土田國太郎の発言 (予算委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○土田國太郎君 第四班は、苫米地英俊君、田村文吉君と私の三名で、七月一日から七日まで七日間にわたり調査いたしました。三重県、和歌山県及び奈良県の実情をこれより簡単に御報告申し上げます。まず、三重県の財政事情について申し上げます。本県は、昭和二十八年度以降三十一年度まで赤字でありましたが、昭和三十二年度においてこれを解消し、歳入歳出とも百四十六億円余の収支均衡予算が組まれることになったのであります。そのうち、公債費の償還費は約九億円となっております。
和歌山県の昭和三十二年度の予算は、赤字なしで、歳入歳出とも百三十五億円余、そのうち公債費の償還費は八億円余となっております。
次に、奈良県でありまするが、本県の昭和三十二年度予算は、歳入歳出とも七十一億円余の均衡予算で、公債費の償還額は五億円余に上り、この金額は、本県の県税収入の実に四九%に相当いたしております。
このように三県とも形式上は均衡財政の姿をとっておりまするが、これはいずれも職員の整理並びに公共事業費の抑制、削減による結果であります。地方財政のガンは言うまでもなく、年々累増いたしまする地方債償還費でありまするので、これに対し地方財政確立のため、国といたしまして根本的に財源的措置を講ぜられたいとの要望が三県当局よりそれぞれございました。また、地方交付税交付率の二六%を最低二七・五%は確保してほしいとの要望がございました。
次に、産業経済事情について申し上げます。三重県の昭和三十一年度の工業生産総額は、大よそ千六百億円でありまして、前年度に比べて一六%増加となっております。すなわち、これを繊維工業について見ますと、毛糸は二二%、毛織物は三三%、綿糸は一六%、綿織物は七%と、それぞれ増加を示しております。漁網は、北伊勢地方に工場が分布しておりますが、昭和三十一年度は三十億円余で、前年度に比べて三二%増加しております。石油化学工業並びに肥料工業は、四日市地方を中心として目ざましい躍進ぶりで、昭和三十一年度は、硫安は十五億円と、前年の約二倍半以上の増産をとげ、石油精製高は百四十四億円余と、三一%の増加を示しております。ここ数年間における石油化学関連工場の建設促進に伴いまして、これらの工場が稼動した暁には、県下の主要工業となる日も遠くないことであろうと思われるのであります。機械器具工業、鋳物工業も、いずれも昭和三十一年度は前年度に比べて生産増となっておりまするが、これらは、中小規模の企業が大部分であって、その設備は老朽化しており、設備機械の近代化が要請されているような状況であります。三重県の代表的産業と申すべき養殖真珠は、海外市況の好調に恵まれて、昭和二十八年度以降は戦前の水準を上回り、昭和三十一年度の浜揚げ量は四千二百貫と、戦後の最高を示し、全国生産量の七二%を占めております。このように現在は好況に恵まれて、一応の価格の安定が見られておりまするが、品質の向上並びに生産の計画化については緊急にその対策を樹立しなければならないと思われる様相を呈しているのであります。
次に、和歌山県の産業経済事情について申し上げまするが、和歌山県の代表的産業と申すべきメリヤス業界は、不況に見舞われ、現在操短を行なっておりまするが、パイル織物の昭和三十一年度の輸出高は四百四十万ヤール、九億八千万円と活況を示し、ネルの生産量は五百万反、約五億円で、前年度に比べて一八%の増となっております。木材市況も活況を呈しております。ミカンの栽培面積は五千百町歩で、戦前及び戦時中盛んであった皮革は、現在月産二百三十万坪と、戦前を凌駕している状況でございます。石油精製事業は、下津港を中心として盛んになっております。下津港並びに丸善石油会社の下津製油所を視察いたしましたが、下津港の改修とともに、今後ますますこの地方を中心として石油精製事業は発展するものと思われます。
次に、奈良県について申し上げます。当県は、その面積の七六%が山林でおおわれ、鉱工業資源も乏しく、水利も悪いため、いわゆる工業の立地条件に恵まれておりませんので、大企業はほとんど見るべきものはなく、林業を除けば、かや、メリヤス、くつ下、売薬等の中小規模の企業であります。すなわち、くつ下製造は、家内工業的小規模経営で行われておりまするが、ナイロンを原料とする新製品の需要増加に伴って活況を示し、昭和三十一年度の生産高は八十八億円で、全国生産額の三〇%も占めている状況であります。かやの生産は、昭和三十年度、同じく三十一年度も百六十万張りであります。木材市場も、和歌山県と同様に活況を呈し、昭和三十一年度は三百十一万石取引されております。
以上が三重、和歌山、奈良の三県の産業経済事情の概要でありまするが、公定歩合引き上げに伴う金融引き締めの影響は、われわれが調査いたしましたる当時においては、いまだ顕著にその影響は末端まで及ぼしていないように見受けられた次第であります。
なお、われわれは、吉野、熊野地区総合開発の見地から、電源開発の実情、紀川灌漑排水事業の実情及び日本国有鉄道紀勢線の未成線の工事の進行状況を調査いたしました。すなわち、電源開発につきましては、竜の谷発電所予定地を視察するとともに、椋呂発電所の工事の進行状況について、現地において電源開発株式会社当局から説明を聴取いたした次第であります。
紀川灌漑排水事業については、奈良県当局の案内で、現地を視察して参りました。県当局からは、農業水利事業の工事が遷延いたしておるので、極力これを推進されたいという要望がありました。紀勢線の未成区間の状況については、本工事を担当しております岐阜工事事務所当局から説明を聴取いたしました。未成区間は尾鷲—木本間三十四キロで、すこぶる難工事でありまして、建設工事費は、一般通常は一キロ当り七千万円となっておりまするが、本工事は、隧道、橋梁が多いため、一キロ当り一億五千万円となっております。異常な巨額な工事費の点から見ましても、との工事がいかに難工事であるかが想像されることと存じます。本工事は昭和三十五年度に完成する予定になっておりまするが、これが完成されますと、待望の紀南循環線が完成することとなるわけでありますので、吉野、熊野地区総合開発のため、一日も早くすみやかに本工事が進行されんことを念願いたす次第であります。
簡単ながらこれをもって報告を終ります。