小平忠の発言 (国土総合開発特別委員会)

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○小平(忠)委員 では、先般北海道の国政調査をいたしましたにつきまして、五十嵐委員長外私ども委員の北海道近地方現地調査につきまして、簡単に御報告申し上げます。
 北派遣班は、去る八月五日上野を出発いたしまして、鉄路北海道に向いました。予定は八日間の日程でありましたが、途中豪雨のため北上付近で列車が不通となりましたので、議長の承認は市後に得ることとし、日程を一日順延して、石狩、空知、上川、網走、根室、釧路、十勝、日高、胆振の各地区を視察し、八月十三日調査を終えたのでありまして、時あたかも北海道総合開発第一次五カ年計画を終えて、第二次五カ年計画の初年度を踏み出した時期でありましたので、現地におきましても種々活発な意見を聴取して参りましたし、幾多の問題を含む実情をつぶさに見て参ったのであります。
 以下、その状況などにつきまして、事項別に御報告いたしますとともに、あわせてそれぞれの政府当局に善処方を要望する次第であります。
 まず第一に、農林関係につきまして申し上げます。北海道の農業につきましては、農地の開発、増産、そして入植による人口の収容など、非常に大きな課題を持っているのでありますが、気象条件、上地条件などの自然的条件が悪いために、しばしば冷害をこうむっていることは御承知の通りであります。
 元来、北海道における農業は、本州と比較して規模が大きくなければ経営は成り立たないのでありまして、しかも有畜多角経営あるいは道中・南の一部地域を除いては、米作によらず、寒冷作物等、主として畑作中心でなければ、農家経営の安定をはかることは困難であるという特殊な営農形態を要求されておるのでありますが、さて現況を見ますと、有畜農家は二割にすぎず、あとの八割はただの一頭も持てないという状態でございまして、この導入費用は、一戸当り百五十万円は必要といわれるのであります。このように、きわめて貧弱な基盤の上にあった農家が、相次いで冷害を受ければ、あす食う米もなくなり、借金がふえるのは火を見るよりも明らかでありまして、今後整理を必要とする負債は、六百億をこえるものと推定されている状態でありまして、これは農家一戸当りにすれば、三十万ないし四十万の借金があることになるのであります。
 そこで、寒地農業を確立して農業経営の安定をはかり、もって北海道における農業の振興をはかるためには、相当な努力が必要であると思うのであります。北海道としても、有畜化による経営安定のため牝牛貸付、子返しの方法、あるいは負債整理資金融通のための利子補給などの措置を講じているようでありますが、国の施策としても、寒地農業の確立をはかるため、対象地代の設定、地帯別営農類型の公定、農業振興計画の策定、あるいは既往債務の借りかえなどのための長期低利資金の導入をはかるなど、相当つっ込んだてこ入れが必要と思うのであります。地元からも、これらの解決策を内容とする立法措置について強い要望もありましたので、御報告いたしますとともに、政府当局も相当の腹がまえをもってこれら施策の推進に当るよう、強く要望いたしておるのであります。
 次に、乳価の問題であります。これは全国的な問題でもありますが、有畜多角経営奨励の結果、北海道における牛乳の生産量は急激に伸び、八月現在では百三十万石であった生産量が、この秋には百五十万石にも達するという状況でありますが、一面、特殊な地理的社会的条件のもとにある北海道におきましては、市乳となるのはわずかに一割にすぎず、残りの九割は原料乳となるという状況に置かれております。ところが、乳製品出場においては、需要の不均衡からくる影響を反映して、乳価値下げという状況を導き出してきたのであります。こうなっては、せっかく酪農経営を奨励して参りました北海道の農家経営は、非常な悪影響を受けることは必至であります。国としましても、有畜農業確立のためにも、牛乳あるいは乳製品の価格安定につきまして、早急に具体策を樹立する必要があると言えるのであります。この点につきましても、地元においては特別法を制定されたいという強い要望がありましたので、御報告申し上げる次第であります。
