事業費の繰り延べが計画せられておりますが、後進県についてはこれが例外を認めるよう特段の配慮方要望せられておりました。
 そのほか寒冷地については、会計年度を暦年制にするとともに、補助金等適正化法の運用の合理化が強く要請せられておりました。なお、本年に入って新潟県では、冷害、雪害、凍霜害等により約七億二千万円の被害があり、農地、農業用施設の早期復旧、建設省の緊急査定の実施が要望せられておりました。一方、冷害に関しては、青森県農事試験場では、藤坂五号等の耐冷品種、保温折衷、ビニール畑苗代の普及奨励等により、前年度の冷害を局地的にとどめ、県内平均ではかえって豊作であったことからも、これら冷害予防対策とともに、稲作中心経営から酪農兼営に切りかえるよう研究試験の充実を期待し、また、青森県林檎試験場も草生栽培による酪農兼営に今後の指導の重点を置いており、これら試験研究に対する国の予算の裏づけを強く要望しておりました。また、青森県営農指導農場酪農指導所においても、酪農導入により、冷害時においても経営の安定をはかり得たものとして、今後の計画を進めており、特に国営、または国有林野の開放等による共同放牧地の設置、世銀借款導入牛の継続実施、事故牛に対する補償制度の確立、建設用の機動力の強化等についての国の助成が強く要望されておりました。
 その他、現地を視察したもののうち、おもなものの概要について申し上げたいと思います。八郎潟干拓事業につきましては、総事業費百八十億円、干拓計画面積一万七千ヘクタール、入植及び増反戸数八千七百戸、増産予定量水稲換算三十四万石の計画で、特定土地改良特別会計の新設に伴い本年度より着工の予定でありますが、三十億円に達する漁民の補償要求の早期解決が期待せられるとともに、事業効果等から予算の重点的配賦による早期完成を要望し、特に農林省八郎潟干拓事業所の定員の確保、地元負担の軽減等が要請せられておりました。
 次に新潟港においては、海岸侵蝕と、港の将来計画としての旧信濃川分水計画との関係、地盤沈下の問題が最も緊急な問題となっておりますが、海岸侵蝕につきましては、西海岸では七キロにわたり二百六十ないし三百六十メートルの決壊で、三列の砂丘のうち、最後の砂丘のわずか三分の一を残すのみで、すでに民家まで三十メートルの間近に迫っており、東海岸では約三キロ二百五十メートルの汀線の後退を生じ、昭和二十年以降現実に相当の被害を生ずるに至ったため、昭和二十六年度以降、災害復旧費三億七千万円、災害対策工事費十億円等により、昭和三十三年度完成予定で潜堤、縦堤、護岸工事等を実施中であります。
 運輸省現地当局では、今後の海底侵蝕による既設構造物の補強及び今後決壊の移行を予想せられる東海岸の防護工事の継続を要望するとともに、新潟港の将来計画についても、従来の総事業費約十二億円の大河津河口分水計画の継続実施により、西海岸では港内浚渫土砂、東海岸では河口流送土砂により、既設の侵蝕対策構造物の安全が期待し得るものとし、河口分水計画を強く主張しておりますが、一方、県当局においては、総事業費約四十三億円により、旧信濃川関屋分水計画を立て、港内埋立防止、排水の便をはかるとともに、三十万坪の土地を造成し、各種工場の誘致を期待し、その経済的効果からも国家的価値があるものとして、大乗的解決を期待しており、その間の意見の調整が緊要な問題であると認められます。また最近新たな問題として、港内で七十五ないし百三十センチの沈盤地下を生じており、焦眉の問題として、これが対策をあわせて強く要望せられておりました。
 次に、佐渡における離島振興対策事業につきましては、昭和三十一年度末まで四カ年間の進捗率は、計画総事業費六十億四千百万円に対し二六%でありますが、県当局、地元関係者においては、環状線等道路整備、港湾漁港の整備統合、国仲平野の排水工事、国府川改修工事等について重点的に早期完成するよう要望するとともに、さしあたりの問題として、県営新穂川用水改良工事及び国府川改修工事の計画変更のためそれぞれ二百万円、三千七百万円の調整費の追加総額が強く要望せられておりました。
 最後に、輸送状況について御報告いたしますと、各管内とも前年度に比し、輸送実績、滞貨もふえ、貨車の所要車、対使用車の割合も全国平均を下回っており、特に冬期間が窮屈化している状況でありましたが、かかる現状にかんがみ、輸送力増強五カ年計画により、各国鉄監理局においては、それぞれ操車場の新設拡張、主要駅の移改築、有効長の延伸、行き違い設備信号場の設置、新線設置等が計画されておりますが、外貨対策の一環として、財政投融資の繰り延べに伴い、これら計画が繰り延べされることを深く憂慮しており、特別の配慮が要望されております。なお、長期計画として発電、工場誘致計画との総合的調整のもとに、裏日本縦貫鉄道の全線電化、複線化とともに、東北、北海道開発の進行状況に応じ、五カ年計画についても再検討を加えること、建設計画に伴う一般経費の充足について特に考慮をせられたいとの要望がございました。
 以上、簡単でありますが、概略を御報告申し上げ、詳細は、別冊に報告書を作成しておきましたから、会議録にともに掲載することをお願いいたします。
 以上をもって報告を終ります。(拍手)

発言情報

speech_id: 102615261X00119571031_005

発言者: 山田節男

speaker_id: 17379

日付: 1957-10-31

院: 参議院

会議名: 予算委員会