 次に、土地改良の問題でありますが、農耕地の八割は火山灰、重粘土あるいは泥炭湿地帯の特殊土壌である北海道におきましては、土地改良事業は、冷害を克服する上からも非常に重要でありますが、広大な北海道においてはなかなか進捗しないようでありまして、石狩地区では篠津地域、網走、根釧地区の酸性特殊土壌地帯、十勝、胆振——勇払原野の未調査地域など丘視察しましたが、いずれの地域におきましても、改良事業の早期完成、また指定されておらぬ地域においては早期調査を要望しており、新規地区に採択した上、すみやかに土地改良事業を推進してもらいたいとの要望がありました。
 また、機械導入による耕土改良事業も非常に有効適切な措置ではありますが、今年度より国費補助制度が国有貸付事業になったため、貸付料が施行費に影響し、立地条件の悪い地域、あるいは負担力のない農家等では、せっかくのよい制度があっても、利用できないことになってしまうので、この点につきましても、償却年限の延長、あるいは定期的修繕については国で見てやる等の方途を講じて、機械導入の上、すみやかに耕土改良をすべきだと考えるのであります。
 次に、開拓について申し上げますと、戦後入植者四万戸のうち、定着したものはわずか二万八千戸にすぎず、三割は脱落してしまったという状況であり、しかも入植実施地区の二割に当る二百二十九地区におきましては、いまだに経営基盤が確立していない実情にあるのであります。このおもなる原因は、開墾建設工事の遅延と、営農資金の不足にあるといえるのでありまして、元来建設工事は入植させる前に行うべきでありまして、このたび視察して参りました床丹第二地区のごとく、パイロットファーム方式による開拓入植こそ最も望ましい型であると思うのでありますが、まだ建設工事の実施されていない地区におきましては、このおくれをすみやかに解消するよう、特段の努力を払うべきであると考えます。と同時に、開拓資金の問題も重要でありまして、今後の開拓は、網走、根釧地区あるいは天北等、従来よりも一そう経営面積を大きくし、しかも有畜経営を必要とする地方へ重点がかかってくるのであるから、入植にはより多額の資金を必要とするようになると思われます。現行の三十七万円のワクは、北海道の開拓資金として実態に即したものであるかどうか、種々問題はあろうかと思いますが、不振地区振興資金の増額、あるいは開拓者資金、冷害資金の償還延期等については、今後十分に検討すべき問題であろうと考えます。
 なお、パイロットファームについて一言いたします。われわれは現在実施中の根釧パイロットファーム床丹第一地区を見て参ったのでありますが、北海道開発局、北海道及び農地開発機械公団の三者が、昭和三十一年度より三カ年の計画でもって、四千六百町歩の地域に四億八千万円の補助金あるいは融資金を投じて、機械でもって開墾建設工事を行い、二戸当り十八町歩余の経営面積を持つ集約酪農形態の二百八戸を入植せしめんとするもので、開拓入植のモデル・ケースともいうべきものであります。入植条件としては、稼働能力三名以下の家族を持ち、自己資金二十五万円、酪農の経験を有する者となっており、営農資金としては、計二百五十万円の融資を受けるが、五カ年据え置きで、十カ年ないし十五カ年、二十カ年償還のものがあり、年利は三分六厘五毛となっております。
 根釧地区には、このほかに床丹第一地区を初め、十数カ所の処女地があって、開拓入植を待っている状況でありまして、単に未開の地に開拓民を送り込むだけでなくして、機械力を投じて村作りをやり、十分に開拓入植の成果が上るように労農指導するという行き方につきましては、非常な感銘を受けたのでありまして、この方式による開拓入植を望む地域は少くないのであります。ただしかし、入植条件の問題、金利、償還年限の問題については限度はありましょうが、いま少し緩和できぬものか、研究の余地はあると思われました。また開拓地においては、医療機関の充実、学校の問題など、共同利用施設の整備をはかるとか、開拓農業協同組合については貧弱のものしかないので、常職員を置くように助成するなど、種々の付随的な問題が残っていることを指摘しておきます。
 次に、林産について申し上げますと、根本問題は林道網の整備でありまして、これによって奥地林の開発、人工造林も促進されるのであります。北海道の森林資源は十九億石、全国の三割を保有しておりながら、林道は一町歩当り〇・九メートル、全国平均の四分の一以下という貧弱な状態であります。だから、奥地には四億五千万石の森林資源が全然手もつけられずに眠っており、風倒木があっても、搬出作業あるいは復旧造林作業は遅々としてはかどらない、従って、奥地の山は荒れ、少しの雨でも災害が発生するという事態を生じてくるのであります。以上のことから考えましても、石炭と並んで北海道の重要な山資源の開発には、林道網の整備が先決問題であり、そのためには、周到な計画とともに事業単価の高騰している現況にかんがみ、それに見合った予算措置がなければならないと思うのであります。また昭和二十九年、三十年の風害並びに水害に上って、林地は広範囲にわたって荒れており、わずかの降雨にも災害を招くという現状のようであります。すみやかに治山対策を強化して、災害を未然に防ぐ必要があると思われました。なお不良広葉樹林の針葉樹林への転換により林相を改良するという行き方は非常によいのでありますが、伐採された不良広葉樹の積極的高度利用という面についても、広く具体的な研究の要があると考えられます。
 その他農林関係につきましては、種々の問題がありましたが、勇払原野、日高地方の山林、根釧、原野、知床半島等、これは単に農林関係にはとどまらぬのでありますが、科学的調査を行うとともに、早急な開発を望む地方も多々ありましたので、この際申し添えておきます。
 また寒地農業を擁立し、適地技術の浸透あるいは冷害対策等のためにも、試験研究機関を充実すべきであると思われました。それから根釧地区等、特殊気象地帯においては、農業気象観測所設置等の要望もありましたので、ここに御報告しておきます。
 第二に、水産関係について申し上げます。北海道の海岸線は二千九百十キロメートルあり、そこに漁港法に基く漁港が二百二十三港ありまして、漁獲高は全国の三割を占め、北海道における重要な産業の一つであります。しかしながら、漁船の八割は小型漁船であり、漁民の九割は個人経営で、漁船の動力化は非常におくれておる。その上、戦後有力な漁場を失い、しかも引き揚げによる漁民の増加という事情もあって、漁民の生活は決して豊かとはいえない情況であります。漁業振興対策といたしましては、従って、一、漁業生産の増大、二、魚田開発、漁業海域の拡大による漁業資源の確保、三、加工消流対策、以上によって漁業経済の安定をはからねばならないのでありまして、そのためには、漁船の動力化、改良はもとより、漁港の整備、浅海増殖、処理加工、保蔵施設の整備、試験研究施設の充実等の問題があると思うのであります。
 まず漁港について申し上げます。二十七年より漁港整備計画に採用された九十七港のうち、着工したもの七十四港、今年までに完成するもの七港という状況で、今後毎年八億の修築予算がつくとして、あと六、七年はかかるほど漁港の整備はおくれているのでありまして、斜里、標津、庶野、様似などを見て参りましたが、いずれも漁港と名ばかりのものでありまして、北海道漁業の発展の上からも、また多数の道外船の根拠地あるいは避難港としての役割を果し、その利用度も急激に増大している現状からも、早急に整備を完了すべきであります。特に天候の変りやすい霧の多い北海の荒海において、大型船化しつつある漁船の避難港としての役割を果す港が数十キロメートルに一つという現状では、寒心にたえぬものがありました。
 また沖合い漁業への転換のための漁船大型化については、資金融通の道を十分に講じ、一方、資源確保、沿岸漁場開発のためには、国費助成、資金融通などにより、浅海増殖事業の振興をはかるべきであり、さらに零細漁民の経済安定のためには、農耕地を与えて多角経営方式を取り入れる等の助成措置が必要であると思うのであります。また消費地へ遠い北海道の水産業においては、鮮魚として道外へ出るのは一五%にすぎず、六〇%は、肥料、干魚等の加工原料になる実情であり、高度の加工製品はむしろ道外から逆移入されることを思い、あわせて見れば、この方面への余地は十分にあるということがいえると思うのでありまして今後格段の研究努力が必要であります。
 第三に、鉱工業及び電力について申し上げます。工業の発展は、北海道総合開発の一つの大きな目標でありまして、これがためには、必須条件として、原材料、すなわち、石炭、石油、鉄などの鉱業と、エネルギー、すなわち、電力、それとともに資金の充足が問題となるのでありますが、特に北海道におきましては、これらのほかに、自然的、社会的な工業立地条件の解決も必要となってくるのであります。
 まず原材料、すなわち、地下資源の充足の問題でありますが、北海道は石炭、水銀、クローム、鉄鋼、石綿、砂白金、金、銀、マンガン、石油など、わが国における地下資源の一大宝庫であります。しかしながら、現実には、その地下資源調査の立ちおくれのため、あるいは輸送力の不備のために、鉱業の開発振興をはばんでおり、眠れる宝庫は依然して未利用、未開発のまま、十分なる調査も行われず、放置されているのであります。従いまして、開発の歴史も浅い北海道におきましては、まず基本調査がなされることによって、地下資源の開発は飛躍的に伸びる可能性があると思うのでありまして、綱走、根室、十勝、日高の各地区において、この調査につき深い要望のありましたことを申し添えておきます。
 次に、エネルギー、すなわち、電力の問題でありますが、第一次五カ年計画におきまして、電源開発は非常に進み、従来より比較的大きな割合を占めておりましたところの火力発電とともに、昭和三十一年度には九十二万四千キロワットの開発が完成しておりまして、電力に関する限り、現在は不足していないようであり、非常にけっこうなことでありますが、今後総合開発の進展とともに、電力の需用が増加するのは明らかでありまして、北海道の包蔵水力は二百九十万キロワット・アワーといわれておりますので、いま一そうの開発が望まれるのであります。
 以上の鉱業あるいは電源の開発によって、これらの原材料と電力は安価にかつ多量に供給できることになり、これはまた鉄道、港湾など、運輸交通施設の整備と相待って、工業の立地条件を整え、銑鉄、洋紙、肥料、セメントなどを基幹として、各種工業の振興が促進されることになるのであります。
 また資金の面におきましても、日本開発銀行、電源開発株式会社、石油開発株式会社など、政府出資の企業が事業を開始しており、さらに北海道東北開発公庫の設立により、資金面においても着々と整備されておるのでありますが、これをもって十分であるとは決して申せないのでありまして、資金不足の理由でもって開発に支障を来たすということのないよう、一分の配慮が必要であると思います。
 ただ、ここで問題となるのは電力料金の問題でありまして、全国平均より一六%高い北海道の電力料金は、北海道の産業発展上、大きな障害となっていることは非常に遺憾に思う次第でありまして、少くとも全国平均化して、地域差をなくするように指導すべきであると思うのであります。
 第四に、運輸交通の整備について申し上げます。交通施設は、近代社会生活を営む上におきまして、その基本となる施設でありまして総合開発のためには、まず、あらゆる産業に関連する交通網の整備拡充から行うべきであります。そこで、北海道における道路、鉄道、港湾などの諸施設を見ますと、本州と海を隔てておること、あるいは気象条件などのため、十分にその機能を発揮するまでに至っていないのでありまして、総合開発の基本施設としての交通施設は、いまだ十分ではないといわざるを得ないのであります。
 まず、道路について見ますと、北海道における道路は延長五万キロメートルであり、これは全国平均の四分の一、東北における道路の三分の一足らずであり、このうち国道、道道は一万二千キロメートル、残りが町村道という比率になっておるのであります。そこで、道路網整備のために相当な努力の払われたことは非常にけっこうでありまして、歩いてみましても、その努力の跡が見えるのでありますが、ただ道路整備五カ年計画という全国的な計画と、第一次五カ年計画とが時を同じゅうして実施されたために、この二つの計画の間に十分なる連絡がなかったと思われるのでありまして、このため、幹線道路と地方道路の間に、舗装事業、あるいは橋梁の永久橋化の点などについて不均衡が目立つなどの事態が生じ、効率的な道路交通の確保ができなかったといえるのでありまして、今後の道路整備事業におきましては、両者間に不均衡を生ずることのないように、密接な連絡が必要であると思うのであります。
 次に、北海道のごとく道路の分布が非常に粗雑な地方においては、まず国道を整備するとともに、鉄道と直角に走る道路を整備、あるいは新設し、鉱山の開発道路、工業地帯地区内及び後背地連絡道路、林道などを整備あるいは新設していくという方法によって道路網の整備をはかるべきであると思います。また、積雪寒冷の特殊気象地帯における冬季交通確保は重大問題でありまして、このためには、除雪、防雪事業はもとより、融雪期における路盤凍結凍上防止事業、舗装新設工事を早急に実施して、幹線道路、産業道路の交通を確保しなければなりません。また、このためには、地方道についても国庫補助による除雪事業を実施すべきであり、道の所有しておる除雪機械の整備についても、これが耐用年数の限界にきておるため、補助を増額あるいは補助率の引き上げなどの道を講ずべきであると考えます。
 また、北海道における橋梁の大部分は木造橋でありますが、近時の自動車交通の激増と車体の大型化のため、その耐用年数は著しく短縮されており、架設後三年ないし四年もすると、積荷量の制限をしなければならなくなる状況でありまして、交通を阻害することはなはだしいものがあります。すみやかに永久橋化していくようにすべきであると考えるのであります。なお自衛隊、駐留軍の演習地周辺の道路、橋梁などは、重量車両がひんぱんに通行するため、損耗はなはだしく、復旧には十八億円をも必要とするくらいであるということであります。これにつきましては、強い要望もあったのでありますが、当然国において復旧費を負担すべきであると考えるのでありまして、その維持管理には万遺憾なきを期すべきであると考えます。
 以上、申し述べましたごとく、現地におきましては、新設、舗装、改良、凍上対策などにつきまして切実なる要望を伺って参ったのでありまして、個々の線についての報告は省略いたしますが、道路に限らず、北海道における公共事業の施行可能期間は、内地の二百五十日に比較して、百八十日でありまして、二カ月以上も短かいのでありますから、これら多くの事業を短期間に効率的に施行できるよう、計画の面におきましても、万遺憾なきを期すべきであると考える次第であります。
 鉄道について申し上げますと、国鉄の新線建設計画は十七線、八百九十六キロメートルありますが、そのうち完成したのは二線でありまして、日勝線、石勝線、辺富内線あるいは上川—十勝三股線、根北線など、経済効果の面あるいは文化交流の面より見て、早急に建設を要望される線が多々あることを申し上げておきます。
 この際、青函トンネルについて一言いたします。すでに本院におきましても、建設促進の決議がなされたほどでありまして輸送力の増強、安全確保の上からも、早急に実現を期したいものであります。また、この青函連絡と並行して、室蘭と青森県の大畑を結ぶ定期航路開設について要望のありましたことを、御報告いたしておきます。
 次に、港湾の問題でありますが、道外各地との運輸交通は、航空事業が再開されたとはいえ、依然としてその大部分を海運にたよっている現在、この海運の成衰は、産業経済に大きな影響を与えるのでありまして、重要港湾としては、室蘭、釧路、地方港湾としては、網走、浦河、苫小牧、避難港としては、広尾などを見て参ったのでありますが、いずれも総合開発五カ年計画の事業費に対して、二〇ないし三〇%の遂行率であり、整備は非常におくれているのでありまして、滞貨、積荷の際のロス、回船の能率低下、あるいは避難港の不備は不測の事故を起すなど、経済発展を阻害することはなはだしいものがあります。すみやかな整備が望まれる次第であります。その他、地域の広大な北海道において、道内航空路の整備のため、稚内、釧路、函館の空港早期完成、あるいは帯広、網走、旭川、利尻、丘珠、室蘭などの空港の新設、整備について要望がありました。このうち、網走の女満別空港を見て参りましたが、第一種空港に指定の上、整備拡充を望んでおりました。
 第五に、河川事業について申し上げます。北海道における河川は、その数は二千三百余ありますが、そのうち国費支弁二十五、道費支弁三百三で、その他は市町村支弁となっておりまして、これらの河川の改修工事は、いまだその歴史浅く、特に道費支弁の中小準…河川については、着工したもの二百二十、そのうち、改修あるいは一部改良として一応完成したものは、わずかに十数河川にすぎず、その他については、ほとんど未改良の原始河川のままであり、そのため、出水時には必ず被害があるという状況であります。また改修が済んでいないため、川幅などが定まらず、ために橋梁も最終位置が決定しないのでこれが木橋を永久橋化することができない大きな原因となっている状況であります。また、近時直轄河川の改修が進捗したのはよいのでありますが、そのため、それに連なる中小河川については逆流などの現象が起り、一そう被害が多くなっているということもあります。従って、これら中小準用河川について治水事業費の増額、補助率の引き上げ、あるいは新規河川として採択されたいなどの要望があったのでありますが、北海道の河川につきましては、その流域には泥炭地などの低湿地が多く、従って、その開拓、土地造成あるいは改良のためには、どうしても河川の改修がまず行われねばならないという関係にありますので、河川改修事業は、国も保全、民生安定のほかに、土地造成という大きな目的のためにも、ぜひ推進しなければならぬと思うのでありまして、早急に周密な計画を樹立し、その成果を上げるよう、努力が必要であると考えます。
 また砂防事業につきましても、現在数カ所の施設がある程度でありまして、二十九年の台風などの影響にもより、土砂の流下は著しく増大し、放置すれば、河川は荒廃の一途をたどるのみであります。すみやかに砂防事業を施行し、治水に万全を期すべきであると考えます。
 次に、河川の総合開発、すなわち、夕張川、天塩川、空知川等の多目的ダムの事業などにつきまして一言いたしますが、これらの開発事業は、洪水調節、灌漑排水、発電などの多目的を有しており、その完成は緊急を要するものでありますが、予算措置が伴わないため、完成が三年も繰り延べになったわ、または、いまだ調査中のため、着工されていないなどの状況であります。これらの総合開発事業につきましては、国、道、あるいは団体営などと、事業主体がまちまちであり、そのため、実施につき円滑を欠くおそれがあるのではないかとも思われるのでありまして、今後検討すべき問題を含んでいると思うのでありますが、いずれにしろ、事業の促進つきましては、各当局とも格段の努力があってしかるべきだと考えます。
 第六に、民生施設、主として住宅問題、未開発地における文化厚生事業の問題につきまして申し上げます。
 北海道における住宅建設は、国の計画により年間二万戸、民間自力建設により約二万五千戸として、年間約三万五千戸が建設されているのでありますが、住宅不足は約十万五千戸に及び、今後総合開発の進展に伴い、人口、特に勤労階層が増加し、住宅不足はさらに深刻化するものと与えられているのでありますが、特に、要望がありまして、住宅公団のごとき新しい方式を北海道にも入れて、低家賃住宅を整備拡充して、住宅不足緩和に資したいということでありました。寒冷地のために、防寒住宅でなければならず、建築費は本州に比し割高となりますが、防寒住宅にすれば、石炭が一戸当り年間二万円の節約になるなどの利点もあり、この際新しい方式によって、住宅難緩和に資することも一つの方法であると思われます。
 次に、未開発地における文化厚生事業でありますが、これらの地域における住民は、保健衛生、住宅、教育、電力、通信などの施設のきわめて不十分な中で生活を続けているのでありまして、一例をあげますならば、根室地方の別海村は、その面積は香川県に相当する広さであるのに、人口は約二万人、その中に、医療機関としては村立病院が一つと、診療所が四カ所あるのみという状態であります。小学校は三十数校、中学校が十三校ありますが、通学にはきわめて不便であり、警察署に至っては、事件があれば、ほとんど用をなさぬくらいの広大な管轄を持っている状態で、その他は推して知ることができようと思うのであります。ししかしながら、これらの地域は、将来への発展性を持つ開発の前進基地ともいうべき地域でありますので、これらの地域に対する文化厚生事業の著しい立ちおくれを是正するため、国の事業あるいは補助事業を拡大し、単価補助率を引き上げるとか、あるいは融資のワクを広げ、運営費に対する助成など、特別の措置が必要であると考えられるのでありまして、特に以上の諸点を内容とする特別立法措置を要望されましたので、御報告する次第であります。
 このほか、帯広に畜産大学を、函館と旭川に総合大学を設置されたいとの強い要望がありましたので、この際あわせて御報告いたします。
 第七として、公共事業費並びに財政投融資の繰り延べの問題について申し上げます。
 北海道の開発は、主として公共事業費並びに長期低利の財政資金に依存しているのでありますが、最近政府のとった公共事業費並びに財政投融資の大幅繰り延べ措置につきまして、もっぱらこれに依存している北海道としては、開発計画の推進に重大な支障を来たすおそれがあるので、事業の施行に影響を及ぼさぬよう、強い要望がありました。しごくもっともなことであり、北海道としても非常な関心を払っているのでありまして、政府の善処方を強く要望いたしておきます。
 最後に、北海道総合開発第二次五カ年計画について申し上げたいと思います。
 第一次五カ年計画は、昭和二十七年度より始まり、昭和三十一年度で終ったのでありまして、産業の基盤となる基礎施設の整備に重点を置き、特に産業開発の原動力となる電源の開発、道路、港湾、河川など基礎施設の整備拡充、食糧の増産、そして基本調査などを推進して参ったのでありますが、現地を視察して、第一次五カ年計画の実績につきまして振り返ってみますと、幾多の困難な事情があったにもかかわらず、北海道の開発に顕著な業績を残し得たことは、われわれ委員としても敬意を表したいと思うのでありますが、しかし数字を見ますと、その達成率は五九%となって現われており、やっと当初の計画の半ばに達するのみで、産業の基盤となる諸施設の整備は決して十分とはいえないと思うのであります。
 ここに本年度より第二次五カ年計画の実施期間に入るに当りましては、従って、引き続き基礎施設の整備強化をはかることになりましょうし、さらに積極的に各種産業を振興せしめ、あわせて文化厚生施設の整備にまで手を伸ばさねばならないでありましょうが、第一次五カ年計画の実績に徴しましても、達成率が五九%というように、計画はいかに大きく、りっぱであっても、達成できないものであってはならぬと思うのでありまして、その実効を確保するためにも、閣議決定、要すれば国会における議決などにより、権威ある国の計画とするように努力すべきであります。ことに北海道におきましては、土木工事の施行可能期間は、内地より二カ月も短かいのであります。第二次五カ年計画の初年度において、確固とした国の計画として発足することなくして、引き続き同じように実施に移すようであれば、次年度以降に及ぼす影響は非常に大きく、北海道における総合開発の成果は決して上らないと思うのであります。この点につきましては、強い要望もありましたし、また当然そうあってしかるべきだと思われますので、すみやかに確固とした計画を策定して、その計画にのっとって今後の開発庁推進していくべきであると考えるのであります。
 その他、小地域開発との関連、総花予算を排し、重点主義にすべきであるとか、あるいは地域と産業と施設の間の関連を無視した開発であってはならないとか、北海道開発は鉱工業開発の方向に進むべきであるとか、あるいは基礎開発と第二次開発について、田と自治体との関係など、問題は多々あると思いますが、今後の委員会におきまして、質疑の形でもって問題の解決に資したいと思うのであります。
 以上をもちまして、御報告を終りますが、事故のために日程が順延したにもかかわらず、支障もなく終えることのできましたのも、関係各当局、会社、地元各位の御協力に負うところが大きいのでありまして、この際感謝の意を表する次第であります。とともに、今回視察できませんでした地方につきましては、別の機会にぜひとも委員を派遣せられますよう要望する次第でございます。(拍手)

発言情報

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発言者: 小平忠

speaker_id: 11712

日付: 1957-11-08

院: 衆議院

会議名: 国土総合開発特別委員会